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2005年07月22日

 ずいぶんといろんなことがあった一週間で、たくさんの人に会い、話し、ライブを二回して、アルバムのマスタリングをしました。たくさんのお酒を飲んで、それらをすべて小便にして出し、すべての排泄物は人生の無駄さを僕に教えてくれているようでした。

 そして、いくつものうちあわせ。
 仕事について、ロボピッチャーについて、ボロフェスタについて、SCRAPについて。

 電話は一日に何回も何回もなり続けて、メールは一日に100通くらい来るでしょうか。僕はその中で必要だと思われるものに返事を書き、必要ないと思われるものは削除して、残された時間の中で、自分のための言葉を探します。もちろんそんなもの見つかりはしません。
 でも探す事もやめてしまったら、自分が何をしているのかまったくわからなくなってしまうのです。

 あるライブの後、僕はものすごく酔っ払っていて、「言いたい事がないミュージシャンは、歌詞なんか書かなければいい」というような発言をしていました。もちろんそれは、とても正しくて、むしろ正しすぎてこっけいですらあるのですが、時々、ごくまれに奇跡みたいに「ミュージシャンになりたいから、歌詞を書きました」っていう人の言葉がすばらしい時があります。
 良い歌詞がどこからやってきて、どこへ行くのかこそ、もうわかりませんね。

 歌詞が肌からぽろぽろとこぼれるように出てくるときは、言いたい事があるからではなく、言わないと死んでしまうような切実な時です。そんなときは、どんなに楽しい歌詞を書いても、すぐ傍に死がいます。

 夜中に携帯にメールが入りました。
「今日のライブにはいけませんでした。最近忙しいから、ロボピッチャーで癒されたかったけど。とはいえ、あなたの曲で癒されたことなんてないけど」
 僕の返事 「それは、癒されない君が悪い。癒されるのには技術がいるのです」
 彼女のメール 「どんな技術や?鍛えとくから教えとくれ」
 僕の返事 「本質的には誰も癒されたりしないのだ、と知る事です」
 そんな夜中のメールのやり取りに癒されたりする愚か者だな。俺は。

 7月15日からARTBEATというイベントに出演し、出展もしたのですが、いろいろ面白い人に会えてよかった。アートのイベントっていうのは僕にはまだよくわからなくて、そこにあるカオスや、音楽のイベントでは決して許されはしないゆるさがなんとなく心地よくて、腹立たしい。もっと出来るような気がするけど、このままでもいいようなそんな気分。いつまでもはこうしていたくないけど、今このときは、こうしていたいような。
 osoramiという素晴らしいアーティストと出会いました。またライブが見たいと思った久しぶりのアーティストです。

 東京ではギターの弦を二本も切った記念すべきライブになりました。ギターをメンテナンスに持って行きましたが、特に悪いところはないらしく、たまたま買った弦が脆かったようです。ちぇっ。その後は、予言したような素晴らしいライブが出来たとは言い切れず、ライブハウスの外でこっそり落ち込んでしまいました。あ、こんなこと書いちゃだめかな。でもほんとのことだからいいや。完璧なライブばかりができるわけじゃないけど、完璧なライブが出来なかったら、やっぱりすごく落ち込んでしまいます。まあ、いいや。落ちたら上ればいい。転んだら起きたらいい。

 その翌日は、乃木坂のスタジオでマスタリング。
 僕は、マスタリングという作業はよくわからなくて、最終の微妙な音のバランスを整えたりとかのいろんなことをするのですが、ほとんどの時間を後ろのソファで寝て過ごしました。マスタリングで僕の歌詞やメロディーが変わるわけではありません。歌詞やメロディーをより良く聞かすためのことは、バンドメンバーがやってくれるはずです。

 で、そんなわけで、次のアルバムが完成いたしました。
 これは、どんな作品なんでしょうか。
 まだ、まったくわからないけど、僕の勘では、これはリアリティーについてのアルバムになったのではないでしょうか。前の二作で物語を獲得したロボピッチャーが、その物語を今の実際の世界の目線で語ったアルバムのような気がします。まだわからないけど。そして、わかる事なんて二度とないのかもしれないけど。
 このアルバムが開けてしまった扉の重さを思うと、涙がでそうになります。
 また一つ、生まれてきてよかったなあ、と思えるものが創れました。
 秋にはみなさんにお届けできると思います。

 そういえば、前回の僕のソロライブの告知が遅かった、とずいぶんしかられましたので、今回は早めに告知します。
 加藤隆生ソロライブ
 日にち 2005年9月10日
 場所  京都ネガポジ
 一緒にやる人 月下美人、フランツララ

 夏は大好きな季節のはずですが、いくらなんでも暑すぎますね。
 大嫌いなクーラーをかけながらこれを書いています。
 30分前にあけたビールが、もうぬるくなっています。
 ぬるくなったビールも好きです。

 あ、夜が明けてきました。
 長い一日も終りみたいです。
 明日からも、なかなかにばたばたした生活をしますが、きっと先週ほどではないでしょう。
 きっと適度に人と会い、適度に一人でしょう。
 ああ、そうだ。そろそろきちんと時間をとったデートをしなくては。僕の人生には、週末をきちんと彩る、正しくてぴったりとしたデートが必要なのです。
 
 今日。とても散文的な企画書を読んで笑った。
 「散文的な企画書を読んで笑う」ってなんだかずいぶん文学的ですね。

 ロボピッチャーHPのコラムをそろそろ書かないとな。
 格言もまた作らないと。

 夜がすっかり明けてしまいました。
 散文的な夜明けです。
 まあでも、やけに文学的な夜明けよりもましでしょう。

 読みかけの本を読みながら寝ることにします。
 
 目が覚めても、世界が続いていますように。

 せめて、僕らの次のアルバムが、世に出るまでは。

Posted by kato takao at 2005年07月22日 06:16 | TrackBack
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