ぶよぶよとした水の中で暮らしているみたい。
少しだけあったかくて、少しだけ痛い。
どこにも行きたくないなあとか思いながら、どうしてもしょうがない時だけ出かける。
で、なんとなく疲れて帰ってくる。
ただいまというが返事はなく、僕はソファでビールを飲む。
この時間が続けばいい。
錆色の空気が時空を軋ませて、なけなしの休息にしがみつくような時間だ。
誰も知らないけれど、この部屋ではいくつもの革命が行われた。
99回失敗したが、1回は成功した。
そんな黄金率でこの部屋は出来ている。
僕のパジャマが脱ぎ散らかされ、ずっと昔の幸せの記憶が残っているこの部屋。
何度も長すぎる夜を呪った。
同じ数だけ、朝が来ないで欲しいと思った。
今も同じだ。
消えないように歌っていたいのです。
消えてしまったものを歌っていたいのです。
さっき、ある国を救った。
ゲームの中で。
僕は自分が成し遂げた偉業を誰かに伝えたくてネットにつながったけれど、それはどこにもつながらず。
「ゲームは簡単に答えが出ちゃうから駄目だ」という言葉を今日聞いたけどそんなの嘘だ。
どこにも答えなんて見つかってない。
相変わらずぶよぶよの中にいる。
クエストにクエストを重ね、僕らがたどり着くべきはやはり未来で。それは結局最後の敵を倒しても終わりゃしない。ゲームを始める前と、ゲームが終わった後で何が変わったかと問われたら僕は胸を張って「その分だけ時間が流れました」と応える。そして、その時間は最高でしたと。その時間の持つ意味はきっとこれからの余生の中でゆっくりとわかっていくことでしょう。
いずれにせよ、本日僕が救った国は今後復興を重ね、見目麗しい姫君の元さらなる発展を遂げるのでしょう。それを見届けられないこの哀しさよ。
ねえ、息が出来ない。
素敵な物語の終わりはいつもそんな気分になる。
お疲れさまでした。
Posted by: ikuko on 2007年03月02日 13:19ぶよぶよの中はきっと生ぬるくて温かいのでしょうね。
どこよりも。
温かいのでしょうね。
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