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2006年09月25日

 ずいぶんといろんなことがあった気がする。
 東京でライブをして、西部講堂でのイベントを手伝って、今は締め切り前。
 言葉にするとたった一行なんだけど、どうも、そう簡単ではないようで。

 西部講堂でのイベントではいくつかのトラブルを抱えた。
 なにかを作り出すリスクのことは知っていたけれど、それが僕ではなく誰かに降りかかることをきちんと想像していなかった。何か問題が起こったら、僕が責任を取ったらいいとずっと思っていたけれど、責任が取れないようなことだって起こりうるってことだ。
 スタッフの一人が怪我をして、病院に運ばれて、彼の声を聴きながら、なるほどこれが現実だと思い知った。ここではなんでも起こりうる。僕らは、薄氷を踏んでいる。いつだって足の裏には徳俵がある。何かを作り出すときに、その事だって抱えていかなくてはならない。

 まだ、スタッフがずいぶんと残っている西部講堂を後にして、僕は翌日のインストアライブの為の練習に向かった。スタッフのうちの一人が病院で検査を受けていて、どんな状態か分からなかったので、会場にいたかったけれど、ここで音楽をないがしろにしたら、本当に大切な物を見失いそうな気がしたので夜中に車でスタジオに向かった。車の中ではロボピッチャーを聴いてみたけれど何の役にも立たなかった。音楽はこんなときに何も出来ない。もう少し後できっと役に立つんだろうけど。

 スタジオで伊藤君ときちんとした練習をした。
 歌って、ギターを弾く。伊藤君はキーボードを叩く。
 1時間半の練習。
 体に音楽がしみていく。声と手がリズムを覚えていく。
 でも、心にきちんと音が渡っていかない。
 
 練習の後、西部行動に戻る。AM2:30
 みんなが笑っていた。彼は思ったよりも軽い怪我だったらしい。とはいえ、骨を折り、しばらく片腕は使えなくなるのだけど。
 
 ああ、そう、と、僕は言って、椅子に座ったら泣きそうになって、彼に対して本当にごめんと思った。人として。
 そしてもちろんほっとして、みんなと少しだけ話した。
 
 僕らが抱えている物や僕らが作り出した物は、まやかしかもしれないとずっと思っていて。
 まあ、でも別にそれでもいい。まやかしでも、みんながまやかされてんなら素敵なことだ。
 大体形のないものを売ってる奴はみんな詐欺師だ。そこにどんだけたくさんの人間が納得できる価値を付加できるかってことでしょう。
 そんなまやかしの世界で起こった、まやかせない事故に僕は今後きちんと人として対応しようと思う。

 優先順位は決まった。 
 やりたいこともわかった。
 それでも続けていくのだと決めた。
 
 くだらないことがたくさんあるこの場所で、僕がよいと思うことを僕がよいと思う人たちと作り出していこう。
 今見えていることにこそまっすぐに。

 そして、彼が帰ってきたら、僕が思いつく限りの一番いい場所を用意していたいと思うのです。  

Posted by kato takao at 2006年09月25日 05:14 | TrackBack
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