ただいま。
東京から帰ってきました。レコーディングとライブをやって、その他のこともやりました。
僕は基本的に毎晩酔っ払っていて、それはそれで楽しかったのだけど、どことなく擦り切れていくような微妙なことも思ったのでした。
東京での4日目くらいなのだけど、なんと六本木ヒルズに行きました。たまたま六本木で三時間くらい時間をつぶさなくてはならなかったので、興味本位でふらりとよってみました。
それはあきれるほどソフィスティケートされた場所でした。歩いている人は六本木ヒルズを歩くためにしつらえた服を着ていたし、その場所はその場所であることを誇り高く世界中に喧伝していました。ソフィスティケートされたお店が並び、ソフィスティケートされた値段で、ソフィスティケートされたやりとりの上でシステムが成り立っていました。
僕はひどく汚れた服を着ていて、よれたズボンともしゃもしゃの髪の毛でそこに立っていて、とても惨めな気持ちになった。
そこのトイレはきれいな切り出しの石で出来ていて、手を洗うときに「温水」と「水」ってボタンがついていて、温水ボタンを押すとちょうどいい温度の温水が出ます。で、「せっけん」っていうボタンを押すと泡立った石鹸がしゅっとでてくる。
ぼくは、そこに20分くらいうろうろしていると、ものすごく疲労してくるのが自分でも分かる。いや、それは疲労ではない。もっとパンキッシュな感覚。隅から隅まで黒で塗りつぶしたいと願った、ストーンズの気持ちとぴたりと一致する感じ。
さて、本当にみずぼらしいのはどっちかな、と僕は思う。あさましいその場所で、ぼくは汚れた服を着て立っている。僕の服は洗ったら汚れは取れるけど、この場所のあさましさは業が深く、薄汚く湿っていて、切り刻んでも切り刻んでも醜い液体が出てき続ける。
その日、ひどく疲れて帰りベッドに横になってると、リミエキの飯田君から電話がかかってきた。いくつかの事務的な話の後僕は言う。
「今日じつは六本木ヒルズに行ってきたんだよ」
彼は言う。
「え?なになにそれ?なんか聞いたことあるな。なんなんそれ。なにがあんの?」
僕は本当に本当にこっそりと目に涙が浮かぶほどにうれしくなりながら「まあ、帰ったらゆっくり話すよ」といって電話を切る。そして、殺人的なホームシックにかかる。早く帰って、ボロフェスタにまつわることに参加したいと思う。
そう、ボロフェスタだ。
あと二週間です。どんどん予約してください。ボロフェスタの予約もロボピッチャーの予約メールで出来るのですよ。
まあ、それはおいといて、東京ではとにかくいろんなことがあって、親しい人とゆっくり呑んだり、バンドで話したり、良いこともたくさんあった。お世話になったたくさんの人たちにどうもありがとうといいたい。
レコーディングは終わり、そのうちどこかで手にはいると思う。
ライブはもちろんいつもどおりすごいライブをしてきました。当然。
僕はこっそりホテルで曲を作り、歌詞を書き、いつかのすばらしくも美しいライブのための布石は万全であります。
あと、今日京都に帰ってきていきなりですが、KBS京都に出演してきました。9月30日の夜12時半からの放送だそうです。くるりが出演してそのあと僕がしゃべってます。ぜひとも聴いてみてください。詳細はロボピッチャーHPで!!
それでは。
Posted by kato takao at 2003年09月27日 04:19 | TrackBackすばらしいLIVE、ありがとう。
Posted by: たえ on 2003年09月27日 09:43ご無事で何よりです。
お膝元に住んでいたのにもかかわらず、一度も行ったことがありません(笑)<六本木ヒルズ
私にとって自発的に行く気にならない場所です。渋谷とはまた違った意味で。
最近、六本木/西麻布と"森ビル"の進出がめまぐるしいですね。
麻布十番のあたりも景観が損なわれたと地元の人も怒っていました。
服装に関する無関心は精神的な自殺に等しい、と言ったのはバルザックでしたが、
彼が生きた初期資本主義の時代の西欧に始まった"消費のための消費"という動きを、
200年後のアジアの我々がさらに醜悪にデフォルメした形で無自覚に繰り返しているのはなんとも皮肉であり不幸ですね。
後発資本主義国家はこんな馬鹿馬鹿しい「ヨーロッパの近代」までどうして真似をしなければならないんでしょう。
Posted by: Noriko on 2003年09月29日 15:26
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