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2004年08月03日

 体からいろんなものが、はらはらと零れ落ちていきます。
 かぴかぴになっちゃった肌から、無機質な残骸がこぼれていって、僕はもう以前の1/4くらいの重さになってしまった。

 これは、どういう事態なんだろう。うまく処理できていない。まず、現状を認識していない。何が飽和していて、何が不足しているのか。
 そして、対処の仕方がわからない。
 ここには僕がいて、他にはなにもない。

 僕は誰かの声が聞きたくなって、電話をしてみるのだけど、誰かが受話器の向こうで話し出すと、とたんに話したいことがなくなってしまうのです。

 「じゃあ、あの話は嘘だったんですね」と君はいうけど、それが本当に嘘なのかどうかは、僕が一番知りたいことなんです。
 嘘ってなんなんだろう。ほんとじゃなかったら全部嘘?

 仕事を終えて、僕は家へ帰ってくる。そこには安らぎみたいなものが存在していて、温かいシチューとか、そういう形而上の安らぎがあるはずだ。
 僕は鍵を取り出す。ただいまをいう準備をする。ドアのノブを握る。
 ドアは開かない。
 向こうでは誰かの話す声がする。幸せそうな音だ。
 幸せそうな音?幸せそうな音ってなんだ。幸せな人間が発する音か。
 ドアの向こうでは話し声がする。幸せそうな音で。
 彼らは、次の殺人の計画を練っていた。幸せそうな音で。
 標的は僕だった。僕は、指の先から、とてもゆるやかな毒をしみこまされて死ぬみたいだ。
 きっと幸せそうに死んでいくんだろう。

 まるで、体が自分のものじゃないみたいだ。どうしよう。
 はらはらと、体から落ちていったものが、きっと僕だったのだ。
 今残ってるのは、じゃあ、なんなんだろう。

Posted by kato takao at 2004年08月03日 04:44 | TrackBack
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