2005年06月26日
 
錆の匂いがした
 シルエットしか見えない廃墟の
 月明かりしか届かない
 鉄くずの折り重なったその場所は
 錆の匂いしかしなかった
 温度はなく
 人生ゲームもなかった
 瓦礫がただ積み重なっていた
 
 崩れた煉瓦に
 最初の雨が落ちるのを見た
 世界で最初の雨だった
 流れでる水は赤茶けていた
 土と混ざってがじゃがじゃしていた
 ランプの煤だけで出来た場所
 死神もいなかった
 
 おーい
 ここには誰もいないよ
 
 月明かりしか届かない場所から
 虚無まで歌い上げて
 おーい
 ここには誰もいないよ
 と
 彼らは言った
 錆の匂いに
 雨の匂いが混じった
 彼らは泣いている様に見えたけど
 希望についても歌っているようだった
Posted by kato takao at 2005年06月26日 05:06 | TrackBack
みんなのコメント
美しいと思いました
Posted by: momo on 2005年06月27日 21:34comment する
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