じゅ：今でも企業のサイトの音楽製作とかしてるそうですが、ロボピッチャーはその中でもやっぱり活動のメインになってるの？
伊藤：自分の「表現」として、今は中心にあるもののひとつというか核になるもの。今はやりたい放題やらしてもらってる。全然メンバーから文句も出ないし、えっ、これいいのー？みたいなのの連続…笑。
じゅ：自分のなかでこんなんやってみようとか、遊んでみたりするのもオッケーな感じ？
伊藤：うん、遊び放題。よっぽどひどいことをやらない限り大丈夫。
じゅ：ダメ出しされたりもする？
伊藤：それもあるっちゃあるけど、それは加藤君が感覚的に、この感じはちょっと歌いにくいなとか、これはあんまり好きじゃないとか、もっと、びゃーって感じでとか。割と長嶋茂雄的なディレクションで。
じゅ：びゃーっとか、がーっとか？
伊藤：うん。で、直したのを次に持っていくと、自分の言ったこと忘れてて…笑。「もうこれで慣れてしまった」とか言われたり。
じゅ：確かに音楽って慣れてしまうことってあるよね。最初は違和感があったのにそのうち平気になってしまったり。
伊藤：そうそう。発信側としてはその見極めどころって難しくて。どこらへんをオッケーとしたらお客さんにとって不快なサウンドじゃないか、聞きやすいか、楽しいか、一番気を使うところではある。
じゅ：作詞作曲は加藤さんがするんだよね。
伊藤：うん。
じゅ：それは弾き語りの状態であがってくるの？
伊藤：そう。弾き語りで。あがってくるっていうよりも、スタジオに集まってみんなで練習するときに、曲の発表会みたいな感じでまず加藤君が弾く。それを適当にみんなが合わせていくのが最初。もしくはいい曲ができたって加藤くんから連絡があって、とりあえずメモみたいな感じで加藤君の家で弾き語りを録音する。それを持って帰って、それからはいろんなパターン（の作り方）があるけど、一番ひどいのは、それを渡されたまんまであとはよろしく！って言われて、1週間か2週間後くらいには僕がアレンジを完成させて、あとは歌うだけみたいな…笑。
じゅ：ドラムとかベースはどうするの？
伊藤：打ち込みで入れたりとか、こういう感じでお願いしますって感じで、ありちゃん（有田さん）とか森さんがそれに重ねて弾いてくれたり。加藤君以外は、自分の音を演奏して録音してファイルにして（ネットで）送るっていうのができるんで。だからそのへんはすごい楽ちん。「卓球 makes me high!」（加藤さんが編集長をしているフリーペーパー「SCRAP」から生まれた曲。PVも存在する）は、完パケまでほとんど打ち込みでいって、誰の手も入っていない。そういうのは一番極端な例だけど。バンド的なやり方だったら、最初に加藤君がスタジオで「こんな曲できた」って弾いて、それをみんなで聞きながらドラム、ベース、キーボードで合わせていく。それでだんだんそれっぽくなってきたら、じゃあ伊藤くんよろしくって言われて、それをもとにデモアレンジを作って次回の練習に持っていく。そこでこれはいいねとか、これはいらんとか、みんなが言いたいことを言う。そしてまた演奏して持って帰っての繰り返し。だからロボピッチャーでの役割をざっくりというと、アレンジ。どう言うのかなあ…。もちろんアレンジは一人でやってるわけじゃなくてみんなでやりつつ…、「色を乗せる」かな。曲によっては僕以外にも、森さんが考えてくることもあったり。
じゅ：へえ。
伊藤：僕が全部やっちゃったり、森さんにイメージ作ってくださいって感じでしてもらったり。基本はイメージのある人が主導する感じ。いくつかパターンはあって、それを意識しながらアルバムを聞くと、「あっ、これは○○さんの色ね」っていうのが存在する。
じゅ：ロボピッチャーさん、レコーディングしてるらしいですが、今もやってるんですか。
伊藤：今回は、何回かに分けてばらばらにとってて。
じゅ：長期間にわけてとってるってこと？
伊藤：えーと、長期間じゃないなあ。ある程度はできてるけど、残ってるのとかあって…。まだ発表してないけど、今回、音源を配信で発表しようと思っていて。2ヵ月おきに2曲か3曲ずつとか、そのへんまだサイクルは決まってなくて、それを今調整中なんだけど。要はリリースを6、9、12月に分けて2曲ずつとか。先行してかなり出来上がってるのもあれば、まだコーラスをとり終わってないけど、配信はまだ先だから実際に録音するのは秋くらいとか、そういうのもあったりして。そういう意味でばらけてる。いちおう6月にリリースを予定してて、それに合わせてライブをやるつもりではいるんだけど。
じゅ：その配信の話は5月くらいにはオープンになってるかな？（取材をしたのは4月上旬）
伊藤：きっと。配信の登録をしてからリリースまで5週間かかるらしくて。その頃にはきっと第1回のリリースが決まってるでしょう。でも、ものすごいどんでん返しがあっていきなりCD出そうぜ！みたいな話がないとは限らないから…笑。
じゅ：世の中、配信の流れになってて、ロボピッチャーもその流れに目を向けたのはなぜ？
伊藤：やっぱり自分が音楽を聞くスタイルも変わってきてて。もちろんCDという形にこだわりたいっていうのもあるし、配信になると音質が悪くなったりとか、ジャケットがないとか、1曲単位で購入できるとか、ミュージシャンサイドからすると納得いかないこともあるけれど、自分でもやっぱりiTunes Storeとかで音源買って聞くし、CDを買ってもパソコンに取り込んじゃったらあとは見ないとか、音質が悪いとかぶつぶつ言ってるくせにそれをiPodに入れて毎日聞いてる…。この矛盾にすごく悩まされてて。やっぱり変化についていかないと。加藤君のまわりにいる「SCRAP」の若いスタッフたちが「もう配信っすよー！」みたいなことを言ったりしてるのも影響してるけど。
じゅ：じゃあ、配信の言い出しっぺは加藤さん？
伊藤：まあ、加藤君が言い出しっぺかな。いろいろな理由（このへんは省略）があってそうなって。今、やってることを配信で出しちゃおうと。
じゅ：曲ができてからファンの人に届くタイミングを考えたら、今は配信のほうが早いっていう結論？
伊藤：そういうことやね。まあCDを作らんという話ではなくて、今回はたまたまそういう形でやってみようかということ。新しいことにチャレンジするのがロボピッチャーだと思ってるんで。
じゅ：あー、そういう感じする！
伊藤：そういう意味でも、一度やってみて配信の仕組みとか、リリースまでにどのくらいかかって、どのくらい売れるのかとかやってみないとわからないから。そのプロセスを勉強するだけでもいいかと。
じゅ：なるほど。Myspaceはその布石なわけですね。
→http://www.myspace.com/robopitcher
伊藤：まあ、結果としてはそういう感じかな。ロボピッチャーってCDのリリースが決まらないと曲を作らない感じになってて。まずは動き出さないと流れが止まっちゃうよと。
じゅ：今の話を聞いてたら、なんかロボピッチャーらしいなという気はするね。
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