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2014年06月08日

三年ぶりくらいにソロライブをやりました。

もう完全に音楽とは無縁の生活をしてたのだけど、友人の結婚式で歌ったり、事務所においてあるギターをぽろぽろと毎日鳴らしているうちになんだか音楽との距離が縮まってきて、家でもギターを弾くようになり、ある夜になんか突然ライブハウスにメールを送ってみたら、なんとそのお店に昔ロボピッチャーがお世話になったブッキングマネージャーの方がいて、とんとん拍子で出演が決まりました。

ライブが決まってから、こつこつと腹筋をしたり、毎晩ギターを弾いて昔の曲を思い出したりしていたのだけど、なんかすごく楽しくてそわそわした日々でした。
驚くほどたくさんの曲の歌詞とコード進行を忘れていて、もう血肉となってしみこんでいると思っていたものが、ただの頭の中の記号であったことに愕然としたりした。

ライブの前日はなんか寝付けなくて、でもいろんな人から連絡をもらったりしてとにかくそわそわしてた。
リハーサルの直前まで仕事をしていたのだけど、やはりどこかそわそわした状態だった。

リハーサルから本番までの間やることがなかったので、近くのカフェでビールを飲んでた。
携帯の充電がなくなりそうだったので、頭の中でライブでやる曲のコードと歌詞をずっと反芻してた。
店員さんが心配そうにこっちを見てたから、だいぶやばい感じの客だったんだろう。

ライブは、すごくたくさんの人たちが見に来てくれて、意外な人や久しぶりの人たちでライブハウスがあふれかえって、とても親密な、ポジティブな空間になりました。
いざ歌いだすと、声が伸びていかなくてびっくりした。あと音程をすごく意識しないと合わなかった。
僕はもともと音感の良いボーカリストではないけれど、弾き語りの時は自分の歌いやすい音量で歌えばいいから、そこまで音程のことは考えたことなかった。そこまで不恰好にずれることはなかったから。
でもこの日は音程をあわすのにずいぶん苦労した。

ライブが進んでいく中で曲がとにかくどんどん僕の中に入ってくる気がした。
もう20年ほど前に書いた曲が、質量をもった塊みたいになって何度も僕の横っ面をビンタした。
まだこんなに熱が残っているのだ、と思った。
枯れ果ててなどいないし、錆びついてもいない。
音楽は明確にここに宿り、歌われるのをずっと待っていたのだと思った。

リアル脱出ゲームを作っていて、時々ふとものすごく孤独になることがある。
世界中で受け入れられているこのゲームは、僕の意図を超えて、僕の想像を超えて、どこかの誰かに届いてしまっているような、そんな気持ちに時々なる。
お客さんと僕の間には「リアル脱出ゲーム」という別の意思があり、それが壁になって僕とお客さんはコミュニケーションを取れていないような感覚。
もちろん、それはほんの一瞬で去っていく感覚なんだけど、どうしても完全に消えることはない。

ソロライブをしているときに感じたのは、音楽の中に僕がいて、音楽を通じて直接的なコミュニケーションをしているような感覚だった。
まあ、規模があまりにも違うから比べようもないんだけど、とにかくソロライブをしていて感じた親密さは久しぶりの感覚だった。

ライブには新曲を作っていかなかった。
作っていく余裕などまったくなかった。
でも、今の僕が作ったらどんな歌が生まれるんだろうか。
実はこっそり毎晩ギターをかき鳴らしながら、新しい言葉とメロディーが出てくるのを待っている。
実はまだこっそり腹筋は続けている。
おなかから声が太い塊になって出て行かなかったのはショックだったから、次はもっとよい歌を歌う。

そんなわけで、また近いうちにライブはしたいと思っています。
しばらくは、代官山「晴れたら空に豆まいて」がホームグラウンドになりそうです。

ともかく、先日のライブにお越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました。
次もまた期待してくださいね。
そして、先日は来れなかったみなさんは、ぜひ次の機会に。

まとめるとこういうことです。
ああ、楽しかった。
またやろう。

Posted by kato takao at 2014年06月08日 03:04 | TrackBack
みんなのコメント

久々のソロライブお疲れ様でした。
緊張しているのが客席からも見てて分かりました。
次回のライブも楽しみにしてます!

Posted by: ななこ on 2014年06月08日 15:54
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