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2002年03月02日


 たくさんの人達に感謝を。

 まず、この場所を提供してくれたキーポンへ。あなたがいなければぼくの言葉が人々に届くことはありませんでした。

 そして、バンドメンバーへ。
 平井。彼女には最大の賛辞を。音楽に必要ないくつかの根本的なスキルを教えてくれました。姿勢と音楽に対する愛について。一番初めに彼女とバンドを組んでから8年の月日が流れました。彼女なしに僕の音楽を語ることなどまったく出来ません。また、彼女は僕に我慢強さも教えてくれました。この一年で僕が少し我慢強くなったとしたら、それは彼女のおかげです。いくつかの種類のことを上手に我慢することができる様になりました。

 倉光さん。彼は感性を僕に与えてくれた。ベースという楽器の持つ可能性についていつも僕の予想を上回りました。ハラッパカラッパがハラッパカラッパである所以を最初に作ってくれた人です。そして、ある時期からはバランスを彼が提供してくれました。なによりも、三吉という特殊なドラマーとともにあらたなリズムを作り出した。それはとてつもなくクリエイティブで、大切なことでした。、

 清原に教えてもらったのは音楽の誠実さについてです。彼のギターは僕の曲を一度完全に破壊して、僕の意図したよりもよい形で再構築しました。どんな悲しみよりも深く僕は彼の脱退を受けとめたと記憶しています。

 三吉さん。彼女がこのバンドをこのカタチにしました。 ただのよい曲を作る人だった僕をいろんな意味でバンドマンに仕立て上げました。バンドとはなにかについて、人と共同で同じものを創るということの責任について痛切に教えられました。そして、彼女は強烈な個性をバンドに注入しました。倉光さんと供につくられたリズムにいつもうっとりと曲を乗せました。あんなリズム隊ならだれだって特別な曲を書けるんじゃないかと、そう思います。

 そして、ネガポジにも感謝を。とにかくすべての音楽的なことがあそこで起こりました。僕にとっての音楽は今のところすべてネガポジに詰まっています。生涯僕にとって特別な場所でありつづけて欲しい。寺島さんと山崎さんには願いとともに感謝を。

 そして、いくつかの印象的なライブハウス。まずはダイス。自信と、向上心を与えつづけてくれた場所でした。必ずまた出演させてください。
 グルーブ。沖縄のライブハウス。ハラッパカラッパ最大の危機は沖縄で回避されました。最低な状態で行われた最高のライブは今でも心の深い場所をしんしんと揺らします。
 不思議の国のアリスでのライブも印象的でした。やもともんごのイベントで、「いままでで一番いいライブ」と確信した最初のライブをしました。ひどい二日酔いの中で、丁寧に歌ったさよならラジオを憶えています。
 名前は忘れてしまったけど、福岡にツアーに行った時のライブハウス。ここはライブがどうよりも、そのあとの打ち上げがすごかった。詳しくは書かないですが、もうほんとにすごかったのです。
 クアトロ。それは僕の夢の場所でした。特別な場所でいつもどおりのライブをするのは痛快以外のなにかではありえませんでした。夢がかなったときに人が感じる100%の幸福を信じた一日でした。
 たくさんの場所でたくさんのことを思いました。どのライブにもなんらかの思いがあります。他の様々なライブハウスにも等しい感謝をしたいです。

 もちろん、お客さんに。なんの後ろ盾もなく、なんの保障もなくここまで音楽を続けてこられたのは、われわれのライブに足繁く通ってくれた人達のおかげです。誰もいないライブハウスで歌は歌えないです。これは僕らのメッセージで、メッセージとは送り手と、受け手がいなくてはなりたたないのです。
 ただ、僕はうちのバンドのお客さんと接するのは苦手でした。僕の曲を好きな人と接するのは気を使いました。なぜなら僕の曲と、表層に出ている僕とでは大きなギャップがあったからです。

 なによりも大きな感謝をささげたいのは、僕に曲を書かせてくれているなにかに対して。自分の才能でつくれているのではないと確信できるほど、すばらしい曲をこのバンドでつくることが出来た。「汽車汽車走れ!」などの楽曲は、僕の能力を遥かに超えて作られたものです。
 ありがとう、というのはでも少し違うな。これからもよろしくと言えばいいかな。

 
 最後のライブが終わったとき僕が感じると思っていた様々な感情は一つも沸いてこなかった。哀しみも、虚脱も、切なさも、満足感も。
 最後の「宴」を演奏し終えたときに僕はほんとにほんとうに普通の感覚で「さあ、次は何をしようかな」と思った。
 ハラッパカラッパでできることはハラッパカラッパでやってきました。僕の思う最高のバンドでした。
 それでもやはり僕は思う。「次は何をしようかな」と。
 結局のところ、なにかに満足することなんてありえない。どんなに美味しいランチを食べたって夕食を食べたくなる様に。
 次はもっとちがう別の何かなのだろうと僕は思った。

 アンコールに応えて、楽屋に帰って、立てないほどの疲労の中で、僕はうずくまりながら次のライブについて考えていました。別の光を浴びてステージに立つ僕のことを考えていました。僕ののどはもう別の歌を求めていたし、僕の指は、すでに別のコードをひきたがっていました。

 どうもありがとう。長い時間です。おつきあいいただいたすべての人達にあらためて感謝を。
 でもどうか席は立たないでください。引き続き次の出し物がはじまります。
 それはハラッパカラッパの様にかっこいいものではありません。きっとたくさんの人々の落胆と賞賛を交互に浴びながらゆるやかに成長していくまったく別の音楽です。
 僕は新しいバンドを作りました。「ロボピッチャー」というバンド名をつけました。
 今日からロボピッチャーの加藤です。どうぞよろしく。

 詳しいことはまた「次回」。

 それでは、今までどうもありがとね。
 これからも、よろしく。
 

Posted by kato takao at 2002年03月02日 02:40 | TrackBack
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