海に来たのは木陰でゆっくりするためではないので荷物と友人(ちなみに女ふたり)をおいてひとりで泳ぎ出す。撮影の邪魔にならないようにいつもよりもちょっと離れたところで泳いだんだ。気をつかったんだよ。えらいよね。その時は潮が引いていて礁湖の中は浅くて光もいっぱいで嘘みたいに気持ちよかったんだ。ほんとだよ。
30分くらい泳いで岸の方まで戻ってくると友人2人が波打ち際でちゃぷちゃぷしている。きっと移動しなきゃならなかったんだろう。まったく。友人の近くににいちゃんがひとり立っている。頭に白いタオルを巻いている。どうみても映画のスタッフだ。ヒトが写らないように見張っているんだろう。撮影隊の一団とは500メートル近くも離れているのにご苦労なことだ。
近寄りたくないなあと思ったけれど、そのにいちゃんは僕の上陸ルートのど真ん中で待ちかまえている。近くまで来た時に声をかけられた。そらきたぞ。「沖のほうはなんかいましたー?」とにいちゃん。世間話だ。
(つづく)
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