kato takao | weblog
ロボピッチャー・かとうたかおのweblog
彼女がSCRAPを辞めると切り出したのは今年の初めくらいだったと思う。
事務所の近くの中華料理屋で僕と飯田君と彼女の三人で話した。
ささやかな理由とささやかな覚悟がそこにあって、僕は止めたりなんかまったくしなかった。
それはとても素敵な理由だったから、それを支えようとだけ思った。
彼女と初めて会ったのは5年くらい前になるのかな。
なんだかおっとりとした空気を纏った人だと思った。
人懐っこくて、融通が利いて、味方になりたい人の味方になる人だと思った。
そして、彼女が僕らの味方であることは一目でわかった。
彼女のおかげで3年前の公演(終わらない学級会、図工室からの脱出)は問題なく終わった。
打ち上げの場所で彼女は「とても楽しそうに働いてて良いですね」と僕に言った。
僕はげらげら笑いながら「一瞬先はわからないけれど、とにかく今は楽しいね」といった。
いろいろあって、彼女がSCRAPに入ることになった。
飯田君と僕と彼女と三人で何度も話した。
東京でSCRAPのイベントを動かす上で、もはや東京に事務所を作らなくちゃならないって話になった。
「だから、東京を三人で盛り上げよう」と僕は言った。
彼女は「加藤さんがコンテンツを作って、飯田さんが運営をするとして、私は何をするの?」と言った。
僕は「あなたの仕事はアイドルだ」と言った。
アイドルでいてくれたらいい。その場所を明るく照らしてくれさえすれば、あとは俺たちが何とかするから、と。
彼女はなんとなく納得したような顔で「わかった」といった。
もちろん、彼女は弊社のアイドルとして大きな役割を果たしてくれたけど、残念ながら彼女はただのアイドルではいられなかった。
その後弊社が巻き込まれた怒涛の嵐の防波堤に彼女はなってくれていた。
そして、爆発的に増えていく運営上の仕事と広報の仕事を彼女はこなした。
まるでアイドルの絶頂期並みの仕事を彼女はこなし続けたと思う。
そういう意味では僕の予言は正しかったね。
一度二人で飲んだときに「私は面白いもののそばにいたいんです」と彼女は言った。
「じゃあ、僕のそばにいればいいよ。面白いから。」と僕は言った。
そうですね、とそのとき彼女は言ったけど、今は別のもっと面白いものを見つけたんだろう。
SCRAPは株式会社になって初めて人が辞める。
この4年間誰も辞めなかった。
そのことをあまり深くは考えない。
僕は、人が僕のそばからいなくなることをあまり深く考えない。
いつも、今僕が持っているものの中から何が作れるかを考えるからだ。
いなくなった「何か」からは何も作れない。
僕は去っていく人を追うことはない。
去っていく人に何かを思うこともない。
でも、彼女に関してはいつか何かを思うだろう。
しかしそれは今じゃない。
今は彼女について何かを思うべきときじゃなくて、彼女のいない大きな穴について思うべき時だ。
彼女について思うのは多分何ヶ月も先だ。
半年とか、一年とか三年とか経ったときに僕は初めて彼女の不在について考えるだろう。
彼女がSCRAPにもたらしてくれた光について本当の意味で気づくだろう。
今は、こっそりと感謝の気持ちだけを伝えよう。
いてくれてよかったと。
SCRAPを選んでくれて本当にありがとうと。
同じ時間を同じ場所で過ごさせてもらえて本当に光栄でしたと。
未来のことは未来が決めるだろ。
彼女と僕の関係が今後どうなっていくかなんて、今はなんの興味もない。
今僕が伝えられることはただ感謝以外になにもない。
お互い一生懸命生きて、伸びたベクトルがどこかで交じり合えば、そこでまた何かが生まれるだろう。
深い感謝と、これからの彼女の人生が素敵なものでありますようにと、心からはなむけをささげます。
どうか、彼女が僕の道を照らしてくれたように、誰かが彼女の道を照らしてくれますように。
さあ、幸せになろう。
僕らにはその資格がある。
ちゃんと今を踏みしめながら未来をにらみ続ける僕らなら、幸せになったって誰からも文句は言われないだろ。
そばにいてくれてありがとう。
どうぞ幸せに。
そして、どうかいつまでも「何が幸せなのか」をきちんと選択できるあなたでいてください。
SCRAP 加藤隆生
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