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2005年03月12日

 妙な一日。
 ギャラリーに作品展を見に行って、まあ、なんとなくそこにいる人と話して、なぜか似顔絵を描いてもらって、不必要なまでに拡大されたピースフルの中で、似てるとか似てないとかいう問題ではないレベルの似顔絵を描いていただき、その後もう10年以上の付き合いになるライブハウスの元店長で、現在はレコーディングエンジニアをしている寺島さんと飲みに行き、マンガの話、音楽の話に、最近は商売の話まで加わって、ああなるほど、これこそが年を取るってことかと思っていると、なぜかそのまま二人は卓球に行き、子供みたいな顔で子供みたいな金額を賭けながら夢中で打ち合った後、スパッと別れて、僕はデザイナーさんのところに打ち合わせへ、彼はバンドのリハーサルへと旅立って行かれました。
 その合間に、まったく聞きたくなかったつまらない伝言を聞いたり、高校の頃の友人が知らない間に転職して東京に行っちゃっていたことを知ったり、電話の向こうではやけに疲れた女の子が明日の仕事を案じていました。

 大好きな季節がやってくる通過儀礼として、僕は明らかに浮き足立っていて、どうしようもなく不安定で、すべての事象に等しく揺らいでしまいます。喜びと哀しみの心の揺れは絶対値ではかられるべきものなので、それがプラス方向であろうとマイナス方向であろうと僕に与える影響力は絶大で、今日は朝からすさまじいスピードで現実と妄想の間をいったりきたりしました。
 明日からまた寒くなるんですってね。いやだな。寒いなんてつまらない。あたたかかったらきっと、もっとこの日記だって更新するのに。寒いせいで書けない。

 ところで、たった今の僕の状況を説明すると、なぜかこんな時間なのに結構しっかりした格好をしていて、普段着ていないようなぱりっとしたシャツに、黒の縦縞のパンツをはいています。黒ぶちのメガネをかけていて、明日のライブのために短く切りそろえた爪でキーボードを叩いています。で、特に書きたいことなんてないのに、この文章を終わらせるのがなんとなく寂しくてつらつらとキーボードを叩き続けています。それが今の状況。
 何故かな。そういえば、ロボピッチャーのHPの格言やコラムも最近どんどん長くなってきたのは果たして年のせいなのか、どうなのか。いや、これは、おそらく僕の中にある不安定さの帰結だな。どこかにつながっていないと不安になる。で、このweb日記とつながっているのか。うーん、サイバーパンクな話だなあ。
 それで思い出した。中学のときに僕はなぜかSF少年で、体中のスミからスミまで文系だった僕の唯一の理系との接点がSF小説でした。そんななかで出会った「ニューロマンサー」というサイバーパンクの金字塔SFは僕の中にずいぶんとくっきりと残っており、「サイバーパンクといえば攻殻機動隊でしょう」とかいう向きとはあまり仲良くなれないタイプです。いや攻殻機動隊も好きなんですけどね。サイバーの定義の問題です。
 ま、ともあれ、サイバーパンクが、有機的存在である人類と、デジタルで無機質(であるはずの)メカニックが宿命的に融合した世界観を描き出そうとして創生されたのだとすれば、その予言はまさにど真ん中にいやんなるくらい明確に未来を言い当てていたと言わざるを得ない。体からにょきにょきコードが出て、それがPCにプラグインされるってな感じの状況はまだないし、だれの頭からも機械が生えたりはしていないけれど、精神世界におけるサイバーパンクは完璧なバランスで成されているのかもしれない。もっともドラスティックでうつくしいバランスで。

 うう、あ、まあいいや。そんな事書いてても別に元気になるわけじゃない事をいやというほど確認いたしました。もうぼちぼちお風呂に入って寝る時間です。
 明日は拾得でライブです。ちょっと寒い土曜日になるそうですが、そこをなんとか見に来てくださいよ。僕だって寒いけど出かけるんですよ。ああ、寒いなあ。寒いのにライブするのか。いや、寒いからこそライブするのかな。寒いときでも唯一やろうとするのはライブです。ライブがあるから家から出るのさ。いや、そんなことはないけど、まあ、とにかくライブが大事って事です。アイラブライブですよ。うわあ、カタカナで書くとださい。I Love Live.ちぇっべつに英語で書いてもダサいか。
 えー、なんかなあ、いつまででも書けるけどなあ、もうやめなくちゃいけないのかなあ。思ったことを即時的にテキストに出来るなんてすばらしい時代が来ましたね。もちろんそのせいで皆さんにはご迷惑をお掛けしているのだとはおもいますが。今どれくらいの人に「こいつ、こんなつまらない文章をいつまで書くんだよ」とか思われてるんだろう。知るすべがないですね。だって、これは全部書き上げてからしかアップされないもんな。アップするのは俺だしな。今度チャット形式で日記を書こうかな。テキストが打たれていく様子をみんなで眺めるの。で、文句があったらその場で突っ込んだりして。そういうシステムないのかな。ないか。あってもつかわねえか。でも、そういうテキストのライブがあればちょっと見てみたいけどね。
 テキストにはもっと力があっていいと思う。映像や、音楽や、話し言葉などに奪われてしまった影響力をこのネットというメディアの中でもう一度取り戻していくんじゃなかろうか。これだけたくさんの人達が日本中でだらだらと日記を晒している中で、何が生まれるかってそこからテキストへの信頼感が生まれなかったらほんとにこの国の言葉は終わる気がする。言葉が終わるってのは、すなわち観念的なことを人に伝える手段がなくなるってことです。つまりそれはロボピッチャーが終わる事も意味するな。ミニマムなレベルの話をすると。

 ああ、もう、さっきそろそろ終わろうかと思ったのに、また変な事かいちゃった。しかも、また微妙な事を自信たっぷりに言ってるみたいなニュアンスだしなあ。
 
 いつか、物語を書きたい。
 どこか、ここではない場所の、僕の知り合いが一人も出てこない物語を書きたい。
 「いつか」、「どこか」で、語られるはずの物語が、「今」、「ここ」にいる僕をこんなに励ましているなんて、その世界の住人は知っているだろうか。
 
 まあいいさ。楽に行こう。
 明日はライブです。
 良かったら会いに来てくれるとうれしいです。

 では。

Posted by kato takao at 2005年03月12日 03:15 | TrackBack
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