kato takao | weblog
ロボピッチャー・かとうたかおのweblog
今日は「アクエリオンevol×リアル出逢いゲーム」の開催日でした。
昨日から仕込みで、今日は司会を三回して疲れ果てて眠ってしまおうかと思ったのだけど、なんだかテキストにまとめておきたくなったので書く。
ある日、アクエリオンのプロデューサーさんに「いや、でもこれ、男女で合体したらすごく強くなるのに、恋愛禁止っていうアニメなんですよ!」と熱弁されたときに「じゃあカップリングパーティー作りませんか!」と提案してみた。
一度「謎解きカップリングパーティー」というのを企画したことがあって、それはすごく盛り上がった。ゲームは奥手な男女すらコミュニケーションさせるすごい力があるんじゃないかと思っていた。いつかやりたいなと思っていたけれどきっかけがなかったので、アクエリオンのあらすじを聞いたときに、「ここまで突き抜けた馬鹿馬鹿しさがあるアニメなら出会い系をやってもいいんじゃないか」と思った。
スタッフのみなさんはそのアイデアを面白がってくれて、とんとん拍子でこの企画は実現に向けて走り出した。
僕がやりたかったのは「アニメ×謎解き×出会い」のコラボだった。
チラシビジュアルを作るときはまずアニメのビジュアルが目に入り、その後で「リアル出逢いゲーム」という文字が目に入るようにした。
「リアル出逢いゲーム」という新しいジャンルを作ってやろうと思ったけれど、正直言ってその意図はあまり伝わらなかったかもしれない。
「リアル出逢いゲーム」というから「謎解き×出会い」という意味を読み解くのは「リアル脱出ゲームファン」だけだからだ。
あえて、とてもとても正直に書くと、チケットは僕らが望んだほどには売れなかった。
最終的に3000枚近いチケットが売れたけれど、その半分くらいは声優さんのネームバリューによるものだったと思う。
普段「有名人や、名作の名前で人を動かすのではなく、アイデアと新しいシステムで人を動かす」ことを標榜しているSCRAPとしてはいつもとは違う人の流れに戸惑った。
それでも、西武ドームの公演はちゃんとした熱狂を生んだとは思う。
イベントで交わされた声優さんたちの会話は機知に富んだものだったし、ライブは本当にすばらしかったし、出会いの要素も確かにあった。
「出会い」に関して言えば、これは僕個人としては「成功」だったのではないかと思う。
かなりたくさんの人たちが初対面の見ず知らずの人たちとコミュニケーションを交わしていた。
おとなしそうな男子がかなり積極的に女子に声をかけ、それに楽しそうに女子が答えていた。
すべては「ゲームを進める」という共通認識から生まれるコミュニケーションだった。
一つ予想外だったのは、かなりたくさんの人数でコミュニケーションをとらなくては先に進めないシステムの謎を作ってしまったため、その後の謎の答えがかなり会場内で流布してしまったこと。もちろんそれもある程度は想定していたものの、それ以上の勢いで答えが伝わってしまった。
また、今回は声優ファンの方、出会いを求める方、アニメのファンの方が多数来ることを予想していたので、謎の難易度をいつもより下げた。
すると、瞬く間に「リアル脱出クラスタ」のみなさまがぴゃーーーっと謎を解いてしまった。さすがだ。もう負けました。勘弁してくださいと思った。
一回目の公演で1000人中700人くらいに謎を解かれたときはもう心が折れた。大事故だと思った。
でも、それでも、そこらじゅうで出会いが生まれていて、なんだかんだ人々は楽しそうだった。
これが「出会い」のためのイベントであると思えば、あながち失敗とも言い切れなかった。
そこらじゅうで初対面の人たちが手をつなぎ、連絡先を交換し合っていた。
もしこれがただのカップリングパーティーであったなら、1000人参加で350組のカップルを作るというモンスターイベントということになるだろう。
アンケートには「思ったより簡単でした」と書かれまくった。
出会いへの感謝もたくさんあった。
どうすればよかったのかなあと思う。
もっと謎を難しくすれば良かったのか。
もっと出会いに特化したものにすべきだったのか。
もっとアニメに傾倒したものであれば良かったのか。
僕はその三つを三等分に楽しんでもらえるものになればと思っていました。
でも、それは欲張りだったのかもしれない。
三つとも等分に楽しめた人はかなり少数派だったのかもしれません。
また、三回目の公演は男女の差が特に激しく、とても申し訳ない気持ちになった。
現場でいくつかの対策は取ったけれど、もっと事前に何らかの対策をとるべきだった。
この件に関しては本当にごめんなさい。
どうすればよかったのか、まだ解決策は見つかっていないけれど、次は絶対見つけます。
たくさんのことを思った。
出会いっていう言葉の持つネガティブさ、ポジティブさ。
アクエリオンの持つ世界観の深さ、そしてアニメという独特のカルチャーとの関わり方。
そして、僕らがもっとも得意であったはずの「謎解き」の部分をファンから批判されちゃうという結果。
どうするのが一番正解だったのかはもう少し考えてみよう。
もちろん、ひょっとすると今回のイベントが成功だったのかもしれない。
その答えが出るのは多分数年後だろう。
ツイッターで「運命を感じることができる演出あればよかった」という意見をいただいた。
これはすごいヒントが隠れたコメントだと思っている。
運命を捏造することはできないけれど、運命を演出することならできるかもしれない。
演出された運命を、本当の運命に変えるのは僕らじゃなくて彼らだろう。
そんなイベントなら作れるかもな。
とにかく、今日お越しいただいたみなさま、本当にありがとうございます。
もし、あなたが不完全だと思ったのであればごめんなさい。とても申し訳ないです。
しかし、SCRAPは等しくみんなが同程度の感動を得られるようなコンテンツを作れる会社ではありません。
だから、すごく楽しむ人もいれば、そうでない人もいます。
とても申し訳ないけれど、そういう会社なのです。
だからこそ生まれるクリエイティブがあると思っているし、僕らの存在意義はそこらへんだと思ってます。
今日得た教訓を胸に、ちょっとすごい出会いイベントを作ってやろうと思っています。
ゲームが根幹にあって、そこからコミュニケーションが生まれて、仕組まれた運命にうすうす感づきつつも、出会いにつながるやつです。
今日はちょっと悔しかった。
でも、今度絶対に取り戻す。
すごいイベントを作ってやろう。
アクエリオンのチームの皆さんは本当にすばらしい方々でした。
AKINOさんたちも素敵だったし、声優さんもとても協力的でした。
彼らの協力がなくてはとても成立しないイベントだったでしょう。
本当に心から、心から感謝を。
「今日」から何かを生み出さなくちゃ嘘だ。
次はもっと、うまくやろう。
シンガポールの公演が終わって、その日に朝まで打ち上げしてそのまま空港に行って、飛行機で眠って、夜に成田に着いて、赤坂で打ち合わせをして、翌日朝からプレゼンがあって、すぐに新幹線に乗り込んで京都で講演会をして、京都事務所でスタッフと話して、今家に帰ってblogを書いてる。
シンガポールは最高だった。
チケットが完売して、会場ではシンガポール流の熱狂が巻き起こり、新たなビジネスの話がそこらじゅうで話されていた。
Vivid Creationsという会社にものすごく御世話になった。
社長をはじめすべてのスタッフがとてもキュートで、自分の意識をちゃんと持っていて、人生を楽しむことにポジティブですばらしい会社だと思った。シンガポールから日本を元気にするというコンセプトを社員全員が持ち、シンガポールで歌舞伎や落語のイベントを作っている会社です。今回一緒にリアル脱出ゲームを作って、本当に大好きになった。
Vivid Creationsの小野さんからメールをもらったのはもう一年前だ。
僕は時間をかけて一つのプロジェクトを成功させるというのがあまり得意ではない。
「二週間で形にならない企画は良い企画ではない」と公言していたりもする。
でもVivid Creationsさんとのプロジェクトは時間をかけてゆっくりと、でも確実に一年間かけて醸成された上質のワインみたいな企画だった。
それが、シンガポールでどかーんと成功して、かなりたくさんのテレビや新聞やラジオが取材に来てくれて、お客さんがみんな熱狂してくれたことをものすごくうれしく思っているし、これが明確に未来につながっていくのだと思っている。
そうそう、大事なことを一つ書かなくちゃいけない。
初めての英語バージョンリアル脱出ゲームがうまくいったのは、僕が作ったいい加減なラフを形にしてくれたSCRAPの吉村女史のおかげであると明記しておく。面と向かってこの件について言ってなかったのを思い出したので今ここで書く。
彼女が進めているサンフランシスコ公演もきっとうまくいくだろう。
アメリカでぐっと話題になるとうれしいなあ。
シンガポールで一人のすごい才能に出会った。
彼は写真も、グラフィックも映像もすばらしいクオリティーでやり遂げる。
まだ22歳だって。
才能ってあるんだね。
俺なんて、自分に才能があったと確信したのは36歳のときだよ。
シンガポールで、SCRAPのスタッフや、Vivid Creationsのスタッフとわあわあ騒ぎながら思った。今を人生で最高の時間にしちゃいけないと。
シンガポールで過ごした時間は本当に最高で、あの国には一人も嫌な人なんていないんじゃないかと思うくらい素敵な時間だったけど。それでも。
それでも僕らは今過ごしている素敵さを圧倒的に凌駕するような「文化祭的祝祭」を現出せしめるために日々まい進する所存であるのです。
物語はまだ始まったばかりなのさ。たぶんね。
シンガポールの取材で聞かれたこと。
「あなたはなぜリアル脱出ゲームを作ろうと思ったのですか?」
「こういうゲームが僕の子供の頃からの夢だったからです」
「子供の頃の夢?みんなそれを持っています。なぜあなたはその夢を叶えることができたのですか?」
僕が唯一口ごもった質問だった。
僕は夢を叶えたのか。
そうじゃないのか。
僕にはわからない。
でも、叶えたように見えているなら、それでもいいやと思った。
「叶わないと思ったことなど一度もないからです」
うそぶいた分は、これから現実にしていけばいいだろ。
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