「トコトコ節」 いましろたかし/イースト・プレス

トコトコ節 (Cue comics)

いましろたかしの描く人物は、たいてい情けない。
ものすごーく情けなくてカッコ悪くて、でも妙に憎めない。

この短編集には幾人かの登場人物が出てきますが、
ほとんど皆、30前後のパッとしない男たち。
顔からしてもう、成功とか出世とか男気とかいう言葉は
まったく似合わないし、女性とも縁遠い感じ。

彼らがそれぞれ、パッとしないながらも何とか日々暮らしていってる、
そのシケたエピソードの情けなさがリアルで、
妙にしみじみ、いいなーと思ってしまいます。
いいと思えるのは、わたしがダメ男好きなせいか・・・?
でも、このマンガをいいと言ってくれる人のことは、
なんとなく信用できそうな気がします。

特にわたしは、お人好しで純真な千葉ちゃんがお気に入り。
世の中には、こういうちょっとトロい人も居ていいんじゃないかと思うんです。

いましろたかし自身、一部のファンの熱烈な支持を受けつつ、
「いまいちパッとしない」状態でずーっとやってきた漫画家さん。

比較的最近の作品「釣れんボーイ」は
(最近といっても、もう十年以上も前か。。)
著者自身をモデルにしたと思われるマンガで、
仕事を嫌がり、渓流釣りに没頭するダメな漫画家が主人公となっています。
「平成のつげ義春」なんて異名もあるらしい。

いましろたかしには、頑張って新作を描いてほしい、
できればヒットしてもらいたい、と期待する反面、
バリバリ活躍できるような人なら、
もともとああいう味のある作品は描けないのかもしれない・・・
とも思ってしまい。。。
ファンの気持ちは複雑です。

トコトコ節 (Cue comics)
釣れんボーイ 上 (ビームコミックス文庫)
釣れんボーイ 下 (ビームコミックス文庫)

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この記事について

このページは、サトがJanuary 21, 2010 10:56 PMに書いた記事です。

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