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2010年09月27日

 昨日、9月26日で、「夜の遊園地からの脱出」が終わった。
 1万枚のチケットを売り切って、一時チケットは信じられないような金額でやり取りされ、ぼくらの元には「もうチケットは買えないのですか?」という問い合わせが殺到した。中には「こんなにチケットを必要としているのに、買えないなんておかしいじゃないですか!」と怒っている人もいた。

 僕は連日1000人以上のお客さんの前で司会をした。
 登場しただけで会場がどよめいた。
 丁寧にゲームの説明をするだけで、会場のわくわく感が高まっていくのがわかった。
 たくさんの人たちに握手を求められ、サインを求められ、名刺交換を迫られた。持って行った名刺は瞬く間になくなってしまった。
 
 どれもこれも初めて体験することだった。
 短い期間で「リアル脱出ゲーム」はおかしなほど大きくなってしまった。

 それをもちろん喜んでいるのだけれど、まだちゃんと心がついてきていない感じがする。
 僕らはまだ、1万人の人たちから必要とされる準備が出来ていないんじゃないかっていう気もする。
 とはいえ、そんな準備が出来ることなんてないのかもしれないけれど。

 ずっと。
 いまここにないものを作ろうとしてきて、僕には必要だけど世の中には必要とされていないものを作ろうと思っていて、長い時間をかけて、僕が望んだものと世の中が望むものが今ぴたりと一致しているのかもしれない。
 またどうせずれていくだろう。そのときはまた、別のものをつくろう。死ぬまでにはもう一回くらい時代と僕のアイデアが出会うことだってあるかもしれない。

 くるりの岸田君に「急に売れちゃったときにどう思ったの?」と聞いたことがある。
 そのとき彼は「わけがわからなくなったから、あえて調子に乗ってやった」と答えた。調子に乗って、えらそうに振舞ったんだって。そうでもしないと、バランスが保てなかったのかもしれない。
 僕は、調子に乗った行動を取れるほど若くもないので、ただただ、困惑している。
 もちろん、うれしいんだけど、心のどこかで「困っちゃったなあ」とか思ってる。

 ともあれ、夜の遊園地は無事に終了した。
 参加してくれたみなさま本当にどうもありがとう。
 この新しい遊びの行く末をどうぞ見守ってください。
 それから、スタッフのみんなには心からの感謝をささげる。
 スタッフの熱が、これからのリアル脱出ゲームの未来を作っていくのだと思う。
 
 最後によみうりランドの方。
 特にふと思いついて「よみうりランドで脱出ゲームをしてみませんか?」ってメールを送ってくれた奥谷さんには、もう何度も何度もありがとうといいたい。
 その一通のメールは、後に日本の遊びの歴史を変えたと称されるかもしれませんよ。
 よみうりランドの方々はみなさん本当にエンターテイメントへの理解が深くて、いつもいつもポジティブに協力してくださいました。
 リアル脱出ゲームは場所の力を借りないと成立しない遊びなので、とても助かりました。
 ありがとうございました。

 そして、いつもいつも思うことだけど、終わってしまったこのちょっとした喪失感をさらなるエネルギーにして、次の遊びを作ってやろうと思っている。
 今回生まれたいくつもの感情の粒子を集めて、僕はもっともっと面白くて素敵で、きちんと人々の心に忍び込む遊びを作ろうと思う。
 物語を使って遊びをつくれば、現実はもっとぐっと来るんだぜってことを、この遊びを通じて伝えたい。

 予定はもういっぱいの大騒ぎだ。
 どんどん作ってやろう。
 どうかどんどん遊んでください。
 今、たぶん、何かが生まれて行くところで、一番おもしろいところだと思うよ!!!

Posted by kato takao at 2010年09月27日 21:18 | TrackBack
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