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2013年10月14日

人生において、自分が特集されるなんてことが起こるとは想像もしていなかったし、それが昔から観ていた情熱大陸だなんて本当に心の底から、人生は何があるかわからんと叫びだしたいけれど、とにかく一ヶ月ほど密着されて、たくさんのことをカメラに向かって話して、たくさんの後姿を撮られて、番組が出来上がって、無事放送されました。

とんでもないリアクションがあるのかと思って身構えていたけれど、特にそんなでもなく、僕は部屋で一人平穏にblogを書いております。ビールを飲んでいて、とてもセクシーな黒のジャージをはいています。ユニクロです。

情熱大陸の取材班さんは主に二人で行動しておられて、とてもかわいらしい女性カメラマンと、なんとなくぼんやりした愛され系ディレクターの二人でした。
夜の遊園地@ひらぱーの取材のために三人で大阪に向かったのですが、品川で新幹線に乗って、その三分後に二人が寝てしまったのを見て、テレビの世界は厳しいんだなと思いました笑。
僕だけ一人で仕事してました。

もっとうまくしゃべればよかったなあとか、あのシーンは使われなかったんだなあとか、もっとちゃんとした服を着てればよかったなあとかいろいろ思うけれど、まああれが僕の日常です。いつもソファーか自分の椅子にだらーんって座りながら企画を考えたり、ネットゲームしたり、おもしろいマンガを探したりしています。

ちなみに、僕が情熱大陸にノミネートされたのはこれが三回目です。
一回目はもう三年前。「ファッションショーの華麗な秘密」の会場で突然声をかけられました。
二回目は二ヶ月前。
そして、三回目で出演できることになりました。

情熱大陸をみて、これは全部ほんとだけど、これは全部うそみたいだと思った。
誰かが切り取った僕を僕が僕を見るっていう体験はしたことがほとんどないから、自分の日常を自分で見るのはとても奇妙な感じでした。

「これでメジャーですね」とか「チケットがめちゃくちゃ動きますね」とか「次がプレッシャーですね」とかいろいろ言われるけれど、あまり気にしてない。
情熱大陸の前にリアル脱出ゲームがそもそもこんな規模で猛烈に世界中に広まっていくなんてことは想像していなかった。「めちゃくちゃ広がるだろうなあ」とは思っていたけれど、こんな風になるとは思ってなかった。だから、情熱大陸をきっかけに襟元を正すつもりはない。

ただ、今回クローズアップされた「何者でもなかったクリエイターが、どーんと成功する物語」みたいなものは意外と大切な物語なんじゃないかと思う。
クリエイターっていう言葉は、なんとなく広告を作ってる人や、アートディレクションする人に使われることが多い気がする。
そして、そういう人たちは、よい大学を出ていて、よい会社に入って、なんか賞とかとって独立して「クリエイター」という肩書きを手にする(ように思う)。
でも、クリエイターがそもそもの意味の「創る人」であるなら、とんでもないアイデアが一つあればもう誰でも世界中に羽ばたくクリエイターだ!っていうメッセージはきちんと常識として広まって欲しいなと思う。
まだ世界には思いつかれていないことがたくさんあって、それを思いつくために必要なのは学歴でも会社の格でもなく、君のその生き様の中にあるのだ!!!
とか、いってみたり。

僕は、本当に世界に振り向いてもらえないクリエイターだった。
近くにいる人たちを巻き込むことは上手だったけど、遠くにいる人たちを振り向かせることは出来なかった。
だけど、たった一つのアイデア、たった一つの言葉を見つけただけで、普通じゃ考えられないくらい遠くの人たちにまで届いた。
この「おとぎ話」は価値があるんじゃないかと、今日の放送をみながらぼんやりと思った。

世界は平等ではないと思っている。
さまざまな格差があり、国別の事情があり、世代にによる隔絶もある。
でも、それらを凌駕するとんでもないアイデアがあるのならば、そのすばらしいアイデアの前で人間は平等である。
などと、言ってみてもいいんじゃないかと思っている。
それを証明するための実験をSCRAPはずっとやってるのだ。

なんにせよ、観て下さったみなさま、本当にありがとうございました。
あれは僕です。
でも僕の一部ですよ。

情熱大陸のスタッフの方々の「情熱」には本当に恐れ入りました。
カットされた膨大な映像データは消え去っていくのでしょうか。
マーブルの太田さんのインタビューとか見たかったなあ。せっかく男前なのに。
あと、ある朝にカメラマンさんと一緒に事務所に入ったら、なんか徹夜明けの女の子が倒れてて、ちょっとした騒動になったシーンとかもカットになってましたね。ありがとうございます笑。

明日からも相変わらず、こつこつとものを創っていくと思います。なにせ「クリエイター」として紹介されましたので。
僕に会うことは少なくても、僕の作ったものに出会うことはたやすいと思います。
どうぞみなさま。
リアル脱出ゲームと株式会社SCRAPを、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
僕らのささやかな「情熱」が、この夜を境に世界中に広がりますように!!!

リアル脱出ゲーム http://realdgame.jp/

Posted by kato takao at 2013年10月14日 02:58 | TrackBack
みんなのコメント

拝見しました
北野武曰く、スケベ心が人類を進歩させた。君の全てが知りたいなんて口説き文句は嘘。知ったらきっとつまんなくなる。知りたい知ろうとする思いが人間をここまで押し上げた。云々。
遮られた壁と、その向こうに確実に何かがあるという保証。この二つは、古今東西老若男女問わず、人間を引きつけ続ける媚薬なのでしょう。
その調合比率を間違えると、加藤さんの言う「つまらない悔しさ」しか残らないのかもしれません
見事な調剤ぶりしかと拝見しました。これからもお身体に気をつけて、いい謎を期待してます

Posted by: ATUSI on 2013年10月14日 03:09

この秋でちょうど、加藤さんの言葉に出逢ってから10年になるので、
そのあたりについて今思ってることを文章にしておきたい、
と思ってたところへ、今回の情熱大陸をみたので、
書きたい気持ちがピークに達したところで自分のブログを更新して、こちらを覗いてみたら、
この記事が更新されてて、ちょっとびっくりでした。
番組みて、加藤さんの言ってることの本質は、10年前から全然変わってないことを再認識した気がします。
今、自分の人生が、何だか面白いなと思えるのは、加藤さんに出逢えたからだと確信しました。
未来を作りだす力があること、教えてくれて、ありがとうございます。

Posted by: やすえ on 2013年10月14日 03:28

こんにちは。私は、今年初めて岩手で開催されたイベントに参加しました。
そして、私がわからない謎を、小学生が解いたのです。

その後、一度あきらめた「人狼村からの脱出」も脱出できました。
どの本よりもボロボロになったその本を、私は知人達に貸しまくろうと決意しました。

考え、考え、ふとした瞬間の驚きとひらめき。
この感動は一度味わったら、やめられません。
本当にすばらしいことを、教えていただきました。
ありがとうございました。

加藤さん、岩手にも競馬場があります。
ぜひ、そこでも開催してほしいです。
馬が走って、存続の危機なら、人も走ればいい。
とは、簡単にいかないかもしれない。
でも、そこで人が知り合い、仲良くなれるなら、そして、至上最高のひらめきを、
味わえたなら、小学生だって、人をいじめてる暇はなくなるでしょう。
ゲーム機は、教えてくれない感動です。
オーバーでしょうか?

でも、私は、子供のころから出会いたかったです。
もっと早く出会いたかったです。
そして、勉強と名のつくのは、なぜこのくらい面白くないのでしょう。
私が気がつかないだけなのでしょうか??
謎です。

Posted by: hata on 2013年10月14日 10:39

突然お邪魔します


放送から1週間「悔しいと嬉しい」を時々考えたりします

悔しいは戦闘本能
嬉しいは達成感
それを裏返した記憶=幸福感が人生の経験値だなぁとか

加藤さんの「ざまあみろ!」も
実は、悔しさの容量を広げるスゴイ武器だったんだなぁとか


番組の最後、謎は未来だという言葉も、密室美少女の文字盤に隠れていた
FUTURE IS IN YOUR HAND の解答をもらったようで嬉しかったです

素敵な番組ありがとうございました!

Posted by: あずはた on 2013年10月19日 13:12
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