「舟に棲む」第一巻、第二巻 つげ忠男 ワイズ出版

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「つげ忠男?聞いたことないな~」って人がほとんどだと思うけど、この人、つげ義春の弟です。兄弟揃って、メジャーではないけれどコアな固定ファンを持つ、ちょっとカルトな漫画家。作風は、似ているような似てないような...。根っこの部分ではつながってるけど表し方はずいぶん違う。弟のほうが地味だけどストレートな気がします。

さて、この「舟に棲む」。作者自身がモデルの、売れない小説家が主人公です。自営業のジーパン屋の経営は妻と息子に任せ、細々と書き続けながらも、なかなか執筆に身が入らない日々。ふらふらと近くの川に釣りに通ううち、漁師から小さな舟を買い取ります。それを改造し、時々家をあけては舟で寝泊まりするようになり...。

周りから、なぜ舟に住むのかと聞かれて、なかなか上手く答えられず人に理解されにくい主人公。本人は切実なものを抱えていても、一社会人、父親として見ると、甘えた現実逃避をしているように思われがちで、家族も困惑気味。確かに、もしこの人が自分のお父さんだったら、ちょっと大変かなぁ。

戦争を知る世代独特の過去への思いや、現代の軽さに馴染めない気持ちは、親子以上も年が離れている私にはわかるようでわからず...。一度、作者と同世代で似た境遇にあった人に感想を聞いてみたいけど、今のところまだそのチャンスがありません。

ただこの漫画、難しいことは抜きにして、読んでてなんだか和むんだな~。舟で過ごすのは面白そうだし、川辺で出会う一風変わった人達はそれぞれ魅力的で、釣りや宴会の場面は楽しそう。川に出かけたくなります。

舟に棲む (第1巻)
舟に棲む (第2巻)

「いるのにいない日曜日」三好銀 エンターブレイン

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いるのにいない日曜日 (BEAM COMIX)

夫婦二人と猫一匹の休日を、毎回10ページほどで描いた短編集。
ささやかでほのぼのとした日常を描く、というだけじゃなく、少し不思議な出来事が混じる独特な作風で、絵柄にもちょっとクセがあります。

例えばある日の日曜日はというと...。昔の日記を見ていて、三年前のクリスマスのページが何かでべったりくっついているのを発見した妻。少しはがしてみると、記憶にない住所が書いてある。二人でその住所の辺りへ行き、なにか思い出すかと歩いてみるが...。(『めくれた記憶』

また別の日曜日。近所の不動産屋の貼り紙で、入居者の条件を「太った人不可」としているアパートを見つける。好奇心にかられて見に行くと、出入り口が極端に狭い四畳半だった。どんな人が借りるんだろうと気にしていたら、しばらくしてその部屋に明かりがついた。後日、その窓に太った人物の影が写っているのを見かける...。(『ダイエット・アパート』)

この本、初版発行は今年の1月ですが、実は描かれたのは15年以上前。当時ビッグコミックスピリッツに不定期に掲載されて、その後単行本になった「三好さんとこの日曜日」の中から、単行本未収録の作品を新たに選んで編集したものだそうです。「三好さんとこの日曜日」がお気に入りだったわたしは、今回どんな事情であれ続編が読めたのがうれしかった。

同時に発売された「海辺へ行く道 夏」は、"三好さんち"とはまったくの別物。これまたちょっと幻想的で個性的な作品でしたが、わたしはやっぱり、三好さんちの方が好きだな。

いるのにいない日曜日 (BEAM COMIX)

「君の天井は僕の床」 鴨居まさね 集英社

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君の天井は僕の床 1 (クイーンズコミックス)

少女漫画です。
...と書いた後に思ったけど、やっぱこれは少女漫画とは言わないかな。
主人公達は40代だし、いちおう恋愛物だけどキラキラしてないし。
こういう大人の女性の漫画って、なんていう名称になるんですかね。
「レディコミ」とは違うと思うし。
ま、いいや。

もうすっかり大人の男女が、ご近所で知り合い、
ゆるゆると回り道しながら、周りの人達をちょっとヤキモキさせながら、
近づいていくお話です。

鴨居まさねは、ドラマチックな展開とかクライマックスの盛り上がりを
つくることにはあんまり興味がないように見えます。
この人の描くお話はいつも、小さなエピソードの積み重ねで出来上がってる。
その具体的なエピソードの取り上げ方に、妙にこだわりを感じます。
普段の生活で「ん?」とひっかかった事を、普通の人はそのまま流して忘れていくけれど、
この人はそれをすくい上げて漫画の中に散りばめていきます。
わたしはそこがとってもツボなんですけど。
恋愛物にドキドキとか切なさとかを求める方にはあんまりオススメしません。

君の天井は僕の床 1 (クイーンズコミックス)

「刑務所の中」 花輪和一 青林工藝舎

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刑務所の中

なぜか、知り合いの家の本棚にある率の高いこの漫画。
タイトル通り、刑務所の中の様子が描かれています。
ガンマニアだった花輪和一は銃刀法違反で逮捕され、
執行猶予がつくだろうという大方の予想に反して懲役三年の刑をくらってしまう。
で、出所後に塀の中での生活を漫画にしたわけですが、
この手の手記にありがちな警察や裁判、看守への不満や批判は一切なし。
かといって反省する風でもなく、外への想いを切々と綴るような湿っぽいシーンも全くありません。
ただただ繰り返される囚人の日常が淡々と、でも事細かに描かれています。
よくこんなに細部まで覚えて絵に再現できたなぁと感心するくらい。
さすが漫画家。
特に食事についての描写は、異常なほど細かくしつこくて笑えます。
自由のない毎日だと、楽しみは必然的に
食べることに限られてくるんでしょうね。
特に甘い物は貴重なようで。
ある日の昼食の感想はというと...。

「ああ...食堂に満ちているサラダ(フルーツカクテル)の甘い香り
フルーツの甘い香りの中から生まれた日本の妖精が
ギトギト光るマーガリンや小倉小豆の上を華麗に舞っている
ああ...マーガリン
さいの目に切ったリンゴが入ったフルーツ
甘い甘い小倉小豆...
あまりにもうまいものを食うと脳が...(※ドニョリ~と脳が溶ける絵)
こんなうまいものを食ったのは生まれて初めてだ
ガキの頃生まれて初めて食った生クリームパンよりも...
学校帰りに食った揚げたてコロッケよりも
何百倍も何千倍もうまいのだった
そりゃあもう言葉では言いつくせない
ヘロインなんかめじゃないって...」

この時のメニューは、パン、マーガリン、フルーツサラダ、小倉小豆、牛乳。
たかがこれだけの食事に、大の男がノックアウトされてるわけですよ。
ここまで誉め讃えられるのは尋常じゃない。
でも、わたしもこの気持ち、ちょっとわかる。
十年ぐらい前の夏に、富士山頂の山小屋で住み込みのバイトをしてたとき、
食に関しては同じような状況を経験したので。
やっぱりお菓子には飢えていて、たまーにガイドさんが
差し入れしてくれると嬉しくてたまらなかった。
一つのあんパンを人数分に(14等分ぐらいやったかなぁ)
包丁で放射線状に切り分けて、大事に大事に食べたものです。
もちろん切り分けるときは大小の差が出ないようにと、そりゃあ真剣でした。
なつかしい。
...食べ物の話が好きなので、ついつい長くなってしまいました。

食事以外で一番印象に残ったのは、「願いま~す」。
昼間の作業中は、勝手に動くのは禁止で、
トイレにたつのはもちろん、落とした消しゴムを拾うのでさえ、
いちいち「願いま~す!」と手を挙げて係の許可を得てからしか動けない。
願いま~す願いま~すの声が邪魔で
がんじがらめにされるような重苦しさを味わうというくだりでは、
読んでるうちに気分的に同化してしまった。
それにしても、囚人仲間とのたわいないおしゃべりや、
健全で規則正しい生活を見ていると、
刑務所の中って平和でけっこういいところなんじゃないかと思えてくる。
いや、本人はもう入りたくないって言ってるし、
あえてノンキな書き方をしてるんでしょうが。

花輪和一はそれまで、中世を舞台に妖魔が登場する
ドロドロした民話のような物語ばかり描いてきた人だったので、
こんなユーモラスなエッセイ風の物を描くとは意外でした。
確かこの作品で手塚治虫賞をもらうはずが、辞退したそうです。
そんな大きな賞を辞退するのって、花輪和一らしくてかっこいい。

刑務所の中

「沢田マンション物語」 古庄弘枝 著 情報センター出版局

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沢田マンション物語

高知に「沢田マンション」という面白い建物があるらしい。
前からそんな噂を聞いて知ってはいたけれど、
この本を読んでみたら想像以上に面白かった。
型破りなエピソードがてんこ盛りで、感心するやら呆れるやら...。
本物の沢田マンションを見るためだけに、高知に旅行に行きたくなってきた。

さて、沢田マンションとはなんぞや。
高知市内に建つ、地下一階、地上五階、入居者約100 人の
かなり大きなマンションなのだが、
何が凄いかというと、大家さん夫妻(沢田嘉農さん、裕江さん)が
これを二人だけで建てたというところ。
しかも二人とも、義務教育を受けただけで
特に建築を学んだことなどない、独学の人。
着工は1971年、それ以来約30年間、嘉農さんは増改築を繰り返し、
マンション内は常にどこかが建設中の状態だったという。
同じ規格の部屋が真四角に並んでいるのでは面白くない、と
間取りは全室異なり、部屋ごとに様々な工夫が凝らされていて、
入居者による改築も可能。
「部屋が狭くなってきたから壁をぶち抜いてもいいですか?」
なんてのもOKだったというからオドロキ!
各階のベランダやあちこちに緑があふれ、
屋上には水田と野菜畑、ビニールハウスがあり、四階には池まである。
マンション自体も興味深いが、嘉農さん夫妻の生い立ち、
結婚に至るいきさつ、マンション建設までの苦労話がまたすさまじい。
自分の信念を貫いてやり遂げる、男気あふれる嘉農さんの実行力にも脱帽だが、
この人についていくと決意して女の身で並の男以上の仕事をし、
さらに家事や育児もこなした裕江さんも、すごい人だとしか言いようがない。
苦労人の二人は弱い者に優しく、入居者には高齢者や母子家庭も多く、
面接してこの人なら大丈夫と思えた人になら、保証人無し・貯金ゼロでも
部屋を貸したという。
残念ながら、嘉農さんはこの本の出版後に亡くなっているが、
現在も沢田マンションの管理運営は次女、三女夫妻によって引き継がれているそうだ。
ウィークリーマンションとして一泊から宿泊OKな部屋も有るらしいので、
いつか泊まりに行ってみたい。
ちなみに、職場で高知出身の女の子に
「沢田マンションって知ってる?」と聞いてみたら、
「知ってます!」とうれしそうに話をしてくれた。
建築好きとかサブカル好きに限らず、やっぱり地元では有名なんだなぁ。

沢田マンション物語

「トコトコ節」 いましろたかし/イースト・プレス

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トコトコ節 (Cue comics)

いましろたかしの描く人物は、たいてい情けない。
ものすごーく情けなくてカッコ悪くて、でも妙に憎めない。

この短編集には幾人かの登場人物が出てきますが、
ほとんど皆、30前後のパッとしない男たち。
顔からしてもう、成功とか出世とか男気とかいう言葉は
まったく似合わないし、女性とも縁遠い感じ。

彼らがそれぞれ、パッとしないながらも何とか日々暮らしていってる、
そのシケたエピソードの情けなさがリアルで、
妙にしみじみ、いいなーと思ってしまいます。
いいと思えるのは、わたしがダメ男好きなせいか・・・?
でも、このマンガをいいと言ってくれる人のことは、
なんとなく信用できそうな気がします。

特にわたしは、お人好しで純真な千葉ちゃんがお気に入り。
世の中には、こういうちょっとトロい人も居ていいんじゃないかと思うんです。

いましろたかし自身、一部のファンの熱烈な支持を受けつつ、
「いまいちパッとしない」状態でずーっとやってきた漫画家さん。

比較的最近の作品「釣れんボーイ」は
(最近といっても、もう十年以上も前か。。)
著者自身をモデルにしたと思われるマンガで、
仕事を嫌がり、渓流釣りに没頭するダメな漫画家が主人公となっています。
「平成のつげ義春」なんて異名もあるらしい。

いましろたかしには、頑張って新作を描いてほしい、
できればヒットしてもらいたい、と期待する反面、
バリバリ活躍できるような人なら、
もともとああいう味のある作品は描けないのかもしれない・・・
とも思ってしまい。。。
ファンの気持ちは複雑です。

トコトコ節 (Cue comics)
釣れんボーイ 上 (ビームコミックス文庫)
釣れんボーイ 下 (ビームコミックス文庫)

瞳子(とうこ) 吉野朔実 小学館

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瞳子 (小学館文庫)

吉野朔実は他にもいいのたくさんあるけど、マイベストはこれ!

80年代後半くらいの設定で描かれた、音楽好きでちょっとスノッブな女の子と、その友人達のお話です。その頃に青春時代を過ごした人なら、出てくるバンド名や本のタイトルが懐かしいかも。

二十代前半ぐらいまでは根拠の無い自信があったっていう人、きっと多いよね?白状しますと私もそうで、自分は皆とは違うもん、なーんてひそかに思っていて、音楽とか文学とか背伸びしてわかったような気になってました。

趣味の合う友達とつるんでるのが楽しくて、世間の事なんてどうでもよかったし。遠くのものに憧れて、自分の身近なものの平凡さが嫌だった(例えば母親の世間話とか。。)プライドだけは高いんだけど、まだ何者でもないっていうお年頃。思い当たる節がある人は、この「瞳子」には共感ポイントがごろごろあるんじゃないかな。

若さゆえの傲慢さで、専業主婦のお母さんやイケイケOLのお姉ちゃんのことを普段は馬鹿にしてる瞳子だけど、その現実処理能力を目の当たりにして感心する場面も出てきます。自分の弱点というか子どもっぽさにも、薄々気がついてるんですよね。

青春時代って振り返るとすっごく恥ずかしい。でも懐かしくて愛おしい。...と、すっかり通り過ぎたつもりの余裕な気分で、最近もこの漫画を読み返してたけど、作者のあとがきにドッキリ。

「年齢を重ねると少しずつ人生の謎は解けてきますが、だからといって不安が無くなるではないし、情緒が安定するわけでもありません。」

ハイ、そーですね!少しは大人になったつもりだけど、中味はあんまり変わってないですね...。

吉野朔実は読者家でもあって、本の雑誌やユリイカに連載された書評漫画のシリーズもいいです。わたしは書評を読むのが好きなんですが、これらはマンガ仕立てなので余計に楽しい。

お母さんは「赤毛のアン」が大好き
本を読む兄、読まぬ兄
弟の家には本棚がない
犬は本よりも電信柱が好き

瞳子 (小学館文庫)

リアリズムの宿  つげ義春「旅」作品集 つげ義春 双葉社

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リアリズムの宿―つげ義春「旅」作品集 (アクション・コミックス)

つげ義春を初めて読んだのは「ねじ式」だったかなあ。意味がわからなかった!でもとにかく衝撃だった!!

今日はたまたまこの「リアリズムの宿」が部屋の本棚にあるのが目についたので、これを紹介しまーす。代表作ってわけじゃないんだけど。というかですね、好きな漫画って人に貸したくなってしまうので、手元に無い率が高いんですよね。あるときふと、あれ?持ってたはずなのに無くなってる...ってことがよくあります。もう誰に貸したかも覚えてないし。まーいいや、と思って自分用にもう一冊買ったりしてます。

つげ義春は大変有名な漫画家なので説明は省きますが、後のあらゆる表現者に多大な影響を与えてますよね。たくさん映画化もされていて。「リアリズムの宿」も山下淳弘監督で2003年に映画になってます。旅の道中の、情けな~い出来事や気まずい雰囲気がよかった。ちなみに音楽は「くるり」です。

(この「リアリズムの宿」に登場する謎の女の子役の女優さんって、なんと!河瀬直美監督「萌の朱雀」の少女役の子だったんですね~。つい先日、お昼どきにNHK「スタジオパークからこんにちは」をぼんやり見ていて知りました。あの田舎の娘がこんなになったんだーって感慨深かった。
尾野真千子ちゃん。とっても性格の良さそうな女優さんです)

この作品集には、「リアリズムの宿」のほか、「紅い花」「李さん一家」「ほんやら洞のべんさん」「もっきり屋の少女」「庶民御宿」など11編を収録。つげ義春独特の、観光名所も豪華料理も一切出てこない「旅もの」集です。「李さん一家」は、別にこれ、旅の話じゃないよなあと思うけど、わたしはつげ作品の中でも特に好き。最後の1コマ「実はまだ二階にいるんです」が妙に印象に残ります。

「李さん一家」の後日談の短編「蟹」も入ってますよ。あっさりした話だけど。

リアリズムの宿―つげ義春「旅」作品集 (アクション・コミックス)

「天食」 泉昌之(原作:久住昌之、作画:泉晴紀)/晋遊舎

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天食

「天食」
泉昌之(原作:久住昌之、作画:泉晴紀)/晋遊舎

知る人ぞ知るマンガユニット、13年ぶりの短編集。現代に生きる侍の、食への情熱とこだわり。(なんで侍なのかは、まあ置いといて♪)ただし、好物が主にジャンクフードというところが、情けなくて笑いをさそう。

初めての街で入る飲食店の選び方、注文の品が出てきて期待を裏切られたときの落胆、天ぷら定食を食べ進める順序、カップ焼きそばの美味しさについて、などなど誰もがなんとなく頭の中で考えてはいるけれど、わざわざ人に言わないようなことを、過剰なまでに高いテンションの作品にしてしまっています。

帯に"重箱の隅を全身全霊をこめてほじり描く"とありますが、まさにそんな感じ!ちなみに、帯には奥田民生の推薦文も。「俺もこんな風に曲を作りたい。というか、作っている。(奥田民生)」...民生にあまり詳しくないわたしには、ちょっとピンときませんが、この漫画が面白いことは確かです。

久住昌之は、他にも谷口ジローや弟の卓也ともマンガユニットを組んでいて、それぞれにいい味出してます。久住昌之名義ではエッセイもあり。「天食」の小市民的な笑いがツボに入った人には、久住家の父のビンボー臭い手作り作品をこっそり紹介した「工夫貧乏のシアワセ」もオススメします。

天食
工夫貧乏のシアワセ

「臨死!!江古田ちゃん」(1巻~現在4巻まで)瀧波ユカリ/講談社

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臨死!! 江古田ちゃん 1 (アフタヌーンKC)


「臨死!!江古田ちゃん」(1巻~現在4巻まで)
瀧波ユカリ/講談社

東京練馬区・江古田に住む江古田ちゃん(24歳独身・女)の、日々のつれづれ4コマ漫画。
一人暮らしの部屋では全裸で過ごす彼女。だからこの漫画、ほぼ半分は裸です。(でもヤらしくはない)

昼間の派遣の仕事のかたわら、フィリピンパブのホステスやヌードモデルのバイトもこなし、プライベートでは本命君に適当にあしらわれながらも離れられず、他のどうでもいい男のコ達とつき合って...というと、ただただ軽薄なイマドキ女子のようですが、言ってること考えてることは真っ当でまっすぐ。バカバカしさの中にも鋭いセリフが散りばめられてます。

友人Mとの毒舌バトルは、見ていて気持ちいい。(これ読んだ後は「猛禽」ってコトバが使いたくなりますよ、きっと。)女子の内輪話だけじゃなく、等身大の社会風刺(?)もちらほら...。時々つぶやく切ない一人言にもグッときます。

瀧波ユカリって賢い人なんだろーな。江古田ちゃんの他にはまだ作品を出してないようですが、この先が楽しみな人です。変なタイトルだと敬遠せず、是非読んでみてほしい!

臨死!! 江古田ちゃん 1 (アフタヌーンKC)