センチメンタル本屋

| | Comments (3)

小学生の頃、町に本屋がひとつしかなかったのですよ。どうも今もそうらしい。食い過ぎてぼよんぼよんになったので散歩がてらに行ってみました。実家から歩いて8分くらい。前まで来ると真っ暗な町の中で真っ暗な道を店内からの灯りが煌々と照らしていました。光る看板もない本屋。18年ぶり?

真ん中のサッシが入り口なのは今も同じ。はい、おつり300マンエン!と言っていたおじさんが白髪になってレジのところに座ってひとり静かに囲碁の本を読んでいました。おじさんの背中が丸くなったのと髪の毛が白くなったこと以外はまったく同じ風景。驚いたことに店内の本の置き場所がまったく変わっていない。週刊の漫画はレジの向かい。単行本は真ん中奥。文庫本が右奥。ハードカバーが右の壁。その横がエッチな雑誌。左の3分の1は文房具とかプラモデルとか花火とか。まるでおじさん(と僕)だけがタイプスリップして未来からやってきたみたい。

タイムスリップ先の本屋で買い物なんてめったにできないからなんか買うべし、と背中が丸まったおじさんの横を抜けて文庫本コーナーに行って、20秒で一冊選んでレジに持っていきました。町から出て行く子供達なんてたくさんいるだろうし、おじさんは僕のことなんてまったく覚えていない。僕は未来から持ってきた2000円札を選んで出しておつりを千いくらかもらいました。おじさんは紙の文庫カバーを反対向きにつけようとして失敗してやさしく苦笑い。やさしく笑うおじさんを見ていたらそこにある本を全部買ってあげたくなりました。まあでもそんなことしてもおじさんは幸せにならないし、ということに気づいてやめました。通貨の価値はあの頃とそんなに変わってないしね。

おじさんを勝手にかわいそうなキャラにしてるのは自分が今幸せではないと無意識に思っているということだったらどうしよう?などと考えつつ真っ暗な通りを歩いて帰ったとさ。ああセンチメンタルジャーニー。

Comments and Trackbacks

3 Comments

それいい話ですね。
いい話だ。

ぜひ、パクってください。

パクります。
キーはEmですな。

るるる~♪
ジャ~ン♪
デケデケ(ここから2バス)mizさん節炸裂!
バースト!

my stuff

Categories

月別 Archives

powered by MTOS