僕の知るいくつかのバンドが解散を発表しました。
それはそれで問題ない。何度も言うようだけど、いつまでも同じ形態ってのは続かない。
とはいえ、バンドが解散するってのは哀しい。ただひたすら哀しくて、僕は他の何も思えなくなる。
バンドが解散するときに引きずる各種の感情は、恋愛が終わるときの比ではなく、恋愛なんか終わっちまえばただの他人で、思い出すことも僕はなくなるし、名前も忘れちゃうけど、バンドは違う。どんなに月日が流れても、それが「元バンドメンバー」であるってだけで、胸が苦しい。今どんな音楽をやってるんだろう、どんな人と音楽をやってるんだろうって気になる。たとえ、音楽をやってなくても、どんな音楽を聴いてるか気になるし、なにより僕の今やっている音楽のことをどう思ってるか気になる。
バンドが解散するかもしれないという空気が流れ出してから、その空気を止めるためには、信じられないくらいの労力が必要です。僕はそれに成功したことは一回しかなくて、しかもそれは、たまたま沖縄ツアーという飛び道具があったから成功しただけでした。
一度深い傷が入ってしまったら、それを修復するのは難しい。
僕らは僕らの能力を、その客観性よりも高く評価するので、「音楽はここでなくても出来る」と思う。
ただ、その直後にきっぱりと気づく、「しかし、あの音楽はあのバンドでしか出来なかった」のだと。いや、それはやめる前から知っていた。やめてからのほうが深く知るだけで。
そして、さらに深い場所で僕らは音楽を鳴らすのだ。
かつてのメンバーが生きている場所でこそ鳴り響く曲を僕は書き連ねる。
何曲も何曲もからっぽの世界に向かって産み落とす。どうだ、これが、俺の歌だ。
僕の周りのありとあらゆる事象を糧に、僕らは音を鳴らす。世界を揺らす。
かつてあったバンドのために。
かつてあったバンドが目指した場所のために。
その場所にはいけないけど、その場所のことは思ってる。
バンドが解散するってそういうことだ。
なくなってあいた穴は、多分永遠に埋まることはなく、ただそれに関わった人たちの琴線をかきむしり続ける。
狂ったように音楽にとどまるか、引きちぎるように忘れるかの二択を迫られる。
今までおつかれさまでしたと、こんなところで言ってみる。
届けばいいのにとも、思ってる。
僕は大好きだったですけど。
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