漠とした不安の中ビール。
向かうべき先はわかっているのだけど、向かうべき場所がわからない。
月影の荒涼。
ガソリンのにおい。
アスファルトの冷たさは切れかけた糸。
この街は凍っている。静けさは痛みにも似て。
ふと電話が鳴る。「お久しぶり」と。
僕は彼女がだれかわからない。
「君は?」
「わからないなんてひどいわね」彼女は憤慨するでもなくいう。その声は不必要に艶やかで、やわらかい部分を切り裂く。
「ヒントだけでもくれないかな」
「ヒントの出しようなんてないわよ。それくらい近い場所にいたのよ」
「じゃあわかった、君は」
そこで電話は切れる。
僕は電話をしばらくもったまま立ち尽くす。
彼女が誰なのか実は今も分かっていない。
混濁の音。
聞き分けられないリズム。
なあ、そのギターはチューニングがあっていないのではないか。
彼女はいう。「チューニングがあっていたってダメな音楽はいっぱいあるでしょ?」
確かにそれは正論のようにも思える。ならばチューニングがあっていない音楽がダメとは限らない。
僕は夕暮れ時について考えている。あの日の夕焼けから何曲も曲をつくった。
爪を切るのは、ギターを弾くためだけではない。
僕の指はいつか君に触れるだろう。
うまくいけば、もっと内側まで入るかもしれない。
しかしそれは、今ここでは語る必要のないことだ。
なぜなら君が誰かも僕にはわからないからだ。
また電話が鳴る。
さっきの彼女だ。
「あなたは間違うことなんてないの?」彼女の声はかすかに震えていてさっきまで泣いていたようだ。
「僕は間違うよ。でも、間違うことを認めたふりはしない」
「じゃ、あなたは今幸せなの?」
僕はその直後に電話を切る。
幸せかどうかは、君などに話して聞かせることじゃない。
君と僕はつながっているだろうか。
「君」とはつまりこのテキストを読んでいる「君」のことだ。
このblogをディスプレイ越しに見ている君のことだ。
君は僕のテキストをどう思っているのだろう。
どう思ったとしても、
何かを思ったのなら、
もうつながっているのだと、
僕は思ってもいい?
便器から流れていく汚物をみて、生き物としての尊厳を知った。
ねえ、忘れないで。
僕は生きていて、今日も君を想っている。
加藤さんの言葉は私の心の中に染み込んできて、根底を揺さぶり続けてくれます。
多分きっとつながっているんだと思うよ。
日記も楽しみだけど、早くライブをしに来て欲しい。
ライブで東京に来てください。
かとうさんの言葉って
こう
真正面に顕れて
すーっと手が伸びてきたと思ったら
心の奥の方をぐわーっぐちゃぐちゃーって
引っかき回される感じですよね
鋭くて、でも優しい
本当にステキな言葉を紡ぐ方だと思います
これからもそのままで…
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