お昼からミーティングがあって、その後さまざまな事務をこなす。
今日は体がだるくて、これはちょっとやばいんじゃないかというくらい無気力でした。夕暮れを越えるのが難しく、かすかに舞う雪が止まって見えました。
ばんっと風景が止まって、誰もいない山奥を一人僕は車で走っていて「ああ、いつか人を殺して死体の処理に困ったらここに捨てにこよう」と思っていました。
ラジオはつけてもつけても良い音楽は流してくれなくて、僕はしかたなく、本当にどうしようもなく仕方なくロボピッチャーをかけようとしたのですが、ロボピッチャーは僕の車には積んでいなかったので、しかたなくカタカタゆれる車の窓の音を聞いていました。
夕暮れが終わる頃に、僕は家にいて、たまっていた領収書の整理をしたりし始めました。メールでいくつかの良いニュースが飛び込んできて、少しだけ嬉しくなったけど、それはまだずいぶん先の話で、僕がこの夜を上手に越えていけるかどうかとはあまり関係ないようでした。
電話がかかってきました。これはどうやら現実のようだ。
僕は「もしもし」という。
夜の9時には別の場所で、別のミーティングが始まることが決まる。
9時には眠らないといけないんじゃなかったっけ?確か、「8時だよ全員集合!!」が終わったらすぐ眠るように決められていたはずです。
外は寒くて、寒くて。
ミーティングが終わる頃には、また僕は春を信じられなくなっていました。
この夜は終わらないのだ、という眼前にある事実に打ちのめされてしまいそうです。
僕はまたぎゅっとハンドルを握り、いつか歌うはずの歌の事を思います。
大丈夫。
こんな時間は流れていくから。
次の時間がまたすぐ来るから。
だけど、次の時間が今よりましだなんて誰にわかるんでしょうか。
また夕暮れが始まったようです。
風は切る様に冷たく、どこかで誰かの乾いた咳の音が聞こえました。
2兆年経ったら死んでいる僕らは、今この時間の重さに耐えられないで、ライブにいったり、歌ったり、お酒を飲んだり、ギャンブルに依存したり、恋の遊戯に興じたり、引きこもったりするのでしょう。
大丈夫。今日二回目の大丈夫。
僕らは何かに依存してすら生きていくのだから。
君が明日の仕事に耐えられず、僕らのライブを現実からの逃避と使ってくれたなら、僕はその事に心弾ませ、きっとまた次の中毒のような曲を書くでしょう。
2兆年後には時間はどうなっているかな。
君が震えるようにつぶやいた呪いの言葉は、そのときまで残っているだろうか。
永遠って、どれくらいなんだろう。2兆年より長いのかな。
2兆年経ったら教えてくれるだろうか。
さて、どうやら、実験には成功したようです。
今はさっきよりも時間が進んでいて、前よりもましではないけれど、前より悪くならなかったというポジティブな結果を導き出しました。
明日も寒いそうです。
みなさんの中にある温かさが、どうぞ消えてしまいませんように。
今気がついたのですが、どうやら音楽が永遠に流れ続けるというのは嘘のようです。
せめてここで、この時間だけ流れる音楽を、大切にするくらいの温かさが残っていてくれたらなと思います。
僕にも。あなたにも。
たとえば、頭が痛くなればバファリンがあるし、お腹が痛くなれば正露丸がある。
それは安心できることです。
わたしはすぐ不安になります。感情にはたくさんの種類があるけれど、もし「デイリー感情の頻出ランキング」っていうのがあれば、あたしの場合、不安が、毎日上位にいるとおもう。
「あした、死ぬかもしれない」
この言葉は、不安という感情にすごく効く。
不安という感情が苦手なあたしには、薬のよな、頼りになるものです。
不安という感情は、未来がある、ということを前提としてしか現れないものです。
だから、不安を感じるあたしっていうのは、自分には未来があると信じきっているんです。
でも、あした死ぬかも、っておもったら、未来に対する不安は消え、今に対する愛情が顔を出すんです。
椎名林檎は、
あしたくたばるかもしれない
だから今すぐふりしぼる
と歌いました。
まったくね。まったくです。
永遠っていうのは、よくわからんけれど、今っていう瞬間の連続なんだとおもいます。
だから、今っていう連続を大事にし続ければ、永遠を大事にするっていうことになるんだとおもう。
ああ、今、友達のアイポッドから、だいすきな音楽が流れています。
だいすきな歌が、流れています。
Posted by: 土門 on 2005年03月17日 04:21
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