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2011年10月16日
ジャンルについての考察

最近ぼんやり思ってること。
「ものをつくる」ってことは、「ジャンルを作る」ってことじゃないかと思う。
良い小説を書くことは僕には出来ないかもしれないけれど、「小説」と並列で語られる「別のジャンル」なら作れるかもしれない。
もっと極端なことをいうと、「ものをつくりたい」と強く思う人は、「これまでになかった小説を書きたい」と思うのではなく、「これまでになかった小説のようなジャンルを作りたい」とおもうべきなのではないか。

たとえば音楽。
良いリズム、良いメロディー、良い歌詞、良いハーモニー、良いアレンジ、良い録音、良いミックス、などなど、いろんなものが集まった「良い音楽」が出来ると思う。
でも、もしあなたが、音楽のすばらしさを本当に理解したのであれば、そのすばらしさは「音楽以外のジャンル」でも表現できる気がする。

僕にはマンガはかけない。
でも、マンガで得たものを別のジャンルで表現できるかもしれない。
というよりは、マンガで得た感動を何かに昇華したいと僕が願うとき、マンガの世界ではそれがかなわないなら、ジャンルを平行移動させるしか手がない。

我々は「創る」という言葉を、絵を描いたり、歌を作ったり、文章を書いたり、マンガを書いたり、演劇を作ったり、映像を作ったり、デザインを創ったりすることを指して言う。
でも、案外それって「小説」という誰かが作ったジャンルの中で、相対的に新しいことをやっているだけっていう見方も出来る。

小説ってものを形作っている「枠」みたいなものにダメージを与えるような「創作」を考えなくてはならない。
「小説」と並列で語られるようなジャンルを創造しなくてはならない。

たとえば「物語」という言葉はジャンルを超えて存在する。
「物語を創りたい」とあなたが強く願ったとき、それは「小説というジャンル」の中でやるべきか「マンガというジャンル」でやるべきか「映画というジャンル」でやるべきか「ゲームというジャンル」でやるべきかを迷うだろう。
しかし、あなたは考えなくてはならない。
「わたしの物語を最もよく表現できる、別のジャンルはないだろうか」と。

我々が今創造すべきは「ジャンル」なんじゃないかと思うのです。
映画、小説、ゲーム、マンガ、音楽、演劇、絵画、写真。それらのことは大好きだけど、もうそれらが発明されてからずいぶんと長い時間が流れています。
「物語」という言葉と「デザイン」という言葉はジャンルを超えて成立している気がします。
両者とも既存のジャンルを超えて存在している。

僕は時々思います。
一番良いもの、一番興奮するもの、一番すばらしいものを考えるときに、既存のジャンルの中で創造してしまっていないだろうか。

僕は世界一すばらしい小説を書くことはもうできない。
でも、まだ誰も創ったことのない「ジャンル」を創ることはできるかもしれない。
そして、それはこの世に存在する誰もが「創ることができるかもしれない」ものなのではないかと思うのです。

今必要なのはジャンルクリエイターです。
とても極端な言い方をするのなら、良い演劇も、良い小説も、良い音楽ももう十分生み出されたのです。
新しい映画なんて撮らなくても、過去の名作を見続けるだけで、人生におけるかなりの時間を費やさなくてはなりません。

今何を創るべきかを考えるときに「ジャンル」という概念はとても重要です。
ジャンルの中で創るか、ジャンルを超えて創るか、もしくはジャンル自体を作るか。

クリエイティブを考えるときに、このフレームだけははずせないなあと最近考えています。

kato takao** 16/10/2011 日曜日 07:33 | Link | TB (0) | コメント(1)

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