ずいぶんと久しぶりになってしまいました。
毎日更新されないこのページを見に来ていただいた皆様には、申し訳ないことをしました。
「また今日も更新されていないのかあ」というため息が何千個かは集まって、ぷかりぷかりと僕のところへ飛んできたようです。ひさしぶりに書きます。
最近あったこと。
まず、今月に入ってすぐに、すとんと心が落っこちてしまいました。
ぎりぎりのことしか出来なくなって、きちんと起き上がって世の中と対峙することが出来ませんでした。限られた人達と、限られたコミュニケーションだけを行なって、それすらもまともに行なえたとは言えず、ただ、末期の肝硬変でかちんかちんに固まってしまった肝臓のような心を抱えて、なんとか生き延びる事には成功しました。
そして、その合間に書いた曲の美しさには、めまいを通り越して運命の皮肉ささえ感じます。
僕は、なんとかぎりぎりギターを抱えて、曲を搾り出し、どうしてもやらなくてはならない仕事をこなしました。少しでも外に出たらいいかと思って、うろうろと外に出たのですが、こんなところで和やかには決して書けない様な陰惨な失敗をいくつかやらかして、ほうほうの体で逃げ帰ってじっとしていました。
とにかく残念なのはもぐら君の結婚パーティーにいけなかったこと。
しかし、彼の結婚パーティーはいったい何回あるんだろう。まあ、めでたいことは何回やってもいいか。
少し回復したかなあと思ったのは12月6日くらいで、京都は朝から雪模様だったのですが、ずるずると這い出して久しぶりにプールに行きました。
うちから15分ほどのところに社会保険健康施設とかいう微妙な施設があって、そこは安いし人も少ないし、いったいどういう了見で運営が成り立っているのかさっぱりわからないけど、わからないからこそ僕にとっては便利な場所なのです。
ふらふらとゆっくり2kmくらい泳いだらなんだか妙な気持ちになってきて、いくらでも泳げるようなこれ以上泳いだら危険なような、自分の疲労を自分では認識できないデッドゾーンを越えてしまったよな感じになり、プールを出てお風呂に入りました。
その施設にはなかなか立派な浴場が用意されていて、サウナもあります。僕はサウナにはさほど心ときめかない人間なのですが、その日はもうなんか殺人的に寒く、一度くらいはちゃんとサウナを体験しておこうと強く心に誓いながらやってきたので、試しに入ってみたのです。
入ると狭いサウナは僕独りで、中には「12分計」という12分を計る時計がおいてありました。文字盤は普通の時計と同じなのですが、秒針と長針の二種類しかなく、一分で秒針が1周し長針が1メモリ動く、というシステムの時計です。それを見た僕は、普通の成人男性らしく「ああ、サウナとは12分くらいで出るものなのだな」と感づきました。かしこいなあ。
で、しばらくじっとしていたのですが、あっというまに汗が噴き出しました。もともと僕は少し半身浴しただけでも汗がどんどん出てくる体質なので、サウナほどの熱さがなくても新陳代謝は活発なのですが、まあ、これもまた一つの試練かと思い、じっと12分が経つのを待ちました。
おそらく9分くらい経過した頃、一人のおじいさんが入ってきました。人懐っこそうな表情で、飄々と入ってきたかと思うと、真っ先に温度計を見て「お、なんや、今日はあんまり焚いてないな。ちょっといじったろ」とかいって、なれた手つきで機械をちょちょいと触ると、突然部屋の温度は5度ほどあがり、僕の身体からは更に滝のような汗が滴り落ちていました。
「こんくらいの温度やないと汗でえへんもん」と彼はいい、てへっと言う感じで笑いました。
「そうですね」と僕はなんとなく相槌を打ちましたが、すでに汗だくでした。
「それにしても、もうすぐこの施設もなくなってしまうみたいで残念やね」
「え?そうなんですか?」
「法律も変わったしな。まあ、こんなに流行ってなくて設備がよくて安い施設はあかんやろ。国としても。わしは週に6回来てるから、他のところを探すのが大変やわ」
「そうですか。僕は最近はもう3ヶ月に一回くらいになってしまってるんです」
「ええ?!3ヶ月にいっぺん?そんなんめちゃめちゃしんどいですやん!わしなんて3日も休んだらえらいのに。そらもっと来なあきまへんわ」
とかなんとかいって、彼は、自分の妻がパートに出て、腰が痛いと言い出した話や、今度は高野のLスポーツというところに移ろうと思っているという話や、サウナに水をかけて機会を壊してしまった会員がいて自分はその人の顔を知っているという話を得々と語りだしました。その一つ一つの話が面白かったわけではないのだけど、言葉がきちんとしていたのと、何より彼の語り口がキュートで矍鑠としていたので、僕はなんとなく最後まで聞きたい気持ちになり、気がついたら85度のサウナに30分ほど入っていて、脱水症状前の眩暈を自覚し始めていました。
「おじさん。悪いけど俺もう出るわ。しんどなったし」
「そか。ほな元気でがんばってください。もうちょっと泳がなあかんで。最低週に3回は来んと意味ないで」
僕は、にこりと笑って、サウナを出ました。
俺はいったい70歳も近そうなおじいさんに何を心配されているのか。
まあ、でも、仕方ないか。明らかに彼のほうが僕より健康そうだった。俺はサウナで倒れそうなのに、人の話をさえぎって立ち上がることさえ出来ないほど弱っているのだから。
翌日からはロボピッチャーの練習。新曲を作りました。新曲を作っているときだけが、正しい自分である気がする。でも正しい曲が作れているかどうかまではわからない。
SCRAPの次号の打ち合わせもしました。
今号は読んでいただけましたか?
1/14の乙女チックポエムナイトにはぜひぜひみなさん遊びに来てくださいね。
http://www.scrapmagazine.com/
親しい人達と焼肉。
劇的においしかった。
あれがなかったら、本当にいつ立ち直れていたのかわからないくらい、大切な時間でした。
あまりに素晴らしい時間過ぎて、多くを語れません。
そして、みみずくずとの2マンライブ。僕のソロとみみずくずとのライブはなかなか緊迫したものになったのじゃないでしょうか。みみずくずはやはり素晴らしかった。僕の隣で見ていた50歳くらいの男性が、ライブでレイナさんの歌に合わせて歌詞を口ずさんでいるのを聞いて、殺人的に羨ましくて同時に感動した。こんなふうに誰かに愛しむように僕の歌も歌われているんだろうか。どこかでは。彼女はすばらしい。誰よりも彼女で、その美しさは比類ない。
ライブの後は、元バンドメンバー倉光さんの家に泊まりに行った。だらだらトーク。
いくつかの打ち合わせ。うんざりするようなものもあり、新しい可能性を提示するような刺激的なものもあり。
ただ、まだいつ心がこけるかわからないので、しばらくはそーっと生きる事にする。あまり大層な仕事の話は断る。自分がやりたくて必要最小限なものだけ選んでやることにしよう。3月くらいまでは。
精華大学にて、「音楽メディア論」の授業のゲスト講師。
あまり上手に話せなかったな。言いたいことはたくさんあったような気もするけど、伝えたかった事が伝わったという実感がつかめないまま終わってしまいました。終わってから、数人の学生さんに慰められるように「よかったですよ」と言われたけれど、まあ、少し残念な気がしました。とはいえ経験としては面白かったし、刺激的なことではありました。誘っていただいたαステーションの田中さんにはとても感謝しております。
その他のさまざまな細かい仕事。そして、その他の手配。
きっとさまざまなことを忘れていて、いろんな手配ミスがあるとは思うけど、ひとまず出来る事はやった。
あとは、もうしらん。
今日は大阪のスタジオで、ラジオCMの歌録音でした。
初めて行ったスタジオだったのですが、そこのエンジニアさんが6年ほど前に3回くらいタイバンした人でした。長く続けていると、エピソードもなんか奇妙な符号を示しだします。人の歌詞で、人のメロディーを、人の望むように歌うという仕事はやはり面白く、僕は僕の知らなかった僕の中の扉をいくつも開きました。
そして、大阪に出たついでに、先日ある人に教えてもらったフレンチコネクションというところでずいぶんたくさんのお買い物をしました。久しぶりに服をたくさん買った。どーんとお金は消えていきましたが、最近はなかなか働いているしまあいいや。金がなくったって、歌は歌える。
読んだ本は、今月に入ってはミステリーを3冊ほど、なぜか綿矢りさを1冊、資料の文献を8冊、村上春樹「東京忌憚」、マンガをたくさん、「ロマンチックな狂気は存在するか」(再読)など。なんか忘れてる気もするけど、忘れてるくらいだからいいでしょう。
ビデオも僕にしては結構見た。
「イノセンス」、「破線のマリス」、「攻殻機動隊2nd・・・」そんくらいか。
あ、あと「ワンダと巨像」をクリアいたしました。いえー。
SCRAPもいたるところに配布しました。
あと、寺島さんと飲みに行った。話題は・・・えーっと、まあ、いろいろ。
大体この10日であったことはそれくらい。
相変わらずで、素晴らしく哀しい日々です。
たくさんのメールに返事を返せていません。
この場を借りてお詫びを。
あ!でもDMは出しました。
まだ来ていない方は、info@robopitcher.com までメールください。送りますとも。常軌を逸した長さなので気をつけてくださいね。
目が覚めたらまたひとりぼっちがやってきます。いまだって一人だけど、もっとひとりだ。
明日は、夕方からロボピッチャーの練習。それまでは、2つの打ち合わせと、簡単なもののやりとり。日々は続いていく。
そんな感じです。
ではまた。
近いうちに。
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