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いいアイデアが生まれるとき。(長いよ)

まず、あなたの頭の中にはひとりの指揮官とたくさんの兵隊がいると思ってください。指揮官以外の人たち(つまり兵隊)は働いているときは一言も喋らずもくもくと働きます。兵隊は何もしていないときは彼ら専用の部屋に閉じこもって出てきません。兵隊たちは指揮官の指示で一生懸命働きます。指揮官とあなたは以心伝心で、あなたが何かをするとき指揮官は兵隊たちにあなたの意向を伝えます。

例えばつめを切る時。指揮官は兵隊を動かしてつめ切りを使うための指の筋肉を動かします。体を動かしてやるのが兵隊の主な仕事なのです。指揮官は「深づめしないように」とか「切ったつめが飛んでいかないように」とか兵隊に指示しています。指揮官もつめを切るときは結構忙しいのです。
兵隊は毎日いろんなことをさせられるので本当は毎日毎日いろんなことを考えています。でも仕事中は一言も喋らずプロフェッショナルに仕事をするだけです。そして彼らの唯一の気持ちのはけ口はというと「部屋の落書き」です。兵隊はその日思ったいろんなことを、各自が思い思いに部屋の壁に書いて遊んで日頃の無口さとのバランスをとっているのです。兵隊同士はみんな自分しか見えてないのでとなりの人が何を書いていても何とも思いません。「へー」とか感心しないのです。兵隊の部屋の壁に書かれた落書きはものすごい量です。これを全部解読すればヒトがなぜ生まれてきたか、とかもわかってしまうくらいなのです。

しかし!あなたと以心伝心の指揮官は通常この落書きを見ることはできません。兵隊が働いているとき部屋の扉は開いてるのですが、その時指揮官も忙しいのです。兵隊が働いてないときは部屋の扉は閉まっていて、兵隊はなかで落書きしています。指揮官がこの落書きを見ることができるのは唯一「兵隊が働いていて、指揮官が暇なとき」だけです。

いつもいつも同じことを繰り返していると、指揮官の指示を必要としないで兵隊たちが勝手に仕事をしてくれるときがたまにあります。最初の段階では指示が必要なのですが、あまりにも慣れてしまうと兵隊たちは指揮官の存在を忘れてもうまく働きます。このときがチャンスなのです。暇になった指揮官は兵隊の部屋の入り口から「壁の落書き」を盗み見します。兵隊が部屋から出たり入ったり忙しいので、指揮官はゆっくりと落書きを見ることはできません。その量もハンバではないのです。

壁には小さなアイデアたちが無数に書かれています。ひとつひとつは意味のないことなのですが、指揮官はそれをあなたに伝えます。あなたが指揮官の伝達事項からつながりを見つけだしたとき、これがいいアイデアだったりするのです。こうやっていいアイデアがあなたの頭の中に浮かんでくるというわけです。

で、どんなとき兵隊は指揮官いらずになるかというと、僕の場合だんとつに「スクーターを運転しているとき」です。僕の兵隊はもう運転中の「見張り」もできるようになったので、10分くらい運転していると僕の指揮官は「見張り」までまかせて兵隊の部屋のほうに行ってしまいます。そうなると指揮官は支離滅裂なことを僕の頭のなかに送り込んできます。繋がるときもあります。バイクを止めて歩き出した瞬間、僕も指揮官もそんなことすっかり忘れてしまうことも多々あります。

僕は散歩はダメです。「次の角はどうしよう」とか「こっち行ったら帰り道がこうなるな」とか「曲がり角の向こうにヒトがいたらどうしよう」とか「犬に吠えられるかな」とか僕の指揮官は大忙しです。もうひとつ挙げるとすれば「好きな音楽を聴いているとき」があります。好きな音楽を聴くとき、はじめは指揮官ひとりで聴いています。でも一時すると兵隊たちが音につられて部屋からふらふらと出てくることがあります。で、またしばらくすると指揮官だけ音を聴くのをやめてしまうことがあるのです。そんなとき傍目で見る僕はだらしなくただぼけーっとしているようです。

「天才」と呼ばれる人たちは指揮官が二人いたりとか、部屋の鍵が壊れてたりとか、頭の中だけで兵隊が好きな音を鳴らすことができたりとか、そもそも兵隊がいきなり喋るとか、そんな感じなのではないでしょうか。

結局簡単には出てくるようにはなっていないようですね。何かをしながら考え事ができているときがその時、ということです。(<簡単に言ってしまった)実はこんなことを思いついたのはこの前友部正人さんのライブを見ていた時なのでした。

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