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2005年04月03日

 なんともいえないのですが、ともあれ、僕らには春がやってきて、やはり宿命的な別れがやってきて、過去から続く関係と、これからはじまるであろう関係に心震わせながら、ビールを飲むのでしょう。膨らむ桜のつぼみを狂おしく思いながら。

 頭ががんがん痛みます。
 この痛みはどこからくるのか。
 血液が脈打つたびに痛むなんて、生命への冒涜ではないのか。

 汚いものがあったら綺麗にする。
 綺麗なものがあったら汚す。
 ひねくれてるのか。
 ちがう。
 それが求められているのだ。
 その繰り返しの中でぼくらは、なにも見つけずに、ゆらゆらゆれて、
 のどが引きちぎれるほどの大声を上げて
 叫ぶ
 
 たすけて

 と

 助けはこない。
 そもそも助けってなんだろう。
 何も僕らを救えやしない。
 ヒーローは現れずに
 僕はまた新しい傷を作る。

 ビールを飲んだ。
 とても。
 友人達はいつもみたいで。
 僕もいつもと同じだった。
 いつもみたいに遊んで、飲んだ。

 現状を聞いて、将来については話さない。

 僕らはいろんなことを知っているので、
 未来なんかについては話さないのです。

 僕は友人が
 セクキャバで性器を触られたって話を
 ははは
 と笑いながら聞いて
 雨の中を歩いて
 なんと!
 カラオケにまで行って
 エレファントカシマシの
 「かなしみの果てに」を歌いました
 とても上手に歌えたので、
 94点を獲得しましたが
 これは、プロの歌い手として 
 良いのか悪いのかは不明です
 
 高校のときに飲みに行ったのと同じ店で待ち合わせて 
 高校のときに飲んでいたビールを飲みました
 量は
 ぜんぜん違うけど
 なんであの頃は
 一杯であんなに話せたのか

 爪がはがれる映像が浮んで消えません
 みしみしと音を立ててつめが一枚ずつ
 ゆっくりと
 はがれていきます
 指からはどす黒い血が滲み出していて
 ああこれで
 僕は
 ギターを弾かなくて済むと
 思ったのか
 思わなかったのか
 指の節々から
 汚らしい液体が零れていきます
 一つ一つのしわから僕が剥がれ落ちていく
 だらりと両手を下げたら、
 ぽとりと何かが落ちたので
 ふと下を見たら
 ぼくの薬指でした
 
 薬指はびくびくと毛虫みたいにまだ動いていて
 毒々しい紫色に変色していて
 もう二度と
 あんなものは身に着けたくないと
 僕は思ったのだけど、
 思ったのだけど
 やはりギターが弾きたいので
 しぶしぶ拾って
 いつかどこかで
 またつけてあげようと
 思いました。

 外では雨が降っていて
 僕は明日からも忙しいようです
 こんなふうに言葉を書き続けて
 僕らはどこへいくのでしょう
 隣ではビールがしずくを蓄えて
 僕に呑まれるのをまだ待っています
 今日おそらく5リットルくらい目のビール

 物語の始まりには丁度いい季節ですが
 僕はまだ頭が痛く
 ささやかな別れの悲しみと
 出会いのもたらす不安定さと
 戦うのに精一杯で
 プロローグから先には
 なかなか進まないみたいです

 胃液で出来たお風呂に入って
 僕を溶かして
 胃の内壁だけの体になって
 それでもなお
 助けを求めるような
 そんな
 強さが
 欲しかったり
 そうでも
 なかったり。

Posted by kato takao at 2005年04月03日 05:09 | TrackBack
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