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2009年05月05日

 夕方から飲み始めて、ずっと飲んでて、今も飲んでる。
 もう2時を回ってしまった。

 伊藤君と飲んでた。
 ああ、昨日の日記を読んだ人から「森さんだけ出てきませんね」というメールが来たが、実は昨日の日記に出てきた伊藤君はロボピッチャーの伊藤君ではない。現在あるラジオ局で働く伊藤君のことだ。
 彼とはすでに24年くらいのつきあいになる。僕の知り合いの中で最古のひとだ。簡単な言葉にすると幼馴染というやつかもしれない。

 伊藤君と二時間くらい飲んだかな。
 静かに飲んだけど、ずいぶんと深かったような気がする。
 時間が豊かにたゆたっていた。
 いくらでも話せそうな気がしたから、電気を消すみたいに飲むことをやめた。

 僕はそこから歩いて帰ろうと思って、それはずいぶん長い距離で、まあ京都をわかる人のために書くと、四条大宮から鞍馬口駅まであるいた。
 たぶん普段なら一時間くらいで歩けると思うんだけど、かなり酔っぱらっていたから2時間以上かかった。
 途中で、いろんなことを思った。
 いろんなお店がつぶれていて、いろんな友人の家がなくなっていた。

 時間が流れている。
 僕が知っているものが減っていく。

 最近生と死についての話をたくさん聞く。
 彼女ははっきりと「死んでほしい」とある人物について言った。
 僕はなにも言えなかった。
 その言葉は、憎しみから発せられたのではなく、諦めからでもなく、純粋に優しさから発せられた言葉だったから。

 二時間かけて歩いて帰ってきて、なぜかずっと「スローバラード」を歌っていた。
 「悪い予感のかけらもないさ」という歌詞について考えていた。
 なぜ「いい予感ばかりだ」と歌わなかったのだろう。
 いい予感ばかりだったのではなくて、悪い予感ばかりだった人生がその時吹っ切れたんだろう。彼女と市営グラウンドの駐車場で寝ているときに。
 体中から悲しみがやってきて、声をあげて泣いた。
 彼には、悪い予感がいつもあって、それがなくなった瞬間にスローバラードを書いたんだ。
 どうか、どうか、少しでも穏やかな場所で眠って下さい。
 僕らの心を動かし続けた分、穏やかな場所に彼がいけますように。
 もし神様がいるのなら、どうか。

 忘れてしまったことがたくさんあって、時折大変な勢いで思い出す。
 そして、失ってしまったものを知る。
 知らないうちに僕は、何かを守ろうとしているのではないかと思った。
 まだ何も成し遂げてなんかいないのに、この小さな城を守ろうとしている。なんと愚かなことか。
 まず壊そう。
 壊してしまえば、どうせなにか生まれる。
 それが何かは、いつかわかるに決まってる。

 どうしようもなく歌を歌いたくて。
 ずっと道を歩きながら歌っていて。
 生まれて初めてカラオケに一人で行ってみようかとすら思ったが、誇りにかけてやめた。
 5/5。今日僕はライブがある。
 歌を歌おう。歌を。
 どんな人にも見に来てほしい。
 どんな事情があったとしても見に来てほしい。
 僕は、人生の中で、こんなに歌を歌いたいと思ったことは一度もないんだ。
 体中に歌があふれてる。
 大阪の福島のセカンドラインってところでやる。
 よかったら見に来てよ。
 とにかく今僕が、歌を歌えるという喜びを、かみしめるライブをする。
 今ライブが出来ない彼の為のライブはできないけれど、ライブが出来るっていう喜びは歌えるだろう。

 

Posted by kato takao at 2009年05月05日 03:38 | TrackBack
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