さっきテレビで北極熊の飼育物語みたいなのをやっていた。横目でちらちらと見るともなく見てた。そしたら寂しくて鳴いている熊の雄叫びで昔運んだラクダのことを思い出した。
場所はインドのラジャスタンというエリア、時はかなり前。その町はラクダの背中に乗って砂漠周辺を旅するツアーで有名な町。宿にいるとラクダツアー(これこれ)に乗るように宿の人たちから四六時中誘われる。ラクダツアーから帰ってきたら程よく無視される。まあもともと行くつもりだったので行くことにした。
ジープで半日くらい走ったところでおろされるとラクダとラクダ使いが待っていました。そこから町まで丸2日かけてラクダに乗って帰るというわけ。夜はほとんど草木のない草原に布団をひいて寝ます。たまに目が覚めると信じられないくらいの星。でもまたすぐに眠るのです。
2日目の昼くらいに道ばたに座っているラクダの場所で止まりました。ラクダ使いの話によるとそのラクダは足の怪我が痛くて歩こうとしないらしい。ラクダ使いたちはとりあえず水を飲ませてどうするか話し合っている。町まではまだラクダで半日かかる距離。ラクダでだよ。
どうしようもできないのでとりあえずすぐ近くの木陰にラクダを移動することになった。でも木陰を作り出すほどの木は見渡す限り存在しないようだったので、近くの茂みの横まで運ぶことになった。その茂みも座ったラクダと同じくらいの大きさしかない。冬だったけど昼の日差しは十分強いし、風が吹いたら体力も消耗するし、すこしだけでも隠れる場所があったほうがいいんだろう。草も近くにあれば食べられる。
ラクダってでかい。でかいと重い。そのときツアーに参加していたフランス人カップル(の男のほう)とオランダ人のおじさんと僕とラクダ使い2人で運ぶことになった。ラクダ使いがどこからともなく持ってきた2メートルくらいある丸太をまずラクダの腹の下につっこむ。そしてふたりと三人に別れて両側からその丸太を持ち上げる。
そしたらラクダがもの凄いでかい声で鳴くんだよ。「むおおおおおおおぉん、むおおおおおおぉん」って。実際僕はその泣き声にかなりひるんで、そんなに痛がるんならもう動かさなくていいんじゃないかと思ったけど、ラクダ使いたちはまったくひるまない。僕も黙って丸太を抱え続けました。
10分くらいの間に3回くらい休みながらなんとか茂みのところまで到着。でもあの状況だとどう考えてもあのラクダはあそこで死んだと思う。動物はきびしい自然の中では足を怪我しただけでも死んでしまうのだ。きっとほんとは僕らも変わらないんだろうね。
おやすみつくにこうにあらせられるぞ。
笑える話なのかと思ったら、感動した。
よくさ、人間がひどいことしたら「鬼畜以下」とか言うけど、鬼はどうか知らないけど畜類なんてさ、自然の法則に従った、クリーンな生き方してるんだよね。ちょっと臭くても、心はきれい。
自然に生きる動物に、自然に逆らった生き方をする人間は学ばないといけない・・・ね。
それにしても、ラクダ使いのおじさんたち、キーポンさんがめずらしく大きな日本人だったから助かったんじゃない?
確かにふたり組のほうにいましたが。。。
か・な・り・重かったですよ。
本人には立つ気がないかんじでしたからね。