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ロボピッチャー・かとうたかおのweblog

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2013年10月28日
ボロフェスタに行かなかった一日

ボロフェスタに行かなかった。
三日間行われた京都のロックフェス。
12年ほど前に、僕と3人の友人とで立ち上げたイベント。
僕は9年代表として関わって、三年前に抜けた。
でも、去年と一昨年はちゃんと観にいった。
今年ははじめて行かなかった。

ボロフェスタに行かなかったけれど、そこでどんなことが起こっているかはわかる。
熱狂だ。
たくさんの人たちが、大量の熱量を持ち込んで、こつこつと一つずつ手作りでものを作り、とんでもない時間をかけて流れを考え、その結果つみあがった場所にだけ訪れる特別な時間がボロフェスタには必ず訪れる。
きっとKBSホールのカーテンは開き、ステンドガラスが完璧なタイミングで顔を出し、人々はこぶしを突き上げ熱狂し、スタッフが疲れ果てた熱情に突き動かされるように場を進めていく。

あれは、僕らが作った。
でも、もう僕の場所じゃない。

今日はあまりにも天気がよかったので、新宿御苑に散歩に行った。
風が吹いていて、ジャケットを着ていても肌寒くて、木々がそこらじゅうで揺れていて、芝生を子供たちが走っていた。
靴を履いた子供が、僕に向かって歩いてきた。
僕は立ち止まって見つめる。
彼女は僕を通り過ぎて、お母さんに飛び込んでいく。
きゃあと叫んで二人は笑い合った。
風が冷たくて、手に持ったカフェオレは冷めている。
僕は、今京都で行われているロックフェスについて考えていた。

仕事があったから京都に行けなかった。
けど、選んだのは僕だ。
僕は映画の舞台で挨拶をして、テレビの収録で「謎解きゲームの作り方」について講義した。
スーツを着てネクタイを締めた。
まるでビジネスマンだなと思った。

ほんの数年前まで、酔っ払って熱狂した数百人に音楽を叩きつけていればそれでよかった。
声が届けば届くほど良かったし、空気が震えれば震えるほど良かった。
世界はシンプルで、演る人と、聴く人だけがいた。
後は笑って、酔っ払っていれば時間が流れた。

この二日間、僕は謎を作らず、司会もせず、企画を考えず、文章も書かず、歌詞も書かず、メロディーも作らなかった。
舞台で挨拶して、テレビでしゃべった。
僕がいる場所はシンプルではない。
僕はもう僕の破片を叩きつけるようなものづくりはしない。
僕の破片をかき集めて、こっそりとエンターテイメントの中に忍ばせている。

もう爆弾じゃ世界は変わらないと思ったのだ、
内側から浸み込む遅効性の毒で世界を変えてやろうと思ったのだ。

京都で行われた伝説のライブに心から敬意と嫉妬を。
俺は東京で、こっそりと幸せに生きていました。

kato takao** 28/10/2013 月曜日 02:51 | Link | TB (0) | コメント(0)
2013年10月14日
情熱大陸について

人生において、自分が特集されるなんてことが起こるとは想像もしていなかったし、それが昔から観ていた情熱大陸だなんて本当に心の底から、人生は何があるかわからんと叫びだしたいけれど、とにかく一ヶ月ほど密着されて、たくさんのことをカメラに向かって話して、たくさんの後姿を撮られて、番組が出来上がって、無事放送されました。

とんでもないリアクションがあるのかと思って身構えていたけれど、特にそんなでもなく、僕は部屋で一人平穏にblogを書いております。ビールを飲んでいて、とてもセクシーな黒のジャージをはいています。ユニクロです。

情熱大陸の取材班さんは主に二人で行動しておられて、とてもかわいらしい女性カメラマンと、なんとなくぼんやりした愛され系ディレクターの二人でした。
夜の遊園地@ひらぱーの取材のために三人で大阪に向かったのですが、品川で新幹線に乗って、その三分後に二人が寝てしまったのを見て、テレビの世界は厳しいんだなと思いました笑。
僕だけ一人で仕事してました。

もっとうまくしゃべればよかったなあとか、あのシーンは使われなかったんだなあとか、もっとちゃんとした服を着てればよかったなあとかいろいろ思うけれど、まああれが僕の日常です。いつもソファーか自分の椅子にだらーんって座りながら企画を考えたり、ネットゲームしたり、おもしろいマンガを探したりしています。

ちなみに、僕が情熱大陸にノミネートされたのはこれが三回目です。
一回目はもう三年前。「ファッションショーの華麗な秘密」の会場で突然声をかけられました。
二回目は二ヶ月前。
そして、三回目で出演できることになりました。

情熱大陸をみて、これは全部ほんとだけど、これは全部うそみたいだと思った。
誰かが切り取った僕を僕が僕を見るっていう体験はしたことがほとんどないから、自分の日常を自分で見るのはとても奇妙な感じでした。

「これでメジャーですね」とか「チケットがめちゃくちゃ動きますね」とか「次がプレッシャーですね」とかいろいろ言われるけれど、あまり気にしてない。
情熱大陸の前にリアル脱出ゲームがそもそもこんな規模で猛烈に世界中に広まっていくなんてことは想像していなかった。「めちゃくちゃ広がるだろうなあ」とは思っていたけれど、こんな風になるとは思ってなかった。だから、情熱大陸をきっかけに襟元を正すつもりはない。

ただ、今回クローズアップされた「何者でもなかったクリエイターが、どーんと成功する物語」みたいなものは意外と大切な物語なんじゃないかと思う。
クリエイターっていう言葉は、なんとなく広告を作ってる人や、アートディレクションする人に使われることが多い気がする。
そして、そういう人たちは、よい大学を出ていて、よい会社に入って、なんか賞とかとって独立して「クリエイター」という肩書きを手にする(ように思う)。
でも、クリエイターがそもそもの意味の「創る人」であるなら、とんでもないアイデアが一つあればもう誰でも世界中に羽ばたくクリエイターだ!っていうメッセージはきちんと常識として広まって欲しいなと思う。
まだ世界には思いつかれていないことがたくさんあって、それを思いつくために必要なのは学歴でも会社の格でもなく、君のその生き様の中にあるのだ!!!
とか、いってみたり。

僕は、本当に世界に振り向いてもらえないクリエイターだった。
近くにいる人たちを巻き込むことは上手だったけど、遠くにいる人たちを振り向かせることは出来なかった。
だけど、たった一つのアイデア、たった一つの言葉を見つけただけで、普通じゃ考えられないくらい遠くの人たちにまで届いた。
この「おとぎ話」は価値があるんじゃないかと、今日の放送をみながらぼんやりと思った。

世界は平等ではないと思っている。
さまざまな格差があり、国別の事情があり、世代にによる隔絶もある。
でも、それらを凌駕するとんでもないアイデアがあるのならば、そのすばらしいアイデアの前で人間は平等である。
などと、言ってみてもいいんじゃないかと思っている。
それを証明するための実験をSCRAPはずっとやってるのだ。

なんにせよ、観て下さったみなさま、本当にありがとうございました。
あれは僕です。
でも僕の一部ですよ。

情熱大陸のスタッフの方々の「情熱」には本当に恐れ入りました。
カットされた膨大な映像データは消え去っていくのでしょうか。
マーブルの太田さんのインタビューとか見たかったなあ。せっかく男前なのに。
あと、ある朝にカメラマンさんと一緒に事務所に入ったら、なんか徹夜明けの女の子が倒れてて、ちょっとした騒動になったシーンとかもカットになってましたね。ありがとうございます笑。

明日からも相変わらず、こつこつとものを創っていくと思います。なにせ「クリエイター」として紹介されましたので。
僕に会うことは少なくても、僕の作ったものに出会うことはたやすいと思います。
どうぞみなさま。
リアル脱出ゲームと株式会社SCRAPを、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
僕らのささやかな「情熱」が、この夜を境に世界中に広がりますように!!!

リアル脱出ゲーム http://realdgame.jp/

kato takao** 14/10/2013 月曜日 02:58 | Link | TB (0) | コメント(4)

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