「赤ワイン "バリオ"」

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赤ワインと白ワインを比べると、僕は赤ワインの方が20倍好きです。

バイト先の僕の机の横には恐るべき社長の机があって、そこに赤ワインと白ワインが一本ずつおいてあります。酒類をほとんど飲まない社長が半年前にイタリアから取り寄せたっきりのワインで、ホコリの被った瓶の肩に、輸入代行してるヒトが書いた手書きのコメントがゴム紐でつけられています。

それは短いコメントですが、
「赤ワイン "バリオ"
シチリア島のパレルモ郊外にあるエリチェという小さな街のワイン工場(うちのボスの知人が営む)で作られる赤ワインです。人気高いのですが、地元でもあまり手の入らない貴重な一本です。
*お召し上がり前にピッチャーに移し、すこし置いておくと、もっとおいしくなります。

と、書いてある。

このそそるコメントを毎日横目で見ながら、半年間僕はだまって働きました。そして今日。このワインをゲットしました。すばらしい。

バイトの帰り際、
「社長!お願いがあるんですが!」
「今日は僕の誕生日なんですが!」
「これ持って帰っていいですか!」
と、ワイン片手に、勢いよく、満面の笑顔で、有無をいわせない感じで、聞きました。

このシチュエーションで"NO"と言える経営者なんてこの世にいるわけもなく、赤ワインは見事僕のモノになりました。ローマのジプシー並に強引な手口です。

かなりのマイルド差の中に程良い酸味を感じさせつつ、それでいて去り際はやさしい。(33年間生きてきて初めてワインの味を描写中)それにしてもちょっと強引すぎたかなと一瞬反省しつつ、ワインって揺らしたらダメだとゴルゴ13に書いてあったのを思い出しつつ、ワインのボトルをおなかに差してバイクで帰ってきました。

その時、途中からずうーっと僕の頭の中でぐるぐる回り続けていた自分の姿、どんなのかわかりますか?

それは、
「大丈夫です!大丈夫です!これワインです!血じゃないです!」
と一生懸命説明する事故った僕の様子。

酔っぱらったー。

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