2006年08月16日

ひいおじいちゃんの龍

ささやかですが、自分なりにお盆らしいことをしてみました。普段はたたんでいる父親の写真をたてた時に思い出したのですが、そういえばひいおじいちゃんの写真を身近に持ってない事に気づきました。
自分がものごころついた頃には半分寝たきりの生活を送っていたひいおじいちゃんですが、背中に龍の入れ墨があって、その「龍」を見たさに風呂場や便所までよくついて行ったものです。深い色を放つ迫力のある龍でした。ひいおじいちゃんは東京で宮大工の棟梁をしていました。第二次大戦後、一足先に岡山県へ疎開していた息子(おじいちゃん)が身を案じてなんとか連れてきたようでした。戦中は「ここで死にたい。」と言い張ってきかなかったみたいです。
寝たきりのベットの横には必ず「あかだま」と「甘露飴」が置いてあって、毎晩コップ1杯のあかだまを楽しみにしていました。機嫌の良い日は昼夜問わず呼び出され、「遊ぶか?」と言って湯飲みにサイコロを振って出目を当てあった。僕が勝つと甘露飴を一つくれるルールでした(負けると没収されます)。この二人の博打もどきが始まると、若かりし頃、博打で家をまるごと失ったひいおじいちゃんの眼差しが険しくなるのです。サイコロの動きが止まるでは、まるでほかのものが全て止まっているような錯覚をおぼえました。
もう一度あの背中の龍をまじまじと見たくて、機会があれば色々と実家で写真をあたっているのですが、裸の背中を写したものなどあろうはずもなく、現在のところあの頃に見ていた入れ墨を記憶の中でたどたどしくさかのぼるにとどまっています。

博打の最中は「さいころと戦争のやることはわからん。」が口癖でした。天国行ったらまた一緒にサイコロ振りたいと思っているのですが、今度は僕もあかだま1杯を賭けましょう。で、「わかっていたこと」を聞いてみたい。
そろそろ東京のお墓にも参りたいなぁ。お盆ですな(!)。


nakashu* 水曜日 00:53 | TB