2004年03月16日
だれもいない部屋で携帯電話がなっている。
耳障りだ。はやく鳴り止んで欲しい。
しかし、それはおかしい。そこはだれもいない部屋なので、僕もいないはずなのだ。だから、その部屋でなっている電話が耳障りであるはずはない。
誰もいない部屋で電話がなっている。
鳴り止む気配はない。
僕はそれが耳障りで、その電話のない部屋に行ってしまいたいけど、僕はもともとその部屋にはいないので、どこにもいけない。いけないどころか、最初からそこにはいなかったのだ。
僕は耳をふさいでる。
音が指の間をすり抜けて迫ってくる。
鼓膜をもっとも不愉快な振動で揺らす。
叫び声はギターの音は超えても、携帯電話の不愉快な音は超えられない。
もっと小さな、ささやかな音がその部屋で鳴る携帯電話の音を超えていくのだと思う。
空気さえ揺らさないような、小さな音が必要で、僕が求めるほど小さな音はどこにもない。
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