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2006年12月08日

 前回の日記で、みやこ音楽祭をどーんと手伝うのだ!みたいなことを書いておいて、その翌日に39度8分という人生最高体温を記録し、イベントを手伝えなかったどころか、自分のライブさえ飛ばしてしまう直前だった駄目ボーカリスト加藤です。

 ちなみに以下は「加藤高熱とかく戦えり」というドキュメントですが、なんかしんどいので読みたい人だけどうぞ。

 みやこ音楽祭の前日に西部講堂で打ち合わせをして、ちょっとだけ手伝ったら熱っぽくなったので「明日からはがんばるよ、ごめんね」といって帰り、風邪薬を飲んで眠ったら、夜中にすさまじい悪寒で目が覚めた。
 「すさまじい悪寒」というのは本当にすさまじく、ベッドの中でじっとしていられず、マンガみたいに震えていた。耳元で何か音が鳴っていてうるさくてしょうがなかったが、なんと自分の歯ががちがち鳴っている音だった。
 なんとか起き出して服をさらに二枚ほど着て、体温を測ったら39度5分だった。とりあえずPCを起動して、メンバーと飯田君にメールを送った。
 「39度5分出た。ごめん。明日ライブどうなるかわからん」
 このメールを打った時点では、もうライブは無理だと思っていて、それはしんどいとか声が出ないとかじゃなくて、異常に手が震えていたからでした。いくらロボピッチャーがギターバンドではないとはいえ、僕のギターがまったくなければ音楽が成立しない。
 ミルクを温めて飲んで、パブロンを飲んで、少しだけ人心地がつくと、のどが焼け付くように痛いことがわかってきた。つばを飲み込むのもしんどい。湯たんぽのためにお湯を沸かして、それを抱えるようにして無理やり眠った。寝る前に体温を測ったら39度8分。人生最高点を更新した。
 朝目を覚まして、とりあえず病院へ。近所の内科に行くと「インフルエンザの疑いがあるのでもっとでかい病院へ行け」といわれる。徒歩10分のところにある警察病院へ。
 ここで地獄を味わう。まず1時間30分待たされ、40秒ほどの検査を受け、「15分ほど待ってください」といわれるので待つが1時間40分以上待たされ、やっと医者が出てきて「インフルエンザではありません」といわれ「しかし熱が異常なので明日検査入院していただきます」といわれ、「薬を出しますからもう少し待ってください」といわれ、なんとそこからさらに1時間待たされ、薬の説明を受けたあと、なんと会計で30分以上待たされた。朝から何も食べていなかったのに、もう午後2時を回っていて、確実にこの病院に来て病状は悪化した。ここは本当にひどかった。ちなみに医者はその5分を切る検診の中で「あ?パブロン飲んでるの?じゃあそっちの方が効くかもしれないね」などとよくわからない冗談を言った。冗談だったんだよな、あれ。
 この時の体温は38度5分ほど。椅子に座っているのもしんどかった。
 とはいえ、その病院で処方してもらった薬は思いのほか効き、薬を飲んで眠ったら夕方には38度まで下がっていた。この日は出演が夜中の2時からで、リハーサルは19時からだったのだけど、ひとまずリハーサルは欠席してぎりぎりまで眠った。寝起きは声が出ないので、とりあえず11時には体を起こして、ストレッチとかをしてみた。夜になると熱が上がると思ったが、薬をきちんと飲んだこともあってか上がらなかった。
 1時に家を出るときの体温は37度8分。正直言って歌えるかどうかわからなかったけれど、まあ歌えなかったら風邪をネタに50分ほどしゃべってやるか、というくらいの覚悟はあった。
 会場に着くと大盛り上がりでreiharakamiさんが演奏していた。すばらしい音楽。そして、それを見つめるオーディエンスの表情にがすばらしかった。なぜかものすごく感動した。今、この場所ですばらしい演奏をどうしてもしたいと思った。心がふつふつと低く沸き立って、身体に音楽が戻ってくるのがわかった。
 そして本番。
 無駄なことを考える余裕がなかったから、音楽と一つになるような時間だった。
 ほんとは9曲くらいやる予定だったけど、直前で7曲に減らした。実はステージの上でさらに一曲減らした。二曲歌ったら手がしびれてきた。やっぱりギターは弾けなかった。でも、歌は歌えた。体中から音楽が出ていった。
 最後の曲を歌い終わって、お客さんが僕らを見て拍手をしていて、少なくとも拍手をもらえるだけの演奏だったのだと思った。うれしくて、誇らしくて、そして倒れそうだった。
 どうもありがとう。
 そういって、ステージを降りたら、くるりの佐藤さんが抱きとめてくれて「今日で100%好きになりました!」と言ってくれた。朦朧とした意識の中で「昨日までは何%だったんだろう」と思ったけど、うれしかった。
 後片付けもせずに、僕は帰った。
 すごい汗だった。外の空気は冷たく、僕は背中を丸めながらタクシーを呼び止めた。
 のどの感覚がもうなくて、言葉を発するのも億劫だった。
 でもまあいいや。とにかく歌えたから。ライブが出来たし、お客さんは僕らを見て笑って拍手をしてくれたのだから。

 家について熱いお湯につかった。
 15分くらい。
 なぜかとても不安定になって、涙が出てきた。
 いろんな思いが流れて消えた。
 生きていて、生かされているのだと思った。
 世界がとてもシンプルで、僕はお風呂で一人で泣いていた。 

 そして、眠った。
 長く、長く。
 
 目が覚めて病院へ行く。
 検査入院といわれていたので、覚悟を決める。入院は生まれて初めてだ。
 しかし、なんと熱が37度1分まで下がっていたのと、もう一度念のために行ったインフルエンザの検査でもマイナスが出たので入院は見送られ、新たに抗生物質が出され、それで終わった。ちなみにこの日は休日で救急扱いだったのでまったく待たされなかった。やけに若くてセクシーな女医さんが出てきたので、これが「ブラックジャックによろしく」に出てきた研修生かと思った。

 そして、また眠った。
 ただ、眠った。
 身体のすさまじく消耗した部分が、ゆっくりと再生されていって、僕の身体は平熱を取り戻した。
 3日目にはのどがひどくはれている以外はほぼ大丈夫になった。
 しかし、左の太ももの裏側になぞの赤いあざが出来、しかもかなり痛く熱を持っていた。
 俺の身体はどうなっちゃったんだろう、と思ったが良く考えたら抱えて眠った湯たんぽによる低温火傷だった。

 今日はもうほぼ健康。ちょっと鼻水が出てきて、少しのどがいがらっぽいくらい。
 たくさんの人に、本当にご迷惑をお掛けしました。
 もうしわけありませんでした。

 ともあれ、そんなこんなで、加藤の高熱日記でした。
 お付き合いいただいてどうもありがとう。

Posted by kato takao at 2006年12月08日 03:28 | TrackBack
みんなのコメント

あまりに感動したので初めての書き込みです。
あの日はJJさん目当てに行ったのですが、
ロボピッチャーの演奏の集中力とか切実さみたいなものに心を奪われてしまいました。
まさか加藤さんがそんな状態だったとは全く気がつきませんでした。

加藤さんのブログはとても好きなので、かなりマメに覗いているクチです。
これからも楽しみにしています。

Posted by: トモコ on 2006年12月08日 12:45

私も今週、喉の痛みと悪寒にやられました。
熱は体温計を探す気力もなく計りませんでしたが
かとうくんほどではないにせよ、かなりあったと思われ。
頭痛と寒気が半端なかったです。
そして今は鼻水と軽い頭痛、それとひざの裏に謎のあざ。
かとうくんの"あざ"のくだりを読んだとき
「え?何?あざ??何の病気???」
と焦っちゃいました。
ぶつけようのない場所だし、湯たんぽなんて使ってないのに、
いったいなんのあざなのだろう…。

無理せずしっかり治しましょう。お互いに。

Posted by: miso on 2006年12月08日 20:05

もう全快してるのなら良いのですが、もし現時点で痣が広がっているようでしたら帯状疱疹の可能性もあるので注意です。早期治療が有効です。

疲れも貯めとけば悪徳高利貸し並に利子つきますから、体とは上手にお付き合いしなければなりませんね。

お大事に。

Posted by: オカタBEAR on 2006年12月08日 20:43
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