最近僕の事務所の建物を利用して映画が撮影されている。
学生さんが撮影してるんだけど、機材とか照明とかなかなか本格的だ。
その声が一人で仕事している事務所に漏れ聞こえてくる。
その声は真剣で、熱くて、もう隠しようもないくらいわくわくしてる。演じる人と、撮る人と、指示する人と、それをこっそり聴いている僕でいまこの建物は成立している。
何かが生まれようとしている場所はすばらしい。ただ、時間が流れているわけじゃない。積み上げるわけでもない、生まれていくのだ。いろんなものがここから。
SCRAPの元スタッフが尋ねてきてくれた。
そういうのはとてもうれしい。ちゃんとどこかで繋がっているのだと思う。
長い時間二人で話した。
彼女は二つのありがちな悩みを抱えていて、僕もその二つともぶち当たったことがあったのでずいぶん話した。
僕は僕が22歳だったときのことをずっと思い出していた。
会社が嫌で嫌でしょうがなくて、音楽をやりたくて、上司にしかられても「別に俺は関係ありませんから」みたいな態度でふてぶてしくて、かっこ悪かった。
会社を辞めたいなあと思ってから1年くらいはそのまま働いた。その1年は本当につらかった。
いくつも辞める理由を積み上げた。音楽をやりたいという理由だけじゃなくて、給料が安いとか、時間が拘束されるとか、このまま年をとりたくないとか、今がチャンスだからとか。でもまあ、きっと目の前のしんどさから逃げ出したかっただけだったんだろう。
最後に僕が会社を辞める理由として選んだのは「才能があるかないかもわからないで死ぬのは嫌だ」だった。
自分に音楽や文章を書く才能があるかどうかわかんなかったけど、せめてないならないでそれを確認したいと思って会社を辞めた。
その結果まあフリーでもこうして細々と食べていけているし、株式会社になったSCRAPにはありがたいことに新しい仕事がどんどんやってくる。音楽だけじゃなくてフリーペーパーの編集っていう面白いものも見つけたし、イベントを構築するってのも見つけた。ラッキーだったんだろうなあと思う。出会うべきタイミングで出会うべき人に出会えた。
辞めたり辞めなかったりして今日までやってきた。のだ。
明日からもまあその調子でいく。
そういえば明日からHEP HALLでの仕込みが始まる。
楽しみだなあ仕込み。ふとした思いつきや、ちょっとしたイメージをみんなで協力して形にしていくっていう作業が病的に好きです。はやく見せたい。脱出できなくて困っている人を眺めたい。
12/20に対談する高木敏光さんの「クリムゾンルーム」を読んだ。
これはちょっとすごかった。
詳しくは書かないけど対談するのが楽しみです。
脱出ゲームが好きな人は読んでみることをお勧めします。
とても不思議な小説です。
まあ、とにかくそんな感じ。
Posted by kato takao at 2008年12月16日 03:09 | TrackBack
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