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2017年06月20日

10年も続くってやっぱりすごいことなんじゃないかと思うのです。
致命的なミスが一つでもあったら続かなかっただろうし、とてつもないアイデアが二年に一回は出ないと続かなかっただろうと思います。
僕は「リアル脱出ゲームを思いついた人」として知られていますが、「リアル脱出ゲームを10年続かせるチームを作った人」として記憶されることを望みます。
それはなんて誇らしいことなんだろう。

いつも適切なときに、適切な人と出会ってきた気がします。
どうしてもリアル脱出ゲームのキャパを増やさなくちゃいけないときに、グループ戦や個人戦のシステムを思いつけたのには、たくさんの人との出会いがあって、マーブルの長井さんの意見や、インテリジェントシステムズのみなさんの意見や、京都マンガミュージアムとの出会いや、よみうりランドの奥谷さんのメールがないと多分こんなシステムは思いつけなかった。
チーム戦のシステムの元を思いついたのは実はマーブルの社長の長井さんで、「一つの会場の中でキャパを増やすにはチーム戦にするしかない」と当時言っていた。
僕はそのアイデアを最初に聞いたときに、「そんなの無理だ」と思った。一つの空間に10以上のグループが同時に謎解きするなんて無理に決まってる。
でも、もし万が一それが成功したらどれほどよいだろうと思った。今起こっている問題のほとんどが解決する。
当時起こっていた問題は、チケットがすぐに売切れてしまうのでキャパを増やさなくちゃいけないって事と、一人ひとりの謎に接する密度を高めなくてはならないってことだった。
だからやってみた。
結果としてうまくいった。

さらにリアル脱出ゲームのキャパを増やさなくちゃならなくなり、一回の公演で数百人から1000人ほどが遊べるシステムを思いつかなくちゃならなくなったとき、京都マンガミュージアムの中にあるカフェで当時ボランティアスタッフだった堺谷と二人で「個人戦のシステムって成り立つのかな?」と話していて、とても成り立つとは思えなかったんだけど、まあとにかくやってみるかと、ダメだったとしても今チケットを買っている1500人くらいが怒るくらいで、まあそんときは最悪会社が潰れたらいいか、とか思ってた。
それまでは一つの部屋やホールでしかやったことのないリアル脱出ゲームを、広大な小学校の敷地を全部使ってやるシステムなんて検討もつかなかったし、思いついたとしても実際にやってみるまでそれがうまくいくかどうかなんてまったくわからなかった。

やってみるまでわからないことをやってみて、それが結果としてうまくいく過程には、とてつもないストレスとアイデアと緻密な運営があって、チーム戦と個人戦を生み出す課程で僕らが得たものは一言で言うと「謎解きイベントを作る上での哲学」みたいなものだった。
僕らと僕ら以外を隔てるものは哲学の有無だと思う。
僕らだけが知っている「謎解きイベントの真髄」みたいなものがあって、それはうまく言葉にはならない。
おそらく「この船は沈没するかもしれないけれど、もし島にたどり着くことができたらそこにはとてつもない宝物が埋まっている。ただし沈む確率は80%ね」みたいな船に乗ったことのあるチームでないと理解できないことなんじゃないかと思う。
僕らはこれが続くかどうかなんて全然考えたこともなかった。
これが話題になっているからやろうなんてこともまったく考えなかった。
ただ、体の中からあふれてくるアイデアを、それを求める人たちに、一番衝撃的な形で叩きつけたかっただけだった。
もし失敗したらその時に全部が粉々に砕けてしまっても別にいいと思ってた。

今はもう何百人って人がSCRAPに関わって働いてくれている。
「もうめんどくさいから潰しちゃおっか?」とかは冗談でも言えない空気になってる。まあ言うけど。
10年振り返ったらやっぱり積み上がってきたんだなあと思う。
10年前のちょっとした思いつきがきっかけではあったけれど、それがすべてだったわけじゃない。その過程で起こったさまざまな小さなことが積み重なってここまで来れたのだと思う。
小さなギャンブルも大きなギャンブルもしたし、必死で緻密に確率を上げるために仮説を立て検討し、最善の答えを出すように努力をしてきた。そして一度立てた仮説をどんどん裏切るようなアイデアも実行してきた。
僕らがフォーマットを作って、僕らがそのフォーマットを潰し続けてきた。
僕らのフォーマットを真似してビジネスをしてる人たちをこっそりとくすくす笑いながら、次のフォーマットを実現して行った。
幾人かの人たちが、僕ら自身が僕らのフォーマットを潰すことに失望し、がっかりし、離れて行ったけれどそんなことは気にしなかった。
僕らは、僕らがその瞬間に一番面白いと思うものを作り続けることだけが目標だったからです。

そんなこんなで10年やってきて、振り返ってみるとたくさんのガラクタやキラメキやヒラメキが転がっていて、その中にぽつぽつと伝説的なイベントなどもあって、まあどうしようもないヘドロみたいな時間もあって、そういうすべての時間をひっくるめて、しかしこれはもうお祝いをしなくちゃならんのじゃないかと思っています。

半年ほど前に「せっかくだから一万人とか集めてリアル脱出ゲームしてみようよ。あと、ついでにフェスもやろう」と思いついた社長のことを、今会社全体が呪っているとは思いますが、多分これまでと同じように僕らはとてつもないことにチャレンジしようとしていて、誰もやったことのないシステムを思いつかなくちゃいけなくて、さらにそのアイデアを実際にミスなく運営するためにはすさまじい気力と時間と労力が必要です。
でも、これがうまくいったら、本当に日本のエンターテインメントの歴史が変わっちゃうんじゃないかってくらいすごいことを僕らは今やろうとしていて、だって一万人で同時に謎解きする方法なんて思いつく?さらにいうと思いつこうとしたことあった?
その思いつくべきチャンスを僕らはもらったし、たぶんちゃんと思いついたと思う。
どうか、このすごい時間を観に来て欲しいし、ぜひともこの10年間の感謝を直接伝えさせてください。
おめでとうと言われたいし、ありがとうといいたいのです。
みなさんがいないとこの10年はなにもなかったと同じなのだから。


チケットはここへ来てすごい勢いで売れていて、残っているのはもう1000枚くらいだそうです。
つまり9000枚は売れたってことか!
それもすごいな!
たった一日の謎解きイベントに9000人来るってそれ世界記録だろ!たぶん!
もし迷っている方がおられるなら、なるべく早めにチケット予約しちゃってくださいね。

それでは!
6月24日、西武ドームで会いましょう!!!

realdgame.jp/reald_bigparty

Posted by kato takao at 2017年06月20日 12:42 | TrackBack
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