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ロボピッチャー・かとうたかおのweblog

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2012年09月23日
無題

何を書きたいのかあんまりわからないけれど、誰かがいつか今日の日記を読み返すような気がしてPCを開いた。
僕は今岡山にいて、和室でビールを飲みながらこのblogを書いている。
この和室にはなぜかピアノがあって、ロデオキングというダイエット用の器具が合って、扇風機が僕を狙っている。でも扇風機が必要な季節はもう通り過ぎてしまったようだ。

何かを考えたいような気もするし、何も考えたくないような気もする。
思えば、ビジネスについて考えてるのは楽なんだな。単純に数字を積み上げることを考えればいいんだから。筋道はいくつもあるけれど、向かうべき場所はひとつだ。
そうじゃないことについて考えるのはとても難しい。正解はいろんなところに埋まっているが、そのベクトルはすべて違う。
正しいことはいろんなところに存在していて、少しだけ目を凝らせば見えてくるけど、どの正しさを選ぶべきかはよくわからない。

これから、また新しい日々が始まるんだろうなと思っている。
見たことのない景色が僕の前に広がっている。
とても楽しみで、とても不安だ。
これまで僕がやってきたように、不安を楽しさに変える日々が始まるのだろうとは思っている。
楽しさが不安を孕む日々が始まるのだと思っている。

一年位前にSCRAPの社員にファミレスで「今が一番楽しいときかもしれないね」と言ったことがある。
ものすごい勢いでいろんな会社から話が来て、どのイベントもすべてチケットが売り切れて、新しいお店について考えていたときだ。
「僕らがもしうまくいったら、会社をもっとビジネスライクにしなくちゃいけない。そしたら今みたいに自由じゃなくなっちゃう。もしうまくいかなかったら、今よりずっと不自由になるだろう。どっちにしても今僕らが感じてるような自由でなんでも生み出せるような気持ちはなくなっちゃうんじゃないかと思う」と僕は言った。

あれから一年経って、今どうかな。
僕らは相変わらず、ふわふわと笑いながら働いている。
文化祭の前日みたいな日々が続いている。
僕は銀行口座の残金を見ながらため息をつく。
企画を作って、打ち合わせをして、振込みをして、さまざまな未来に思いを馳せる。
時々事務所で昼寝をしたり、ドラクエをしたりする。

忘れてしまったことがたくさんあるような気がする。
でもたぶん、それはしかるべきときの思い出すんだろうなあとも思っている。
少なくともまだ今は「一年前が一番楽しかったなあ」とは思っていないし、「これからものすごく楽しい毎日が始まるんだろうな」と思い始めている。

新しく始まるさまざまなことに強い祈りをささげる。
その一つ一つに正しく誠実な判断が出来ますように。
まだ出来ていないことを一つ一つやっていきますように。
未来は適切で捨てたものじゃないことを、丁寧に伝えていけますように。

一番大切なことは元気で明るくいることだよ、と彼女に伝えたい。
もし、沈んでしまう時が来たら思い出して。
君には切り開く力がある。
その名に力を託した。
どうすれば明るく元気でいられるのかを考える必要はない。
その手の中に、心の中に「それ」はすでにあることをいつでも思い出して。

君の未来が健やかで適切で腑に落ちるものであるように、心から祈っている。

kato takao** 23/9/2012 日曜日 05:55 | Link | TB (0) | コメント(1)
2012年09月06日
ロボピッチャーについて

ロボピッチャーについて書くのはいったいいつ以来だろう。
もう何年も書いていない気がする。
この不思議なバンドが活動休止してもう二年になる。
この二年間の間に、僕はもう決して「本職はミュージシャンです」などと名乗れないほど音楽から離れてしまった。

このblogを読んでいるどれくらいの人が、僕がかつて「ロボピッチャー」というバンドのボーカリストだったことを知っているのだろう。

二年前のKBSホールの最後のステージで500人くらいのお客さんの前で自分が言った台詞を覚えている。
「活動を休止します。別に待っていて欲しくないです。もし、僕らがまた音楽をやるときに、あなたが僕らをたまたま覚えていたのなら、そのときにまた会いましょう」
会場はロックフェスとは思えないくらいしーんとなって、僕は「これは本当の気持ちです」と付け足した後、次の曲に行った。

待っていて欲しいと願ったことは一度もない。
でも、忘れて欲しいと思ったこともない。

また、新しいバンドとして一から音を出せたらいいなと思う。
僕は37歳の新人バンドマンとして、また一から音楽に向き合ってやろうかと思っている。
それがかっこいいことかかっこわるいことかまだわからない。
ずっと最前線で音楽に接してきた友人たちを見ているから、死ぬほど気恥ずかしい思いもある。
彼らは臥してなお音を求めるだろう。彼らは音楽とともにあり、それは僕が歩めなかった道だ。

僕は音楽から学んだことをすべて、エンターテイメントビジネスに叩きつけた。
その結果僕はたくさんのものを得て、いくつかのものを失った。
後悔などするはずがないが、世界中に一点の曇りもなく胸をはれるかと問われたらそうでもない。

久しぶりにギターを手に持って、Cを鳴らして、CM7を鳴らして、C7を鳴らして、最後に使った小指が少し震えた。
僕の指はもはや音楽をやる資格のある人間の指ではない。

ロボピッチャーのメンバーの中で、何回かのメールが流れた。
少しだけ冷たい言葉が流れたり、感情の不一致があったり、タイミングが合わなかったりした。その責任のかなりの部分を僕が負った。僕は彼らからの大切なメールに返信する時間すらなかった。もっと正確に正直に言えば、そのときには、ロボピッチャーのメールに返信するよりもっと大切なものがあった、と告白する。

いくつかの齟齬を経て、僕らは二ヶ月ほど前にスタジオに入った。
僕はギターを持っていて、ありちゃんはベースを持っていた。
森さんと伊藤君はスタジオの楽器を使った。
僕はその日のためにつたない新曲を書いていった。
歌詞はまだない、コード進行とメロディーだけの曲を三曲。
スタジオで僕はコード進行と簡単なテンポだけ説明して弾き語りをした。
すっと森さんがドラムをたたいて、ありちゃんがベースで合せた。
伊藤君がいつものように、なぜるようにキーボードの音を鳴らした。
あらかじめ決められていたことのように、僕らはもう一度音楽をやるだろうな、と僕は思った。

スタジオを出て、いろんなことがあった二年間について僕らは一言も話さなかった。
どうやって、次のライブをするかの話だけを僕らはしたのだ。
ひとたび音を鳴らせば、我々はいつでもつながるのだ。

次のライブがどんなライブになるのか、まったくわからない。
僕はこれまでの音楽人生でずっと何度も言い続けてきた。
「次のライブが過去最高になるから必ず来て」と。
でも、ごめん。次のライブが最高になるかどうかは約束できない。
というよりは、過去最高のライブは出来ないと思う。
それでも、観に来て欲しいといったらそれはプロのエンターティナーとしては失格かな。
でも、それでも観に来てほしいのです。
僕らの、過去最低かもしれないライブを。

ロボピッチャーって、なんだったんだろうなと、時々思う。
僕らは、僕らの音楽を広めることは出来なかった。
僕らの音楽が世界の隅々まで行き渡ることを願ったけれど、その願いは達せられなかった。
鬱屈した思いをメロディーと言葉に乗せて、僕らは世界に向けて音楽を叩きつけたけれど、世界は僕らが望むほどには返事をしてくれなかった。
僕らは誰よりも大きな声で叫んだつもりだったけど、ほとんど誰も僕らの声を聞き取れなかったのだ。
でも、僕らがあの時に叩きつけた音楽は、数十年前に各国がやった核実験の後遺症のように、世界中の地面にかすかに息づいていると、こっそり思っている。
俺くらいは思ってないと嘘だろ。

さあ。
高らかに宣言しよう。
ロボピッチャーが復活する。
僕らの鳴らす音楽が世界を変えるなどと思ってはいない。
しかし、僕らの鳴らす音楽は世界につながっている。
あなたが今漏らしたため息と同じだけの意味を持って、僕らは世界につながる。

復活の狼煙だ。
俺は、今から音楽を奏でる。

kato takao** 06/9/2012 木曜日 03:30 | Link | TB (0) | コメント(4)

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