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2023年04月12日

17年ぶりにアルバムを発売するってどんな気持ちになるんだろうと思いながら今日を待っていたのですが
17年ぶりにアルバムを発売した人にしかわからない気持ちになったので形容のしようがない。
誇らしいような恥ずかしいような突き進みたいような立ち止まって考えてみたいような。

17年ぶりのアルバムとはいうものの、レコーディングしたのは14年前とかでして。
当時のロボピッチャーといえば、3枚のミニアルバムを発売して、1枚のフルアルバムを発売して
その結果として、レコード会社、レーベル、音楽事務所などの契約がすべてなくなって
さてとこれから一体俺たちはどうしていくんだ?ってなってました。
そんな気持ちの中でこのアルバムは作られました。
CDにしてくれる人が誰もいなかったので、配信のみで発売されました。
結果としてそれが功を奏して、JASRACに登録していなかったので自由に使えるってことで
リアル脱出ゲームのエンディングとかでアルバムの一曲目である「限りある世界で」が使われまくることになりました。
おそらく僕が作った曲の中でもっともたくさんの人に聴かれた曲であろうよ。

この頃の自分が一体何を考えていたのかもうはっきり覚えていない。
死にたくなるような不安感と、俺は絶対誰かにどこかで必要とされているという根拠のない自信を
行ったり来たりしながら生きていたんだと思う。
音楽家としてはもう最後通告というか結果が出ていて
「お前はもう才能がないんだよ」って世界中から言われたような気がしていた。
たくさんの人たちが関わってくれたロボピッチャープロジェクトという一つの祭りが終わろうとしていて。
少しずつみんなが離れていって、申し訳なさそうな顔しながら離れていく人も
ざまあみろ!って感じで離れていく人もいて、この人たちの顔を全員覚えておこうと思ったのを覚えている。

良い音楽って難しいですよね。
周りにはまだ絶賛してくれるお客さんもいて、ライブをすれば一番前の席で泣いている女の子とかがいて、
自分でも自分の書く曲がどう考えても世界で一番かっこいいと思っていて
それでもただたった一つの問題が「ファンが増えない」ってことで。
ファンが増えないといっても、僕らの常識からいえばすごいたくさんのお客さんが来ていて
何千人っていう人がロボピッチャーのCDを聴いてくれて
でもそれじゃビジネスにはならないといわれ続けて、一体どうすればいいのかさっぱりわかんないときの僕がこのアルバムの中に閉じ込められています。

このアルバムには切り裂くような強い言葉は使われていない。
可能な限り早く生きて、可能な限り早く別の意味になってやりたかったこれまでのアルバムとは違って
その場所で立ち止まって、これからどうしようかを逡巡する30前半の不完全な男子が焼き付けられている。
だから僕は手紙を破り捨てて
世界に限りがあることを悟り
死んでしまったパンダーマンに売れない言い訳をして
愛されない自分たちをタングラムに見立てて
質問を繰り返し続けた。

ここで立ち止まったからリアル脱出ゲームが生まれたというのはたぶん言い過ぎではなく、
ひたすらカルトローカルヒーローであろうとし続けた僕が、
(いやあるいはそれしか目指せなかったのだろうけれど)
身近なイベント、身近な言葉、身近な企画以外のものを手にしようとする直前の屈伸がここにある。

いやちょっと待て。
CD発売の宣伝のためのblogで何を独り言を書き続けてるんだ俺は。
年を取ると話が長くなっていけない。
まあどうぞ聴いてみてください。
あなたの人生に寄り添うような一曲があればいいのですが。

僕の人生の交差点的な作品として、もうCDの中にはふんだんに謎を盛り込みました。
音楽と謎は別だよとか言ってた自分よ消え去れ!
俺が作ったもんだから恥ずかしげもなくごった煮に合わせてお届けします。
謎を作ってくれたのは熱烈マングースのチェロでも同じに山本渉です!

一万人の前で司会をした翌週のライブに30人しかお客さんが来なかったり
年間100万人お客さんが来るのにライブは年間200人も来なかったり
音楽の告知をするときはTwitterのいいねもほとんどつかなかったり
「なんで加藤さんって音楽やってるんだろね?」などと陰口叩かれてるであろうことも知りつつ
それでもやっぱり「もうやめよう」とは思わないのは
今に至ってもやはり僕は僕のつくる曲が世界で一番すごいと信じて疑ってはいないし
その世界一すごい曲をさらにすごくしてくれるのはロボピッチャーのメンバーであることはもう自明の理であり
ロボピッチャーのことを好きだと言ってくれる人は世界一センスのいい人であることを
ほんの一ミリも疑ってなどいないからです。

このアルバムを出すためにたくさんの人たちに協力してもらいました。
すばらしいジャケットを作ってくれた白木さん。
「これはCDにして出すべきだ!」と言ってくれ、最後まで責任をもって進めてくれた飯田君。
SCRAPのグッズとして出すために手を動かしてくれた津田さん。
宣伝を率先してやってくれた横供さん。
その他さまざまな大変なことをやってくれたSCRAPのみなさま。
謎を作ってくれた山本君。
僕に音楽を続けることを許してくれている熱烈マングースのみんな。
いつも適切なタイミングで励ましてくれる家族。
大きな棚に並べてくれたタワーレコードのみなさま。
泥酔しながらも「加藤さんは結局音楽を続けるしかないんですよ」と言ってくれた日テレの依田さん。
販売&宣伝してくれているリアル脱出ゲームの店舗のみなさま
CDを印刷してくれた印刷会社の方。
CDを運んでくれた運送会社の方。
一体どれだけの人たちのおかげで僕らが今こうしていられるのだろうと思います。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。
ありがとう以上の「ありがとう的な言葉」を知っていたらそれを使いたいのだけど
ありがとうしか知らないからありがとうと言います。
ありがとう。

とてつもなく特別なアルバムになりました。
どうか聴いてみてください。
もしめちゃくちゃいいと思ったならSNSで感想などつぶやいてやってくれ。
ロボピッチャーのことを想ったあなたの言葉をちゃんと見つけ出します。

では長く長く長くなってしまいましたが、聴いてやってください。

購入はこちら!
https://www.scrapgoods.jp/c/robopitcher/SCR-03-2477

謎はないけどサブスクで聴くならばこちらから!
https://linkco.re/erPHhNz0

そしてレコ発ライブも行います!
ロボピッチャーライブバンドです!
アルバムを聴いて少しでも良いと思ってくれたならライブはもうめちゃくちゃかっこいいです!
京都磔磔 4月29日(土)19:00
下北沢BASEMENT BAR 5月21日(日)12:30
詳細&チケット予約はこちらから! http://robopitcher.com/live/live.html

17年ぶりのアルバム発売に緊張してます。
とにかく1人でもたくさんの人たちに聴いてもらいたい!
そしてたくさんの感想も聞いてみたいです!

それでは!

ロボピッチャー 加藤隆生

Posted by kato takao at 2023年04月12日 21:02 | TrackBack
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