ここ数日書こうかどうか迷っていたのだけど、数日空けてもまだ書きたいので書く。
オリンピックで、スノーボードの選手が服装が乱れていると報道された。
その後不思議な騒動が起こった。
あらゆるニュースがその様子を報道し、たくさんの人たちが踊らされ、協会や大学に抗議が殺到し、一時は出場さえ危ぶまれた。大臣までもが彼の服装に苦言を呈した。
僕はなんだこりゃと思ったけれど、まあいつものことだし、そもそも他人事だし、スノーボードにもさほど興味がなかったので特に取り立ててなにも意見はなかった。
彼は決勝に進み、8位に入賞し、ちょっと素敵なコメントを残した。
その後に起こったことを僕は忘れないでおこうと思う。
さまざまなテレビで彼の人間性を讃える趣旨の放送がなされ、大臣は「よくがんばった」といい、新聞にも「あんな騒ぎになるのはおかしい」という記事が載った。
俺は、お前ら全員そのスノーボード選手の前に行って土下座して謝れと思っている。
スポーツ選手がどれほどの努力をしているか正確にはわからないけれど、想像を絶する努力であることは想像できる。人の服装を批判しておいて、競技でがんばったら手のひらを返して褒めるなんてことがあるか。スポーツ選手がスポーツで必死になるなんて当たり前だ。そのことを想像もせずに、見たままのものを安易に批判して、彼が思ったよりがんばったら「すがすがしいですね」ってお前らどういうつもりだ。
20歳そこそこの若者つかまえて、オリンピック前の大事な時期に心をかき乱して、どれほど愚かだったら気が済むのか。
せめて、僕は大臣に言ってほしかった。「確かに彼はよいすべりをしましたが、僕は彼を一生批判し続けます」って。
スポーツ選手がスポーツしてなんとなく「あー彼も一生懸命やってるんだ」みたいな空気にするなよ。
服装が気に入らなかったんなら、死ぬ気で批判しろよ。
人を批判するときには死ぬ気でしてよ。誰かの人生をこなごなにして、その残骸の上で高笑いしてよ。
世の中のなんとなくの流れで人を批判する人を僕は批判する。
あの服装をどれほどの人が心から不快に思ったのか。そして不快であったとして、それは人の人生をこなごなにするほどの不快さだったのか。
あのとき不快だった人に聞きたいのだけど、今も不快ですか?
あの人がたいした成績を上げられなかったからすっとしましたか?
ざまあみろと思って、すがすがしい気持ちで仕事をしたんでしょうか。
あのな。
テレビやなんかで人を批判するやつはな、批判を取り下げるときは死んで詫びろ。
批判した人の前にいって頭を下げて「こないだはこんなこといってすいません許してください」っていえ。そんで許してもらえなかったら死ね。なんとなく流れに乗って発言して、人の人生壊しといてのうのうと生きるな。
あとな、そんな中途半端なやつらに踊らされて、協会や大学に批判の電話するやつ。お前らが一番腐ってる。人前に顔もさらさずなんとなく世の中のためにいいことした気になってるやつな。よかったな。すっとしたか。俺はお前のせいですごく気分が悪いよ。
少しだけ想像できないだろうか。
あなたの一番大切な人を想像してほしい。
とても信頼できる。尊敬も出来る。
でももちろん100点ではない。
身近にいるどんな素敵な人も、完璧ではない。
その人のささやかな欠点を世界中が批判しだしたときあなたはどんな気分になるんだろう。
それでもあなたは世界の側に立って、その人物を批判するだろうか。
なにも考えずに世界の側に立たないでほしい。
どの場所に立つにしても、何かを考え、想像し、確信して立ってほしい。
我々には力がある。
その力は時に誰かを握りつぶしてしまう。
世界はいつか、あなたやあなたの大切な人を殺めてしまうかもしれない。
僕にも嫌いな人はいる。
だけど、彼らを社会的に殺してやろうとは思わない。
スポーツマンの大切なステージの直前に粉々にしてやろうなどと思いもつかない。
ましてや、そいつがいいやつだとわかったとたん手のひらを返したようにニコニコしたりなんかしない。
嫌いなやつは死ぬまで嫌いだ。絶対にそれは曲げない。どんなことがあったって迎合することはない。
忘れてはいけない。
僕らの発言は世界につながっている。
我々の発言の集積が、世界を変えていくのだ。
せめて、良いように変えたいと、僕は思ってる。
同感。
Posted by: mariachi on 2010年02月20日 12:55
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