kato takao | weblog
ロボピッチャー・かとうたかおのweblog
人生の中の忘れられない瞬間、みたいなものが僕にはいくつかある。
はじめてライブをしたときのこととか、憧れのライブハウスに出演できたときのこととか、東京ドームで最後の謎の答えを言ったときに会場がゆれるみたいな歓声に包まれた瞬間とか、はじめてのリアル脱出ゲームで最初の成功者が出た瞬間とか。
でも、とりわけよく思い出すのは、乾杯の瞬間です。
ボロフェスタの打ち上げで「乾杯!」って僕が叫んで、その場にいた100人くらいがめちゃくちゃにぶつかり合いながら必死で乾杯した瞬間のことを時々思い出す。
あの時、ものすごくやかましい会場で、僕は誰よりも大きな声を出して「さあ全員ビールを持て!」って叫んだ。
乾杯までの異常な盛り上がりの中、もう何日も満足に寝ていないぼろぼろの若者たちがあらゆる圧力から開放されて、心のそこから乾杯をした瞬間でした。僕はその時たぶん33歳くらいで、スタッフはほとんどみんな20歳前後だった。
あの瞬間に僕は「このイベントをやってよかった。成功してよかった」と心から思ったのだけど、それは「生まれてきてよかった」という感情とほとんど同じだったような気がする。
ボロフェスタの打ち上げは毎年とても印象に残っている。
あと、「あるスタジアムからの脱出」の打ち上げもずいぶん楽しかったな。
打ち上げ中にユーストリームをやったりした。
一番たくさん笑った打ち上げは「若気の至り」っていうNHKと一緒に作ったイベントの打ち上げだと思う。あんな面白い時間はなかった。
そんなことをふと考えていて、なぜあの瞬間が楽しかったかといえば、それはずっと現場にいて、ずっと最前線でお客さんと接していて、何日も何日もずっとそのことを考え続けて、作り続けて、運営し続けて、その抑圧から一気に解放される喜びと、成功した誇らしさが爆発する時間なんだろうなあと思った。
僕はもう、現場にはほとんど顔を出さない。
昔何度も友人たちと話した言葉がある。「現場に出ない奴は使えない奴だ」って。
現場でラチェットを使って単管をくみ上げたり、イントレを何十台も作ったりする作業をしない奴は結局何にもしてないと同じだと思ってた。
でも、僕は今は現場で最初から最後まで面倒見たりはしない。
出来ないと言ったほうが本当は適切だ。
先週の週末にはリアル脱出ゲームは世界中で10箇所以上で行われていた。
僕がその司会をすべてするのはもちろん無理だし、運営として現場に行くのも無理だ。
僕はなんとその時、家でビールを飲んでいた。
世界中でリアル脱出ゲームが行われているときに僕は、次のリアル脱出ゲームを作っている。
まだ誰も体験したことのない空間について考えている。
そのことはとても楽しい。
そのことは時々とても寂しい。
何日も一緒にイベントを作った仲間と、心から笑いながら乾杯をまたしてみたいな。
いつかリアル脱出ゲームが誰からも忘れられるコンテンツになったときに、ずっと現場に出て目の前にいる人たちだけを楽しませるイベントを作りたいな。
実際に自分の体温を切り売りして、イベントの熱を上げるようなイベントの作り方をいつかまたしてみたいな。
楽をしたいと願ったわけじゃない。
効率よくしないと回らなくなってしまっただけだ。
それで生まれたこともある。
そこで失われたものもある。
文化祭をしようって僕はスタッフに言った。何度も言った。
しかもこれは、学校の中の文化祭じゃないんだ。世界中を巻き込む文化祭なんだぜ。
文化祭みたいにペンキまみれになりながら、ぼろぼろになりながらアジトを作ってるスタッフを見ると、ありがとうと思う。そして、死ぬほどうらやましいとも思う。
でも、もし今僕らが作ってるものが「世界に向けての文化祭」であるならば、本当に面白いのはここからだ。
たくさんのイベントを作って、たくさんの乾杯をしたいなと思います。
最高の乾杯には、生まれてきた意味がある。
これからも、たくさんのスタッフがSCRAPのイベントに関わって、ぼろぼろになりながらイベントを作り上げ、その達成感の中で最高の乾杯をしてくれたらなと思う。
もちろん、俺もこっそりと参加して乾杯するつもり。
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