パイナップルが4つ

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今日はブルーベリーだけでなく昨日もらった桃も食べた。

果物はいい。
主に桃と梨が好きだ。メロンがあまり好きではない。西瓜もあまり好きではない。でもたまに食べるとおいしい。誰もいない部屋でテーブルの上にメロンもしくは西瓜が切られて置いてあって、その横の紙切れに「よかったらどうぞ」と書いてあったら間違いなく食う。

嫌いな食べ物はない。

ずっと前にメロンと西瓜が好きな友達と「メロンってうまい?」という話をした。僕は値段の高い食べ物は基本的に好きなのにメロンにあまり興味がないのはなぜか、という話になった。うまいのと腐りかけの区別がつかないのがだめだ、という結論に達しかけたとき、自分が桃が好きだということを思い出して、その結論が正しくないことに気付かされた。あれ?

この話したかな?

昔オーストラリアのシドニーというまあまあの都会に住んでいたとき、僕はハッタリ写真家のおじさんと注射器とスプーンが大好きな頭の切れる19才の女の子と、まあまあ広い家で共同生活をしていた。僕が住んでいた通りはキングストリートという大きな通りから一本入ったところで、その角にはパンやら果物やらも売っている小さな商店があった。

ある日。バイトからの帰り道。
バスをおりてその商店の横を通り過ぎるとき、店の外にパイナップルが4つ並んでいるのを見つけた。並んでいたと言っても店頭ではなく、路地側の壁際、ゴミ缶の横。どう見てもまだ食べられそう。よっぽど持って帰ろうかと思ったが、周りにヒトもいたし「もったいないことするなあ」と思っただけで家に帰った。パイナップルあんまり好きじゃないし。(食うけどね)

家に帰ってリビングに行くと、ちゃんとした仕事から2ヶ月前にリストラされた偽写真家のおじさんがつまらなそうにテレビを見ていた。手には新聞のクロスワード。仕事のない男を見るのは結構つらい。おっさんは「俺はもう一生働かない」と強がっていた。まあいい。

ディナーを仕入れに行く前にいつものようにシャワーを浴びた。当時は朝も夜もシャワー浴びていた。僕のバイトはなにを隠そうバスガイドだった。手取り1日75豪ドルでネクタイをして働いていた。まあいい。

頭を拭きながら部屋にもどる途中、キッチンにヒトの気配。もう一人の住人である女の子が帰ってきていた。彼女は公務員だった。彼女は、この仕事は男女雇用機会均等法の男女比を調整するためにもらえた仕事だ、と言っていた。まあいい。

さてさて、彼女が口をもぐもぐさせながら「食べる?」と差し出した皿の上にはキレイに切られたパイナップルが並んでいた。

楽しかったなあ。

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