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2006年12月19日

 うーん。

 あんまりこういうことはこのblogでとりあげるべきではないのかもしれないけれど、さすがにこれはあんまりだなあと思うのでとりあげる。ほんとは昨日書こうかとも思ったのだけど、念のため一晩寝かせてみた。今日目が覚めてそれでも書きたいと思ったので、書く。

 http://xtc.bz/index.php?ID=396

 個人が企業に対してなにかの発言をして、それを「訴訟」という日常とはかけ離れた方法で抑えようとするやり方に関してものすごく憤る。

 僕は一応ミュージシャンであり、編集者であり、ライターであり、企画者であり、イベンターでもある。
 そのすべてにおいて、自分のやりたいことをやって言いたいことを発言してる。

 いうなれば、僕がやっていることは「個」の拡大であり、それはなんにもないところに種をまいてなんとか知恵と行動によって実にしようという活動である。
 ボロフェスタは顔の見えるたくさんの人の協力は得て成立した物だけど、その中心にはかならず僕らがいて、企業とか財団法人とかそういうよくわからないものはまったく携わっていない。SCRAPはもちろん広告収入を得ているので、いくつかの企業と繋がりはあるけれど、その企業とは僕らが個人的に繋がっているものだ。そこでは話し合いが持たれ、合意し、関係を築いた。ロボピッチャーだって、レーベルや事務所やレコード会社と一緒にやってきたけれど、音楽を作るという点では基本的に自分達でやってきた。

 ボロフェスタがたった4人の音楽好きによって大きくなっていったことは、なんて夢のあることなんだろうと思う。僕らはイベンターさんの常識とか、音楽業界のあれこれとかをぜんぜん知らないままひた走り、なんとかあの空間を創った。個人の思いがいろんな人たちに繋がって、一つの到達点を見た。
 なにか大きなことをやろうとしたら、大企業に就職して出世してプロジェクトを任かされてそこで成功して次のステップへなんていうことをみんな考えるけど、僕らは今僕らの手の中にある道具だけでどうやったら大きなことが出来るかを考えた。ほんとに最初はなんにもなかった。

 だから僕は個人の力を信じていて、ロボピッチャーだって、SCRAPだって出来る限りその中心に僕がいて、たくさんの人たちの協力を仰ぎながら「今手元にあるもの」を必死で拡大させながら活動してきた。
 例えばそれはいろんな人の反感を買うことだってある。僕のところにはある財団法人から毎月妙な督促状が届くし、いくつかのイベンターさんや事務所から「勝手にミュージシャンと交渉するな」と抗議を受けたこともある。SCRAPは京都市から2回ほどしかられたし、騒音問題とはもう一生付き合っていくのかもしれない。
 それでも、僕らは僕らが正しいと思うことならきちんと話し合って、お互いに理解しようと努めてきた。ただ闇雲に戦うのではなくて、僕らの考えを伝え、きちんと行動し、なるべくだれにも迷惑がかからないように大きなことをしようとしてきた。

 力のある人たちが、自分達に反する人たちを訴訟して押し込めるなんていうことがまかり通ったら、僕らに生きていく場所はなくなる。こんなことは許されてはならないと僕は思う。

 僕はミュージシャンなので、業界についてのことは書かない。
 ミュージシャンなら誰でも持っているような不平や不満などは書かない。
 なぜならそれは、僕らの問題であって、世の中と共有できるような問題ではないからだ。
 だから、この件が事実なのかどうかはわからない。
 この件に関しての個人的な解釈などは書かない。

 ただ一点、「企業が個人をこのような理由で訴訟する」という点に関しては断固として反対する。
 なぜならこれは他人事ではないし、僕らが生まれながらにして持っていた遊び場が汚されていく気がするからだ。

 必要なことはきちんと知り、思いつき、行動することだと思う。
 僕は個人が発信するニュースは信じないけれど、個人が発信するメッセージは出来るだけ信じることにしている。
 僕らは声をあげなくてはならない。
 その方法は信じられないくらいたくさんある。
 世界は可能性に満ちていて、それはすなわち個の可能性でもあると、僕は信じている。

Posted by kato takao at 2006年12月19日 11:03 | TrackBack
みんなのコメント

テストテスト。
一昨日の夜から大量のスパムコメントが襲来していたため、
一旦機能をオフにしていたんでした。

失礼しました。

でもあれだね。
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「僕はミュージシャンなので、業界についてのことは書かない。ミュージシャンなら誰でも持っているような不平や不満などは書かない。」
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っていうのが偉いなあと思います。偉いっていうのも変かもしれんけど、ついつい言いたくなってしまうんよねえ。言ったところでそこからたいしたものは生まれてこないってわかってはいるんだけれど。

Posted by: keepon on 2006年12月20日 00:45

うん。

>僕はミュージシャンなので、業界についてのことは書かない。ミュージシャンなら誰でも持っているような不平や不満などは書かない

この一文はハッとさせられた。

Posted by: 通りすがり on 2006年12月27日 14:40

 見事な文章なので、引用させていただきました。次のものです。

  http://www.irev.org/shakai/oricon1.htm

 ありがとうございました。
 「業界についてのこと」と「企業が個人をこのような理由で訴訟する」こととを見事に分けているところが素晴らしいです。

 

Posted by: 諸野脇 on 2007年02月08日 17:10
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