愛:じゅんこさんと一緒に見に行ってたhi*limitsの鶴坊さんが、みずきひろゆきくんとして、この「おすわり!」の1回目のゲストになってますよね。それは鶴坊さんがずっと音楽を続けてくれたからやし、じゅんこさんがずっとライターを続けてくれたからやし、「おすわり!」のページを作ってくれた人がいるからやし、全部つながってるんですよね。やりたいことっていうのは、表現したり伝えないと何も広がらなくて。まずは行動することが大事で、あきらめないことが大事だなってすごく思います。
じゅ:やっぱりそういう想いっていうのを日頃から持ってる人としゃべると絶対伝わるね。今すごいそれを感じるわ。
愛:がんばってる人とか、自分のやりたいことに向かって命かけてやってる人とか、私の周りにすごく多くて。そういう人と一対一でしゃべってると、めっちゃ刺激を受けるんです。DJという仕事でも、ラジオとかイベントとかですごいいろんな人とお会いするんですね。そういう出会いをフルに楽しめる仕事で、音楽を通じてでも、スポーツを通じてでも(「SAGAWA SHIGA F.C」のスタジアムDJをしています)、一つの道を一生懸命進んでいる人っていうのは、ポリシーがあるし、いろいろ考えながら毎日を過ごしているから、勉強させられるというか、すごいなーとか、いただくことが多くって、それもすごい楽しいし、考え方ががらっと変わったりとか。会話が楽しいんですよ、とにかく今。
じゅ:うん、そんな感じやわ。
愛:誰かと会ってしゃべることがすごい楽しくて。大きなパーティーに行くのもいいんですけど、どっちかというと、気になる人とは一対一でしゃべりたいんですよ。
じゅ:こういうDJになりたいとか、もっとこういうことしたいっていうのはある?
愛:私の目標は、DJとして聞いてくれてる人たちがワクワクする番組を作りたいんですよ。例えば、すごい疲れてて車のラジオをつけたときに、ゲストで知らない人が出てて、誰やねん?って思っても、その人の曲が流れたときに、いいやんとか、たまたま聞いた歌詞に元気づけられたりとか、そういうのってすごいことだと思うんですよ。それも偶然であり必然で。そこで、そのタイミングで曲がかかったからだと思うし、その時間をそのラジオにいただいているからこその出会いであるわけで。そういう貴重な時間をいただいているからには、おもしろくしたいし、ワクワクする番組をやりたいなと思うし。素敵な音楽と出会えるきっかけになる番組にしたいんですよ。それで最終的に素敵な音楽、自分がいいなと思っている音楽だったり、がんばっている人たちの音楽とか活動をたくさんの人に広めたいというのがあるので。 ラジオっていうのは音がメインじゃないですか。その音を聞いていいなって思った人がライブに行って、やっぱりいいなと思ってCDを買う。それが一番の目標なんですよね。だからぶっちゃけて言うと、自分のトークを聞いてほしいわけじゃなくて…、音楽に出会う入り口になったらいいなと思って。
じゅ:さっき「橋渡し」っていう言葉も出てたもんね。
愛:実際に私がラジオから素敵なことをいっぱい教えてもらったから。今、ライブに人が来ないとか、バナナホールとかネストサルーン(どちらも関西の歴史あるライブハウス)がつぶれてしまったりとか、CDが売れないとかいう現実があるんですね。でも、ライブに行ってそのライブがよかったらCD買おうって思うじゃないですか。
じゅ:そうやね。
愛:やっぱりライブっていうのは、アーティストさんの想いが詰まってる場所やし、ライブってその日その日によって全然違いますよね。「音楽は生き物だ」って言われるけど、その瞬間の気分だったり、お客さんとミュージシャンの空気間っていうか、テンションだったり雰囲気によって曲が変わるからそれが楽しくって。そういう生のライブの楽しさを一人でも多くの人に見てほしいんです。私はライブで人生が変わったし、こんなに楽しいことがあるのに、それを知らないなんてもったいないって思って。ライブに行ってこそアーティストさんも想いが伝わるし、私たちもそのパワーをもらって楽しくなるやろうし、楽しくなるだけじゃなくて、自分が普段生活していくうえでのヒントをもらったりであったり、得るものってものすごく多いと思うんですよ。
じゅ:それってラジオでも同じような気がしていて、ただ音楽を聞きたいんだったらそれこそCDを流しておいたらいいだけの話であって、私が何を求めているかといったら、DJさんの話であったり、この曲の作られた背景を知れることであったり、DJさんがゲストのトークを引き出すことであったりとかなんだよね。
愛:あ、それはうれしい。逆に言うと、めちゃめちゃかっこいい曲があるじゃないですか。もう余計な言葉はのせたくない。とにかく聞いてほしいという。でもやっぱりDJとして紹介するうえで、どういう紹介をすればさらにかっこよく聞こえるだろうとか、アーティストの想いが伝わるんやろと。言葉をプラスアルファするからには、曲がもっと素敵に聞こえないと意味がないわけですよ。だからイントロ紹介でも、例えば最初の5秒はドラムから入ってここは聞かせたほうがいいなとか、ここの5秒から展開が変わるからこのリズムが変わったところから言葉をのせて、歌い出しの2秒前にブレイクが入るからここはあけたほうがかっこいいなとか、そういうところはすごいこだわってやってるんですよね。いかに、その曲が素敵に聞こえるかっていうのを追求するのがDJとしての仕事で。それってすごい楽しいことなんですよ。イントロ紹介で自分でこういうふうに紹介したいっていうイメージ通りにできたときはものすごいすっきりするんですよね。
じゅ:よっしゃー!みたいな?
愛:そうそう、そういうガッツポーズが出ることによって自分のテンションも上がっていくし。それがきっかけで、「さっきかかってた曲ってなんて曲ですか?」って反応がきたり、「この前、愛ちゃんが話したライブに行ってきたらめっちゃよかったです」とか「CD買いました」とか言われたり。
じゅ:うれしいねえ。
愛:あとライブ会場で声をかけてもらって、「あのときのインタビューがきっかけでCD買ってライブ来たんです」とか言ってもらえることが最近増えてきたのがすごくうれしくて。
じゅ:DJ冥利に尽きるねえ。
愛:ほんとに。今は、実際にラジオだけじゃなくて「ハッピーラッシュ」っていうイベントも企画したりしてるんです。DJだけじゃだめなんですよ。インタビューの先につながるものがしたくって。それはやっぱりライブなんです。出会いの場を作りたいんですよ。「ハッピーラッシュ」っていうイベントは、このバンドが好きな人はこっちのバンドも好きになってくれるんじゃないかと思ってブッキングしたり、アーティスト同士で仲良くなったり、違うバンドのファン同士が友だちになったり。プラスアルファで、フードとカフェに協力してもらったり、フライヤー書いてもらってたり、いろんなジャンルとのコラボレーションも目指していて、それも新たな発見で、毎日の生活の中でのワクワクが増えたらいいなと思って。そのきっかけづくりをする仕事をしたいんですよね。 ラジオがあって、イベントがあって、「ジャングルライフ」(ライブハウスなどで配布されているフリーペーパー)の連載があって。いろんな現場に自分が入ることで、まわりで支えてくれている人たちと話すことによって、素敵な音楽を伝えないかんっていう使命感に燃えるんですよね。でも、「この曲をあなたに知ってほしいの!」っていうと荷が重くなっちゃうんですよ。自己満足と押しつけには絶対なりたくなくて。もっと軽い感じで「こんなんあるでー。よかったら聞いてー」ってスタンスでやっていきたいんです。
じゅ:「私はこんなん好きやけどどやろ?」みたいな。
愛:そうそう。「こんなんええなと思ってんけどどう?」とか。自己満足にはしたくないけど、みんなが楽しめる選曲、かつ新しい刺激っていうか。
じゅ:その兼ね合いがおもしろいところであり、難しいところであり…。
愛:そうなんです。3月までやっていた番組は、選曲も自分でやったからすごい大変だったんですよ。1週間のうち仕込みに2日かかったりして。でも楽しかったですね。やっぱり、私は根本的には、知る人ぞ知るいい音楽っていうか、まだまだ知られていないナイスミュージックを広めたいっていうのが一番大きな柱になって、それに気づいて覚悟を決めてからは、いい方向に進んできたように想います。やりたいことをいろんな人に言ってたら、自然と道が開けてきて。いろんな人が紹介してくれたりとか。
じゅ:そこも人の縁やね。
愛:そうですね。自分から想いを伝えて行動して、あきらめないっていうのは大事だなって思います。そして、感謝の想いを忘れずに!