とても素敵な新曲を書いた。
新しい曲が出来ると、その曲から世の中が見えるような気がするから素敵です。
その曲をレンズにして世の中を眺めると昨日までとはまったく違うように見える。
僕はこうやって、いくつものレンズを手に入れた。
でも、告白するとこんなに素敵なレンズを手に入れたのはすごく久しぶりなのです。
僕はここ半年くらいでロボピッチャーのためにたくさんの曲を書いたけれど実はあんまりうまくいかなかった。
バンドに持っていく前にかなりたくさんの曲を自分でボツにした。ロボピッチャーはすでに4枚のCDを発売して、30もの曲を世の中に送り出しているバンドだから、これまでみたいな曲はもういらないのです。僕は僕がロボピッチャーのためにつくった30のレンズと戦ってこの半年間負け続けたけれど、やっとすごいのが出来た。出来たって言うか、すごいのみつけた。ずっと前からすんごく近くに眠っていたものにやっと気がついて見つけた。ゼロからすごいのを創り出したんじゃない。多分すぐそばにずっと前からあったものを曲にしたんです。
実は今日ソロライブでそのうちの一曲を歌った。
伊藤君はロボピッチャーの新曲をソロでやると「またやったのー?!」といってちょっと哀しそうな顔をする。
うむ、すまん。でもこれは俺への誕生日プレゼントだったのだ。
ほとんどの人が僕のことを知らなかったので「新曲をやります」といってもきょとんとしてたけど、新曲をやっと僕以外の場所に送り出すことが出来た。やった。やってやったのだ。俺はにやりと笑い、この場所からこの曲がじわじわと染み出していく映像を網膜に焼き付けたのであった。ふふふ。
そういえば、今年は誰からもプレゼントなるものをもらわなかった。
身軽に生きてる。
身軽さは美徳だ。
そして、美徳とは強がりだ。
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