kato takao | weblog
ロボピッチャー・かとうたかおのweblog
今調べてみたらあれは、1996年の11月だった。
大阪市立大学の学園祭でフィッシュマンズを見た。
「チャンス」っていう曲がやけに耳に残った。
キーボードの女性が金髪でかっこよくて、目を引いた。
そこからの4年間はもう狂ったようにフィッシュマンズばかり聞いていた。
クアトロのライブで泣きまくって、踊りまくった。二時間ぶっつづけのライブの後、アンコールの1曲が「ロングシーズン」という40分の曲でイントロを聞いたときに死ぬほど興奮した。もう終わったと思ったライブが今から40分続くのだ!!と気づいた瞬間の感動を忘れることはないだろう。
フィッシュマンズはその時、僕のたった一つの光だった。
その光の方を向いていれば、それだけで幸せだった。
15年前の3月15日。
フィッシュマンズのボーカルの佐藤さんが死んだとき、僕は京都の印刷会社で営業をしていた。
いろんな企業や、大学を回って、印刷の仕事をもらっていた。
音楽活動もしていたけれど、週に一回練習をして、月に一回ライブをするくらいだった。
15年前の今日、佐藤さんが死んだというニュースを、会社の桂さんという先輩から聞いた。
あの日に、僕の人生は動きだした。
その数ヵ月後、僕は会社を辞めた。
僕が、佐藤さんの後を継いで音楽をやろうと思ったのだ。
僕は会社を辞めて、その半年後にロボピッチャーを結成する。
フィッシュマンズの方に向かって歩いていられたら、後はもうどうなってもよかったんだ。
10年先の事どころか、一ヶ月先のことも考えてなんかいなかった。
もしあの時、佐藤さんが死んでなかったら、会社を辞めてなかったかもしれない。
そしたら、SCRAPもリアル脱出ゲームも生まれなかったかもしれない。
今サンフランシスコで起こっている熱狂も生まれなかったのかもしれない。
僕は印刷会社の(優秀な)中間管理職として、課長くらいにはなれてたかもしれない。
15年前のちょうど今くらいの時間に、もうフィッシュマンズの新曲は聞けないのだと思って、心の底から怖くなった。
もう新しい扉は開かない。
待っていても何も生まれないことに気づいたのだ。
誰かが、僕が望むものを新たに生み出してくれることは、金輪際ないのだと知ったのだ。
自分がからっぽで、何者でもなくて、ただの自意識だけが肥大した愚か者だと、その時に知った。
そこで生まれた恐怖に打ち勝つには、自分で何かを作り続けるしかなかった。
15年前。
会社の行き帰りに、ウォークマンでフィッシュマンズを聞いているときだけ、心が動いた。
それ以外の時間は死んでいた、あの頃のことを最近よく思い出す。
僕は今ここにいて、たくさんの人たちと、たくさんのものを作っている。
毎日心が動いて、幸せでありたいと願い、幸せにしたいと願っている。
幸せになることはないけれど、毎日切に願ってはいる。
たどり着く過程にあるものが、刹那の幸せだよ。
通り過ぎたら、また次を探す。
たどり着くことなどないという矛盾こそが、人生の意味だ。
フィッシュマンズにすべて教えてもらったとはいわないし、佐藤さんが死んだから今の俺があるともいわない。
でも、もしフィッシュマンズの音楽がなかったら、たくさんのことに気づかないまま死んでいっただろう。
人を悲しませるよりも、楽しませることのほうが面白いって事にすら気づかないまま、死んでいったかもしれない。
切に感謝を。
本当に、心からありがとうございます。
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