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2006年07月31日

 ずいぶんと書きたいことを書かないまま時間が流れてしまいました。
 何から書いたらいいのか分からないから、時系列で。

 まず、ボードゲームとドイツビールの宴。 
 このイベントは、最高にエキサイティングだった。人が交わり、笑い、戦っていた。ピースフルで、夢見たいな空間。シックで、おしゃれな人たちがいて、そこには全員に通じる思いがあって、僕らは感謝して、お客さんたちはその感謝を丁寧に受け入れてくれた。革新的で、とても親切イベント。
 SCRAPというフリーペーパーをやってきて、ときどき思うんだけど、こんなにすごい空間を作れるなんてすごすぎると思う。僕は今までしてきた決断が正しかったのだ、と確信した。そういうことって人生の中でそうそうあることじゃない。これまでしてきた一つ一つの決断を正しいと確信したのだ

 そして、二回のソロライブ。
 たくさんのことを思った。そのうちのほとんどのことを言ってはならない。
 歌を歌うことは本当に難しい。僕の細胞は僕にはコントロールできなくて、ときどき必要以上によい歌を歌ってしまう。それは好ましいことではない。そして、僕はミュージシャンであるときには空間は作れない。それは僕以外の人間の仕事だ。それが出来ているときには心から敬愛するしそうでないときには哀しむ。
 涌井君のソロレコ発はよいイベントだった。僕にもう少しだけエネルギーが残っていたら、もっともっとよく出来たのにな。でも、レコ発ってやっぱり好きだ。僕はロボピッチャーの1stのレコ発以来、レコ発イベントへのお誘いを断ったことは一度も無いんだよ。

 すさまじいまでに続く毎晩の飲み会。
 僕はさまざまな場所で、間違いなく適切ではない発言をする。
 でも、僕は僕に沿わないことは絶対に言わないので、きっとそれは言われるべくして言われたんだろう。
 懐かしい人に会った。古い友人と飲んだ。SCRAPのスタッフとももちろんしょっちゅう飲んでいるな。どうもありがとう。今日はMarbleの人たちと、美容師さんたちと飲んだ。恐るべし焼肉。うまい物は、心を豊かにする。どこにもたどり着けないことを不安ではないと教えてくれるようだ。あ、かおり姉と久しぶりに話した。元気そうだった。あいかわらず綺麗だった。

 SCRAPの最終編集。
 今日から少しずつ配布開始。
 僕は、なんか思うんですが、SCRAPってほんとものすごいクオリティーのフリーペーパーなんじゃないかと思う。そのクオリティーを保つ為にたくさんの人間が犠牲になってるんだけど、それを犠牲と思わないエネルギーがここにはある。
 でも、そのエネルギーはきっととても儚い。今から10年続く物では絶対にないと思う。だから、今SCRAPは読まれなくてはならない。これはとても「今」な物だと僕は思います。この輝きは近いうちに薄れる。別の何かで補うかもしれないけれど、それはとても難しいことだ。いつまでも続くバンドが無いように、いつまでも続くフリーペーパーもない。僕はいくつもの雑誌の創刊と廃刊に関わってきたからわかる。
 この雑誌はいつかなくなる。
 だから必死で作ってる。必死で読んでくれとは言わないけれど、読みのがすことはけっしてありませんように。

 ロボピッチャーMIX最終
 アルバムのことがやっと公式HPで発表されました。
 僕はこのアルバムのためにいったい何曲書いただろう。そして、いったい何曲ボツにしたか。どれくらいの時間歌詞を考えて、メロディーを考えたか。そしてメンバーはどれだけの情熱をこのアルバムに注いだか。今日、最終の仮ミックスを車の中で聴いて、ハンドルを持つ手が震えた。
 このアルバムには足りない物がいくつかある。
 つんざくようなすさまじい一行の歌詞は無いかもしれない。
 誰の耳にも残るようなすばらしいメロディーはないかもしれない。
 超絶にうまいプレイヤーは一人もいない。もしいたとしてもそれをひけらかしたりはしていない。
 僕の歌は、きっと「加藤のボーカルは世界一の成熟度だ」と書かれるほどすばらしい物ではない。
 それでも。
 このアルバムは僕らの命を糧に生まれた。
 ここにこめられている音は、すべて僕らの細胞を削って入れ込んだものだ。
 僕は、今日きちんとこのアルバムを通して聴いて、命の意味について考えたんだ。

 死ぬときに新聞に記事が出るような人になりたいと思ったことがある。
 歴史の教科書に載るような人でありたいと思ったこともある。
 でも、今は歌っていたい。ただここで歌っていたい。
 僕に何が出来るかなんてわからないし、どうでもいいことだ。
 歌わせることなんて出来ない。でも歌うことは出来る。
 だから、僕らは、僕らに出来るすべてを注ぎ込んだ。
 言い訳がましく「今出来るすべてを注ぎ込んだ」なんて書かないぜ。
 僕らの種の尊厳を注ぎ込んだんだ。これ以上のアルバムが今後作れるとは思えないくらいすごいアルバムだと思う。僕はもう、こんな曲は書けない。次に作る曲はまたぜんぜん別の場所で。 
 そして、また毎日は続いていくんだと、思っていたらいいんだと思う。
 
 ボロフェスタについては、別項で。

Posted by kato takao at 2006年07月31日 05:01 | TrackBack
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