あの時を境に自分の人生が方向性を変えたなあっていう年がいくつかあって。
例えば2007年なんかは僕の人生がガラッと変わり始めた年です。その年にリアル脱出ゲームを思いついた。
2022年もひょっとしたら後から思い返すと「人生のターニングポイントだったなあ」と思うかもしれない年だった。
まず端的にいうと生と死があった。
父が死去し、三人目の子供が生まれた。
48歳にして子供が生まれたのは良いことのような気もするし、絶望的に不安定な気もする。
まあ隣で眠っている危うくも尊い存在に励まされたりもするので今のところいいんだろう。
がんばって筋トレなどをしているのも、この男子が中学生の時に家庭内暴力をふるったときに
父の威厳(筋肉)でねじ伏せたいという気持ちが少しはあるのかもしれない。
口喧嘩で負ける気はしないが、いきり立った男子が立ち向かってきたときに吹き飛ばされない力は欲しい。
彼が成人する時に自分が68歳になっている件に関しては目を覆いたくもなるけれど
二十歳にして道に迷う彼に(おれの子だ。間違いなく迷うだろう)なんらかの方向性くらいは
示せるように矍鑠としていたいものである。
矍鑠(かくしゃく)ってこんな難しい漢字だったんだな。知らなかった。
日常生活ではよく使う印象だけど、普通は使わないのかな。
父の死は結構深く様々なことを思わせた。
まだ上の世代が身近にいるという安心感がなくなり、最後の防波堤が突破されたぞー!
いよいよ次死ぬのはお前だぞー!って言われてるような気持にもなった。
母は健在で毎日プールで泳いでるらしいから、まだ防波堤の片翼は健在なのだが
だからといって安閑としていられるわけでもない。
自分の人生での積み残しはないのかと考えざるを得なかった。
リアル脱出ゲームでいえば「びっくり謎射的場からの脱出」と「大雪山に潜む刺青囚人からの脱出」の二つを作った。
前者は一つのコンセプトだけで引っ張り切った快作。射的が嫌いな人は嫌いだろうけど、
タイトルに射的って書いてあるから嫌いな人は来ないだろう。
そして射的が好きな人か好きでも嫌いでもない人には刺さるだろう物をつくった。
こういうワンアイデアで突っ切るものをもっと作りたい。
後者の作品は楽しんで作った。たくさんの人たちに協力してもらいながら気楽に作った気がする。
原作が持つ力を素直に受け取ったらこんな形になった。最後はごり押しで僕っぽさが入っています。
2022年は久しぶりにたくさん本を読んだ。
過去の名作ミステリーをきちんと読んでみて、『十角館の殺人』や『殺戮にいたる病』がとてつもなく面白いことを知った。
もっと早く読んでおけよ俺。ばか。
SCRAPミステリー研究会というのを作って、毎月課題図書を決めて、読み終わったら飲みながら感想会をするんだけど、
それがとてつもなく楽しくて、自分の気持ちをリアルで共有することの大切さを思いしった。
この楽しさは次につながる大切な楽しさだと思う。絶えず意識して生きていこう。
他に面白かった小説は『われら闇より天を見る』『本と鍵の季節』『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』『新世界より』『荒野へ』『かがみの孤城』など。
おもしろかったマンガは『女の園の星』『大宰相』『ゴールデンカムイ』『ワンピース』『チェンソーマン』『イチジョウ』『薬屋のひとりごと』『BLUE GIANT EXPLORER』(映画楽しみですね)『グラゼニ』などなどー。
ゲームはあんまりできなかったな。
チュニックは面白かった。あとはぷよ将棋で詰将棋をひたすらやっていた印象。
おもしろいゲームにはまりたい。
SCRAPとしては『絶体絶命ワンダーランドからの脱出』と『DETECTIVE X CASE FILE #1 御仏の殺人』が作れた年だった。
名作なのでまだの方はぜひやってください。
その他は『追憶のハロウィンからの脱出』『HOTELブルーローズの99の部屋』などを完成させられたことは未来に必ずつながっていくと思う。
望んだ以上の楽しさがあり、それゆえの悲しみも感じた年だった。
酔っぱらった帰り道に、喜びと悲しみの間くらいでいろんなことを思いついた。
それはたぶん必要な感情だったんだろう。必要のない感情なんてないのかもな。
意外と音楽活動もがんばった。
ロボピッチャーも復活したし!今年もライブするので来てくださいね。
<ロボピッチャー 詳細未定>
●2023年4月29日(土)
京都 磔磔
●2023年5月21日(日)
東京 下北沢 Basement Bar
熱烈マングースのライブもちゃんとやりきった。
止まるのがもう怖いんだと思う。無理なくやれるところまではコツコツ続けようと思っています。
ライブのたびに新曲を作れるからうれしいし楽しい。
新曲は自分がある一定の時間を過ごした証みたいなものだから、生まれるたびに無上の喜びを感じている。
あと、ラジオをすごく聴いた!
オールナイトニッポンのサブスクに入って、オードリーとくりぃむしちゅーのラジオを狂ったように聴いていた。
僕がちゃんと毎週聞いていたラジオはウッチャンナンチャンとか大槻ケンヂとかだから
もう30年ぶりくらいにラジオにはまっている。移動時間がすべて最高の時間になります。
2022年でわかったことは、今のままを続けていたら確実に廃れていくってことだ。
これまでもずっとわかってた。今までにないものをつくることが僕らのすべきことだと知っていた。
でもコロナの猛威の中で一瞬心の中に入り込んだ悪魔みたいなやつに気をとられて
なるべく外さない、なるべく誰しも楽しめるものばかりを作ろうとしていなかっただろうか。
エンターテインメントの根幹を揺るがすような何かをいつでも作れるように。
今すでにあるものをすべて憎むように。
今あるものに満足せず、ただ何がないのかについて考え続けるようにしなくては
僕らはもうあと数年後にはいなくなっているだろう。
新しい価値を生み続けることをやめてはいけない。その歩みこそが価値になっていくのだから。
今年の抱負はなるべくたくさんのことを楽しめるようになること。
深く考えずに軽やかに快楽を摂取していくこと。
そしてその当然の帰結として、人類史上なかったようなアウトプットを出し続けること。
そんなところです。
酔っぱらって文章書くと長くなりますね。
今年はもう少し気楽に文章を書く機会が増えたらいいけど。
今更blogがんばるってのもどうなんかな。かといって俺が急にTikTokがんばりだしても噴飯だろうしな。
旧年中はお世話になりました。
我々のこと(我々のつくったもの)を少しでも好きでいてくださるみなさまのおかげでなんとか生き延びました。
せっかくいただいた生なので大切に使おうと思います。
結局のところ僕らにできることは、目を凝らして世界を見て、体の中に充満する退屈をかき集めて
「今何があれば楽しいだろうか?」を考え続け、それを現出せしめることだけです。
やってやるさ。世界中から退屈を消してやる。
そしたら暇な奴らがやってる戦争なんかすぐ消し飛んでしまうだろう。
遊びがいかに偉大であるかを知らしめる年にするか。2023。
そんなこんなで今年もよろしくお願いいたします。
加藤隆生
Posted by kato takao at 2023年01月09日 00:44 | TrackBack
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