kato takao | weblog
ロボピッチャー・かとうたかおのweblog
SCRAPを株式会社にしようとしたきっかけは、当時いろいろと仕事をしていたNHK京都の人に「加藤さん、これくらいの金額になると個人に支払うのはちょっと問題があります。株式会社にしてくれませんか?」といわれたからだ。
僕は会社とかめんどくさそうだから、じゃあもうNHKの仕事はやめようかなと思った。
実際それくらいの時期にやめてしまったが、なんとなく「株式会社を作る」っていうキーワードが頭に残った。
で、その翌週くらいのフリーペーパーの企画会議で「株式会社のつくりかた」っていう特集を組んで、実際に株式会社化したらおもしろんじゃね?なんていって作った。
その特集で、いろんな人に「株式会社とは?」みたいなインタビューをした。
その時インタビューした税理士さんや公認会計士さんに今でもお世話になっている。
税理士さんがその時に言った「会社は売り上げで評価される。利益は自社だけの数字だけど、売り上げは世の中に対しての数字だから」という言葉は今でも忘れられない。「お金を稼ぐ=世の中の幸せ」という構図がぼんやりとその時に見えた。
最初は一人だった。
作ってから、8ヶ月後にやたらと生意気な女の子が入ってきた。
毎日二人で喧嘩しながら仕事をこなした。
毎日一緒にご飯を食べて、毎日一緒にブレストをして、毎日お互いにいらいらして、毎日ずいぶん長い時間未来について話した。あの時に株式会社SCRAPとはなんぞやみたいなことがぼんやりと固まったのだと思う。
僕ら二人は、本当にうんざりするくらい毎日毎日、今あるべきエンターテインメントについて話続けたのだ。
彼女は今、リアル脱出ゲームの名作をばんばん作っている。
僕の知る限り、世界で二番目にリアル脱出ゲームを作るのがうまいのは彼女だ。
設立から二年くらい経った時に、東京支社を作った。
そこで二人会社に入ってきた。
二人がSCRAPに入る時にささやかなトラブルがあった。
それはつまり人間の感情に端を発するトラブルだった。
僕はとても頑なにそのトラブルに向かい合った。
絶対に折れない。
僕が折れなかった結果、どんなに不利益を被ろうとも折れないでやろうと思った。
結果的に二人は弊社にやってきた。
そのトラブルが完全に解決するのはその2年後だった。
僕は自分が「折れない」と決めた時には、どんなに自分に不利益があったとしても折れない。
その時に、知った。
その後、その性格のせいでいろいろと損もするけど、得だってたぶんあったと思う。わからんけど。
設立から二年半経ったときに、東京で住むことにした。
イベントを作るだけなら京都でよかったと思うけど、そのころ広告の仕事がどんどん入ってきて、距離が遠いせいでたくさんの人たちに迷惑をかけた。それにまだ見たことのない面白い仕事があるなら、片っ端からやってやろうと思っていたので、東京に住むことにした。
そこからの二年半は嵐だった。
僕はとにかく片っ端から作り続けた。
一緒に作る仲間も東京でどんどん増えた。
不思議なことに、作れば作るほど、もっと作れる気がした。
時々実家に帰ると母親が「なんだか躁病みたいだけど大丈夫?」といって心配した。
「大丈夫だよ」と僕は言った。例え躁病だったとしても、こんなに楽しいならもうそれでいいさ。
会社を作った時に、こんなに長く続くと思っていなかった。
というか、実はなにも考えていなかった。
だって、株式会社を設立した時に作ったイベントは「株式会社設立記念宝探し大会」で、その商品は「SCRAPの株を優勝者に一株あげます」だった。司法書士の先生に「絶対にやめたほうがいい。もしこの会社がうまくいったら、後々大変なことになりますよ」といわれてやめた。
会社を作ったのもイベントだったのだ。別に青雲の志があったわけじゃない。
四周年の時は、フジテレビのイベントを作っていた。
楽屋で中野美奈子さんに「会社はいつ作ったんですか?」と聞かれて初めてその日が設立四周年の日だったことを思い出した。
四周年記念のイベントをやることを一瞬も考えなかったし、社員の一人もそのことに気づかなかった。
五周年がやってくる時に、吉村女史が「何かやりましょう!」と言ってくれて、こっそりと心の奥に火が灯った。
きちんと何かやりたいと思った。
本当はSCRAPを好きでいてくれるあらゆる人たちを呼んで、アイドルの握手会みたいに一人一人の目を見て「ありがとう」といいたかったけど、キャラ的にそんなの向いてないし、そもそもだれもそんなの求めないだろう。
そんなとき弊社役員の飯田君が「じゃあ、ZEPP東京の関係者デバッグをパーティーにしよう!」と言い出した。そんなわけで「潜水艦ポセイドン号からの脱出」のデバッグ公演は、関係クライアントを呼んだちょっとしたパーティーになった。
「ちょっとしたパーティー」のつもりだったのだけど、500人近い人たちが集まってくれた。
会場のロビーには驚くほどたくさんのお祝いの花が並んだ。
会社を続けるってことに特に意味を見出してなかったけれど、こうやってちゃんと人々が見つめてくれて、なにかお祝いしようと思ってくれる会社を続けてこれたことを少し誇りに思うことが出来た。
今でも、僕はSCRAPをいつまでも続けていきたいとは思っていない。
エンターテインメントはいつまでも進化し続けるべきだし、その進化の最先端にいつまでもSCRAPがいる必要はない。
だから、世の中に必要とされなくなったら、いつでも店じまいをしてやろうと思っている。
会社やシステムにしがみつく必要なんてない。
僕らが思いつく一番面白いことに会社が必要だからSCRAPがあるだけで、SCRAPが権威になったり、しがらみになったりしようものならすぐにでも叩き壊してやろうと思っている。
どうせ壊れる何かならば、せめて僕の手で壊してやろう。
だけど、あまりにも素敵な空間だった5周年イベントの時だけは、ちょっと10周年のイベントもやってみたいな、とこっそり思った。
一番大切なのは「今出来る一番面白いものを作り続けること」だ。
会社はそれをそっと見守るオブザーバーでいい。
後のことは、世の中が判断してくれるだろ。
だから僕らは、世の中から求められる限り、死力を尽くして会社を続けていくつもりだし、あらん限りの力で面白いものを垂れ流してやろうと思っている。
今は俺たちが、エンターテインメントの最先端だと思ってるがな!
とかいってみたり。
なんにせよ、僕らのビジネスは、僕らの作るものを好きで、そこに価値を見出し、あろうことかお金まで払ってくれる人がいないと成り立たないものです。
これまで参加してくれたあらゆる人たちにありがとうといいたいです。
一度でも参加してくれた人にも、毎回ヘビーに参加してくれる人にも、これから参加しようかと思ってくれている人にも、なんとなくたまたまこの日記をみつけちゃっただけの人にも。
心から「ありがとう」といわせてください。
そして、良ければこのblogにはコメントを書き込むスペースがあるので「おめでとう!」と言って下さい。
たまには俺だって、祝福されてみたいからね。
これは、世の中に忘れられるまで続く、エンターテインメントの冒険だ。
人知れず始まって、人知れず終わる。
いつまで続くかは誰にもわからないけれど、いつかは必ず終わる物語だ。
だからこそ、面白いんだろ!と思ってる。
これからもよろしくお願いいたします。
株式会社SCRAP代表 加藤隆生
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