テレビのことがずっと嫌いだった。
見たらキラキラしていて、楽しそうで、きれいな人やかっこいい人たちがたくさんいて、幸せそうで、それをただ見せつけられてるようで。
テレビの中の人たちは生き生きと自分たちが努力して勝ち取った現在の地位を謳歌しているように見えた。
それは僕には手の届かない遠い遠い場所の幸せな物語だった。
他人の幸せを、強制的に指をくわえて眺めさせられる装置が僕にとってのテレビだった。
音楽に出会って、自分でこつこつとメロディーと言葉を作り始めたとき、テレビの向こうからはきらびやかなメロディーが流れてきていた。
きらきらの照明を浴びて、美しい衣装で歌う彼らを僕は認めなかった。
テレビで鳴っている音楽は嘘だと思い続けた。
二年半位前に何人かの大人たちが、僕の事務所を訪ねてきた。
「テレビ番組を一緒に作りませんか?」と言った。
その企画書を見て、僕は嫌だといった。
僕みたいにテレビを嫌いな人たちを増やす手助けをしたくないと思った。
「だけど、もし」と僕は言った。
「だけどもし、テレビを見ている人たちが主人公になれるような番組なら作りたい」と。
見ている人たちがどきどきしながら参加できる番組。
抽選に選ばれた人が参加できるんじゃなくて、ただの多数決に参加するだけじゃなくて、ちゃんと視聴者が能動的に考えて、その結果を入力することで番組が進んでいくようなそんな番組が作れるなら、僕はなんでもしたい。
いくつかのアイデアがやり取りされて、そこから半年くらい意見の交換が続いて、たくさんのすばらしいアイデアと、とてつもない勇気と、新しいものを作ろうとする強い気持ちによって、リアル脱出ゲームTVが生まれた。
僕はすばらしい人たちと仕事をした。
最初の放送は昨年の元旦。
はじめてテレビ局の中で放送に立ち会った。
心がしびれて、眠れなくなった。
なんてすごいことに立ち会うことができたんだろうと思った。
それから一年半ほど経って、今日、リアル脱出ゲームTVの最終回が放送された。
番組のヒロインである香山班長は途中で間違い、世界を救うことができなかった。
主役である謎男はただつながれたまま世界を救うためになにもしなかった。
世界を救ったのはテレビの前にいる「どこの誰かわからない人」だった。
テレビの前の誰かが、ドラマの中の世界を救った。
「どこの誰だかわからんが、ありがとう」と真藤は言った。
僕はこの台詞を言ってくれてありがとうと思った。
この台詞を聞いたときに、僕のテレビへの片思いは終わった。
テレビが力を失ったとみんなが言っていて、それは確かにそうなのかもしれない。
それでも多分ほとんどの家庭のリビングの真ん中にはテレビが鎮座しているだろう。
テレビが失ったのは、これまでの価値だ。
これからの価値まで失ったわけじゃない。
テレビというインフラを使って、もっと面白いことを思いつくことができれば、テレビの新しい価値は更新されていく。
ぶっ壊してやりたいなと思うのだ。
テレビという現象にぶら下がっていたすべてのものを。
そして、丸裸になったテレビという仕組みで何が出来るのかを考えてみたい。
こんな素敵な番組に参加できたことを心からうれしく思っています。
こんな素敵な現象の目撃者のひとりになれたことを誇りに思っています。
テレビを見てる人たちが主人公になれた最初の夜だといってもいいでしょうか。
テレビの中にあるきらびやかさは、あなたのいるそのお茶の間と繋がっていることが伝えられたでしょうか?
僕らはいつだって、僕らのドラマの主人公なのだ。
指をくわえて他人のドラマを眺めるのは、もうやめだ。
リアル脱出ゲームTVを作ってくださったすべての人に感謝を。
つまり、僕は今、何百万人という人たちに感謝しています。
本当に本当にありがとうございました。
私は、普段の生活でテレビをあまり見ません。
何かをしながら、目や耳だけ傾けられる状況で、ニュースや録画していたビデオを流すだけ。
リアル脱出ゲームTVは、そんな私の生活に変化をもたらしました。
間違いなく、リアルタイムでテレビの前にいないと面白くない。そんな番組は初めてでした。
年末のカウントダウンだとか、そういうタイミング的なリアルタイムを強制されるものはあったけれど、
これはもうそんなんじゃない、録画で見ても様々な仕掛けが作動しないから、歯痒くて悔しい。
出先だからとWebで謎だけ見ていても、ドラマの内容を知らないと正しい答えに辿り着けない。
特番の時も、今回の連ドラの時も、リアルタイムで見てやろう、謎を解いてやろう、という気合いで、
テレビの前で大人しく、パソコンを開いてメモとペンを片手に座っていました。
とても、新鮮な気持ちでした。
これからまたテレビの前に落ち着かない日々が戻ってきてしまうとは思いますが、
リアル脱出ゲームTVに関わった皆さん、参加された皆さん、みんなで作り上げられたこの番組に、
ありがとうございます。次も、楽しみにしていますね。
テレビ番組が始まる前に、
紙と鉛筆とパソコンを用意して、
スマホを手に持ち、
番組が始まるのをワクワクしながら待つ…
来週が待ち遠しく、
始まったらあっという間に終わり、
また来週が待ち遠しい…
こんな感情をテレビに抱いたのは
本当に久しぶりのことでした。
テレビを真剣に観ることで、
間違いなくテレビ番組に参加でき、
視聴者が主役のテレビ番組でした。
お祭りは終わりましたが、
また次の日お祭りが始まるのを
首を長くしてお待ちしております。
素晴らしい企画をありがとうございました。
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