なぜパンを焼くんですか?

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まず粉と水分が混ざってベトベトになります。しばらくするとまとまり始めます。くるみなどのトッピングを足します。くるみが生地の中で均等に行き渡っていきます。ひとつの柔らかい塊になります。

適度な温かさの中で1時間程度膨らませます。ミクロな菌が生地全体を膨らますことにより美しい曲線と柔らかさが生まれます。菌に比べて巨大すぎる人間の手では作り出すことができない造形です。雲、生命、宇宙と同じです。

きれいに膨らんだ生地には母性を感じさせる柔らかさと美しさがあります。さらに、この美しさは後から食べることができます。

膨らんだ生地を一旦潰してガスを抜き、ちょっと休ませた後に自分の好きな形に整えます。2回目の発酵が始まります。生地の中では無数の銀河の泡が誕生し、偶然によって密度の高いところ薄いところができてきます。ビッグバンです。

オーブンに入れられた生地は菌が死ぬまでの間、最後の膨張を続けます。予め入れておいてた切れ目はぱっくりと開き、膨張する宇宙の中身を垣間見せてくれます。さらに焼きが進むと生地の表面から変質していき、硬い皮が作られていきます。熱が中にまで届くと今まで柔らかかった生地は固定され、代わりにすごくいい匂いがしてきます。生命が持つ基本的な幸福感に働きかけてくる、とても強力ないい匂いです。

パンは宇宙です。
で、あなたは神です。

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