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2006年07月12日

 今朝10時に起きて、お風呂に入った。
 それから、着替えて打ち合わせが一本。
 帰ってから、いくつかの事務的なこと。
 午後1時にスタジオへ出発。
 午後2時30分に到着。30分の遅刻。
 レコーディング開始。

 今日はありちゃんのバイオリンと僕のボーカル2曲。それといくつかのコーラス。
 個人的にとてもタフな歌を二曲歌ったので、体のしびれみたいなものがとれない。一曲は結構昔の曲なのだけど、歌うたびに僕が磨り減っていく気がする。もちろん、気のせいに決まってるんだけど、あの曲を作った僕がとても気の毒で、とても誇らしい。

 スタジオを19:30ごろ出発。
 京都に20:30ごろ到着しそのままSCRAPの会議。
 次号企画と、7/21のボードゲームイベントの打ち合わせ。
 長くて、出口の見えない会議。
 みんなで頭をひねって、話して、笑って、落ち込んで、盛り返した。
 そのあと、ボードゲームの練習。終わったのが夜12時。
 へとへとの体を引きずって、デザイナーさんと食事。ロボピッチャーの新アルバムのジャケットの打ち合わせを少しだけ。

 帰ってきたら、いくつかの深刻なメールが届いている。
 とりあえず簡単な処理。今は複雑なことは考えられない。地球は丸く、宇宙は広い。それ以上精密に世界を認識する気力は僕にはなかった。

 とにかく疲れていて、首と頭がじんじんとまた痛み出した。
 僕は、風呂に入って、ビールを飲んで、泥のように眠りこけてしまいたかったのだけど、なぜだか眠ろうともせず、他に書かなくてはならないテキストが山ほどあるのに、ここで自分の為のテキストを書き連ねている。
 ある種の疲れには、言葉が必要で、それは僕が自分で作らなくてはならない。だれかに優しい言葉をいくらかけてもらっても、ある限定された痛みは決して癒されることはなく、ただその存在を大きくしていく。僕らが今緊急に必要としている能力は、誰かを癒す言葉ではなく、自分を癒す自分の為だけの言葉だ。時に僕らはこっそりと開いたノートブックに詩を書き、日記を書く。BLOGで思いのたけを吐き散らしどこかの誰かを傷つける。

 時々メールをもらう。
 大半の人が好意的だけど、中にはそうじゃない人もいる。僕の存在自体が気に入らないような人だっている。
 それでも僕がここで言葉を書き続けるのは、大半の人が好意的だからではなくて、ここが僕にとって必要だからなんだと思う。ここから、僕がデジタルなものを飛ばしたら、それがふわふわと飛んでいって、カリフォルニアのピスタチオ畑の肥料になり、それが日本に輸入されて人々の酒のつまみになる。僕はビールを飲みながら、そんなことを考えている。日米の貿易の根幹にピスタチオはあり、そのピスタチオを育てているのは僕のテキストなのだ。

 ある日、電話がかかってくる。見たことのない番号。どこかの携帯電話だ。
「もしもし」と僕は言う。
「もしもし」と彼は言う。
「はい」
「あ、あの、先日の酸素モニターK450の件ですが点検依頼書に必要事項をご記入いただき依頼品とともに弊社へ送付願えないでしょうか」
「・・・・・・」
「あの、もしもし?聞いておられますか?」
「はい。聞いてます。あの、失礼ですが、電話番号を間違ってはおられませんか?」
「え?でも0906066・・・・の加藤さんですよね」
「はい。」
「では間違っていません。ご依頼の件で電話させていただきました」
「あの、よくわからないのですが」
「はい?」
「間違っていないというのはいったい何と照らし合わせて間違っていないのですか?」
「今私の手元にある依頼書です」
「それが間違っている可能性はありませんか?」
「加藤さん」と彼はしみじみとした口調で言う。「私の手元にある依頼書が間違っているのなら、いったい私は何を信じて仕事をすればいいのですか?」
「・・・さあ、それは僕にはわかりません」
「なるほど。あなたは、わからないという。それはまあそうなんでしょう。ただ、私はわかる」
「はい?」
「私にはわかるんです。この依頼書は絶対に間違っていない。なぜなら、これが間違っていたら私の人生が間違っていたことになるからです。私の人生が間違っていたってことをあなたに証明できますか?」
「・・・いや、無理だと思います」
「じゃあ、やっぱり合ってるんですよ。ねえ、あなたが酸素モニターK450の点検依頼書に必要事項を書いて弊社に送付してくれたら問題ないんじゃないですか?」
「・・・確かにそうだと思います」
「では、宜しくお願いいたします。住所は・・・・・・・です。送付の後にメールとFAXを・・・・・まで念のために送ってください」
「わかりました」
「なんだか長い電話になってしまいましたね」
「そうですね」
「加藤さん」
「はい?」
「僕はあなたの日記が嫌いです」

 がちゃん。僕は電話を切る。

 明日も13時からレコーディング。午前中に一曲歌詞を書くつもり。きっと今日は無理だ。
 僕はぎりぎりな歌を歌う。そして、徳俵についての建設的な意見書を提出する。
 僕は疲れきっていて、きっと明日もものすごく疲れるけど、大丈夫。
 仕事で疲れるのは馬鹿らしいけど、遊びで疲れるのは楽しいからね。

 ああ、こんなこと書くとまた嫌われちゃうなあいつに。
 電話が掛かってきたらいやだな。

 ところで梅雨ってあけたのかな。
 っていうか入梅してたのかな。
 あの、梅雨明け宣言とか、梅雨明けてました宣言とか、梅雨明け宣言取り消しとかの茶番を繰り広げる気象庁を僕らはどのタイミングで笑えばいいのでしょうか?笑っちゃだめなら怒ったらいいのかな。

 さて、
 死んだように眠ろう。
 眠りが僕の意思で訪れるなんて、素敵なことだな。
 

Posted by kato takao at 2006年07月12日 03:53 | TrackBack
みんなのコメント

僕にはあなたの日記が救いです

Posted by: f on 2006年07月13日 00:51

加藤さんが飛ばしたデジタルなものが、北関東の私のこころの肥料になり、その私が我が家にしょっちゅう迷い込む蛙を助けます。その蛙に害虫を食べてもらって育った米が加藤さんの食卓に届くことを祈ります。

Posted by: 壇 on 2006年07月15日 01:07
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