そういえば、長いこと本を買っていない。
本屋さんが世界で一番好きな場所だったのだけど、最近はしばらく行ってない。人から借りた本ばかり読んでいる。
さらに、印象に残る本を読んでいない。印象に残った言葉が無い。
本だけではない。マンガにも、映画にも、人との会話にも、印象に残った言葉など無い。
言葉を受け取る能力が減退している様です。
今日は、スタジオで練習して、歌って、ちょっとした用事をすませて、御飯を食べて、テレビを見て、ビデオを見て、いくつかの電話のやりとりをして、今に至っている。
どんな風になりたい?と僕は問い掛けてみる。どんな風になりたい?と僕は問い掛けてみる。
問い掛けてみる。
問いかけが虚空に舞って、ざくろみたいに頭をかち割られた南フランスの傭兵のように見える。
彼は、別の誰かをライフルで狙っていたのだけど、一番近くにいたこん棒を持った男には気づかなかったのです。
ありとあらゆる人に不愉快な感情を喚起させる色の液体を流しながら彼は思っている。
「どんな風になりたい?」
「こんなふうにだけはなりたくなかった」と彼は言う。
こん棒を持った男は泣いている。「でも、こうしないと、俺もあなたのようになってしまったんだ」
もちろん別のマシンガンが彼を狙っている。彼は、彼が死んでしまう17秒前に泣きやみ、死んでから19分後に涙が乾いた。
鈍い音は一つの絶命以外の何かを語っているようではなく、それ以外のことを表現できるような雄弁な道化ではなかった。
僕はぱたりと紙芝居の幕を閉じる。子供達が不平を言う。
「この物語は」と僕はいう。ひどく口が重たい。唾液がゼラチンのように固まって舌が動かない。
「この物語は、誰かの物語ではないので、ここで終わりにします」なぜならそれは僕の物語なのだ。
1997年に生まれた亡霊の残骸が、死にました。
で、すぐに生き返った。
良かった。
死んでいるより、生きてるほうがいいよね。
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